ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

春色のチャイコフスキー

2006-11-14 00:29:55 | 日記
こんにちは、虹川です。今更ですが、スケートカナダの大ちゃんの演技の感想を。
……ええ。前に書いたのはあくまで試合の感想でして、演技の感想は実はこれからです。
ていうかやっとゆっくり演技が見れました。

で、しつこいようですが、私はスケートのことはあんまりよく分かりません。ていうか、イメージを重視するために敢えて細部はあんまり見ないようにしてるという方が正しいのかも知れません。
これだけ理屈っぽくうだうだ言っといてアレですが、実は私は、データを足し算して行くのって苦手なんですよ。やればやるほど、道に迷ってしまう。感覚とか感触とか、そう言うとこから入って行った方が結局は近道な気がするのです。

そういう訳で、まずはショートプログラム・チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲から。

一言で言うと、とにかく明るい。翳りがない印象。
終始笑顔で滑ってるのは、決して演技のデキが良かったから、というだけではないと思います。
何より音楽が明るい。そうか、これって長調の曲なんだと思い、そう言えば今まで大ちゃんの滑った曲って短調の曲が多かったんだと初めて気づきました。

その明るさが、すごく意外だったんですよね。
ノクターンの静かな寂しさ。ラフマニノフの苦悩(千秋さん解説ありがとう)。ロクサーヌのやさぐれ嫉妬と絶望。彼の表現には常に底の知れない暗い影が落ちていて、私はそこにドツボのようにハマってここまで来てしまいました。だからどこかで、この『影』の部分こそ彼の表現の本当の魅力かなと思ってたのかも知れません。
でもこのヴァイオリン協奏曲の演技からは、そう言った影の部分が全然感じられなくて、そこに一番驚いた訳です。大ちゃんが長調の曲をやるとこうなるんだー!って。音楽によってここまで変わるもんなのかと。

そして私がこの曲(の演技)から勝手に感じたイメージが、「春」なのです。天気のいい日の春の朝。一陽来復。とにかくひたすらキラキラしてて、冬の間に一旦死んでた生命が再生されて、未来への期待に満ちてて、悲しいことはまだ何も知らなくて、という感じ。

それから後、割とどうでもいいことなんですが、最後のストレートラインステップで加速して行く所を見てて、F1のタイムアタックで最終コーナーを立ち上がり、ホームストレートを加速しながらフィニッシュラインへと向かって行く、あの高揚感を思い出してワクワクしました。スピード感がたまりません。
アホです、私は。


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