ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

「駆ける魂」とその他いろいろ

2007-06-09 00:52:24 | 日記
しつこく引きずります。「駆ける魂」です。(下)では大ちゃんの現在、そして未来へ向けての想いが取り上げられています。
「バンクーバーの後のことは考えていない」(考えないようにしている?)そうですが、そう言えば私は、彼を知ってからちょっと時間に関する感覚が変わったことを思い出しました。

人は過去の延長で未来を予測してしまうけれど、実際には過去は未来に関して何一つ保証してはくれないんだなと。過去や現在からは予想もつかないものが、未来からやって来るかも知れない。そして未来から来たものを的確にキャッチするためには、なるべく過去にとらわれずに気持ちをニュートラルにしていた方がいいのかもと思うようになった訳です。

「銀メダルは過去」というのも同じ感覚かなと思いました。メダルを取ったという実績は、これからも彼に様々な変化をもたらすと思いますが、でも競技に関して言えば、過去のメダルは決して未来の成績を保証してくれるものではない。寧ろメダルに恥じない演技をするために、今まで以上に自分を高めて行く努力が要求されるのかなと、今はそういう責任の方を重く感じてるのかも知れないという気がしました。

それにしても、夢はあくまで壮大だけれど、一転現実を見る目はシビアですね。自分が立っている現実と、掴みたい夢と、その両方を冷静に把握しなければ、その間にある距離を埋めることもできない。
(上)で指摘されて来た自己評価の低さがあった、謙虚通りこして「弱気」にまで行っちゃうような人だったからこそ、今こうして結果を出した後でも地に足を付けてシビアに自分を見ることができるのかも知れません。

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で。なまじ弟子がそんな感じで、どんどん発言が自分に厳しい方向に向かって行ってしまうので、ホメる担当としてモロゾフさん登場(?)。
実はここからが今回の本題です(前置き長過ぎ)。

「体つきがいい」って意外な発言でした。そして同時に日本人は、日本人の体型にコンプレックスを持ち過ぎてるのかなとも思いました。
ちなみに私が最初にラフマニ衣装の大ちゃんを見た時に思ったのは、「多少手足が短くっても、筋肉がキレイに付いてればかっこ良く見えるもんなんだな」ということでした。
よく小説で「細身で引き締まった筋肉質な体」なんて出て来るんですが、それ、書くのは一行ですむけど、実際その体型作って維持するのどれだけ大変なんだよとか思ってました。で、大ちゃんを見た時はその「書くのは簡単」な体型を現実に見てしまった、そんな感じでした。その体を作るのが、やっぱり半端じゃなく大変なことだったんだという事を知ったのは、それから少し後の事です。

ついでに、全日本でオペラ座衣装の大ちゃんを見てて、何故か唐突に「これは中々良い骨格かも」と思ってしまったことまで思い出しました。上手く言えないんですが、小柄だけどぎゅっと締まっていて、シャープで強そうな印象を受けたんです。骨格に。髭が生えるのが早いってことは男性ホルモンの影響が強いということだと思うので、男性的な「戦う体」が出来上がってるのかしらなどと妄想したり。それと筋肉のバランスで言うと、速筋と遅筋のバランスも取れている方なのかも(でもどっちかというと速筋の比率が高そうかも)、とか勝手に思ってみたりしてます。
これに関しては、私は全くの専門外なので、あくまでも妄想の類いです。
モロゾフさんの言う「体つきがいい」の真意は不明なんですが、その言葉を受けて私が思い出したのはそういうアホなことでした。

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アホなことを言ってる間に、GPSの派遣先とか決まってるみたいですね。
DOIのチケットは取れなかったので、FOIの方を狙ってみたいかもとか思ったり。仙台のNHK杯も楽しそうだなと思いつつ、大阪でやってくれる全日本は外せないかなとか思ってみたり。
ショーに関しては、大ちゃんはスケジュール入れ過ぎな気もするので、急に抜けても仕方ないかも(いや寧ろ休んで欲しいかも)と思うので、まあ、100%出るのを期待するのではなくて、「見れたらラッキー♪」くらいに思っていた方が良いのかも知れません(小心者)。

「ほら、言わんこっちゃない」byミカ

2007-06-06 23:51:57 | F1
…という感じの記事発見。

ハッキネン、「ライコネンの苦闘、予想通り」

最初読んだ時には、「そういうことはもっと早く言ったげればいいのに」と思ったんですが、どうやらキミ本人には去年のうちに言ってたみたいですね。

今のミカの立場だと、フィンランドの先輩としてはキミを応援するべきかも知れないけど、同時に現役のメルセデス(DTM)ドライバーでもある訳で、ちょっと心中複雑なんでしょうね。
まあ、ミカの場合どんだけヒドい目を見てもマクラーレンへの忠誠心は揺るがなかったようだし、ロン・デニスのミカへの溺愛っぷりも(4コママンガのネタにされるくらい)すごかったですし。
しかし今現在台風の目となっている驚異の新人・ハミルトンを12歳の時から手塩にかけて育てて来たのもロンだし、セナがいた時にはセナにべったりだったし、なんだかんだ言って人を見る目はあるのかも知れませんロン・デニス。
そしてキミ自身も、そんなロンから期待されて目をかけて貰ってたのになあ…。

まあ、フェラーリを選んだキミの選択が正しかったか否かは長い目で見なければ分からないと思うので、まだまだ結論を出すのは早いと思います。

ただ、ミカは見てても人との縁でチャンピオンを取るまでに育てて貰って、そして本人もそういう縁をすごく大事にしてるんじゃないかと思うんですが、キミはどうもその辺ドライな感じがして、それがどう転がるのかは気になる所ではあります。
素質は早くから認められてるだけに、今のままでは物足りない所ですね。

「駆ける魂」とサンピア倉敷

2007-06-02 23:42:26 | 日記
日経新聞の夕刊に大ちゃんが出てる、という話は小耳に挟んでたのですが、コンビニでの入手に失敗したもので、先日販売店に乗り込んでまとめてバックナンバー買って来ました。親切に対応してくれたおじさんありがとう。

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ここの所、硬めな媒体での露出が増えてますね。思うのは、世界選手権でメダルを取って、初めて世間的には「男子にも世界で戦える選手が出現した」と思って貰えるんだなあ、ということです。
私は彼をトリノで発見したつもりだったんですけど、世間様に取っては彼は「今回初めて出て来た人」だったんでしょうか、もしかして。

という訳で、「駆ける魂」三回連載。内容的には「逆風満帆」とそんなに変わらないはずなんですが、文体はえらく文学的です。「彼はアーティストだ」とか、いきなりモロゾフさんのセリフで始まる(上)の巻。これは一体どういう小説ですか。

(上)では技術だけでなく表現力を兼ね備えた芸術性の高さと、その反面謙虚過ぎるというか弱気な性格、そしてそこからの脱却を手際よくまとめ。
(中)では「神戸プチ家出事件」のやけにリアルな描写に始まり、マイペース(?)だった倉敷での少年時代からエリートコースを歩むことへの戸惑いが描かれ。
(下)では3年後のバンクーバーを目指して文字通り駆け抜けようとしている現在で結ばれています。

(中)のプチ家出はファンには有名な話ですが、「自由になりたい」という言葉は生々しいですね。彼の場合、本人が動くより先に周囲の状況が動いて来たような印象があるので…それだけ才能に期待されて来たということなんだと思いますが、本人にして見れば、自分が覚悟を決める前に逃げ道を塞がれてしまったようで息苦しかったんでしょうね。
そこから一転して(下)ではまさに覚悟完了したような、戦う目をした横顔が頼もしい。今の彼に取ってスケートは、誰に強要されたのでもない「自分の選んだ道」なんだなと思える、そのコントラストが鮮やかです。

これを読んで改めて思うのは、私って初めから強い人ではなく、自分の弱さに傷ついてのたうち回って、でもそこを乗り越えて強さを掴んだ、みたいな人が好きなんだなあ、ということでした。以前の記事にも書きましたけど。自分の弱さを知る人は、きっと強いんじゃないかなと思うのです。

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で。個人的なポイントは、倉敷時代の状況や、今の倉敷の状況が結構詳しく出て来たことです。それで改めて、私も色々思い出しました。

今でこそ、岡山&倉敷って日本のフィギュアの中でもちょっとした勢力になりつつありますが、以前は全然そうじゃなかった。私は単なるサンピアの一般客で、関係者でもなんでも無かったですけど、たまに滑ってる子供たちを見ては「こんなフィギュア不毛の地でがんばってるんだなー」と大きなお世話にも程があることを思っていたものです。人によっては、岡山にフィギュアやってる子供たちがいること自体知らなかったかも知れません。
だからこそ、大ちゃんがサンピアで育った選手と聞いた時には心底驚きました。こんな英才教育とはほど遠い所で、よくそんなハイレベルな選手が育ったなあ、と思って。
記事に書いてあるように、自由にのびのびやれることで生来の感性を延ばすことが出来たのも大きいとは思いますが、やっぱり「嚢中の錐」ってヤツだったのかなあと思います。

今、岡山&倉敷のフィギュア界はとても活気付いてるみたいです。今の子供たちは大ちゃんという身近な目標を励みにできるし、先生方もノウハウや経験を積んで来たし、大ちゃんが開拓したルートで、関大まで練習に行く子供たちもいるそうだし。大ちゃん一人の力ではないかも知れませんが、でも彼が地元にもたらした影響は決して小さくないと思います(大ちゃんとほぼ同世代で頑張ってる絵己ちゃんや大上くんもスゴいと思います)。

決して恵まれているとは言えない所で競技を始めて、でも周囲の人の援助を受けて大きく育って、そしてその恩恵が、今度は地元の後輩たちに受け継がれて行く。
たまたま自分の出身地が近かったこともありますが、こういう所が、彼を応援してていいなあ、と思える所でもあります。

※このネタ、多分もう一回引っ張ります。