さて、気を取り直して旅を続けましょう。
待ち合わせの駐車場で中尾郁夫さんのお姿を見つけたときはホッとしました。
これからいくつかの展覧会を控えていらしてお忙しい時期だったので、
工房はまたの機会ということで
まずはご自宅の茶室に案内していただきました。
奥さまの淹れてくださる文山包種茶と蜜香烏龍茶が美味しくて、
身体に染みわたります。
中尾さんご夫妻とは1年半ほど前に台北で共通の友人を介して知り合い、
その後東京での個展で作品を拝見して、すっかりファンになりました。
磁器製の茶器としては最高級のものだと思います。
日常使いというよりは、いわゆるハレの時にお披露目したくなるもの。
これまで最高級の磁器製茶器として君臨していた
景徳鎮の小雅窯、台北の暁芳窯は中国人購買力のUPと値段の高騰で
私たちには既に手の届かない物になってしまいました。
価格の問題だけではなく、発注も簡単にはできなくなっています。
中尾さんの茶器は価格から言えばやはり気軽に購入できるものではありませんが、
日本での展覧会に行けば作品に会うことができます。
ルハンさんも話していましたが、
何よりも中尾さんご自身が中国文化に造詣が深く、
日頃から台湾出身の奥さまとご一緒に
台湾茶に慣れ親しんでいらっしゃることが作品に生きています。
ひとつの茶器を完成させるまでには
様々な茶器を試し、バランスを考え、茶味への影響を考えて、研鑽を積まれています。
もう既に北京や台北でも注目されていらっしゃいますので、
ぼやぼやしていると今より手が届かなくなるかも?
私はいつかはお金を貯めて茶器セット一式と
可愛らしい寶々(パオパオ)がモチーフの五彩香炉を購入したいと夢見ています。
問題はその「いつか」がいつになるだろう?ってことですが。