masumiノート

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「立証責任」と「守秘義務」

2010年11月15日 | ガソリンスタンド

平成22年11月15日 燃料油脂新聞に掲載された兵庫県石油政治連盟会長 加藤俊次氏の寄稿文を転載します。

不当廉売申告事案 公取委に問う 

平成16年以来、公正取引の実現に向けて油政連、全石連が公正取引への課徴金導入、あわせてガソリン不当廉売等ガイドラインの改定を強く要望した。
その結果、本年1月1日に改正独禁法が施行され、それに先立ち昨年12月18日、公正取引委員会は「ガソリン等不当廉売ガイドライン」を発表した。

新ガイドラインの要点は、供給に要する費用が「総販売原価」であり、実質的な仕入価格に運送費や人件費の一部を加えた価格が、不当廉売に該当するかどうかの判断基準になるもので、事実上ハードルが下がった。

また繰り返し「注意」を受ける事業者に対しては、事案により責任者を公取委に招致したうえで、文書により厳重に注意する方針が明記された。

法整備に対し石油販売業界では不公正取引の抑止に期待が高まり、公取委への不当廉売申告が激増した。

SS事業者を取り巻く課題は、地下タンク対策や次世代自動車への対応、さらにはSS過疎地化問題など、問題が山積みしている。
課題を乗り越えるためには、SS事業者の健全な経営が欠かせない。そのためには健全な市場競争が担保され、適正な利潤を確保し再投資を可能にしなければならず、不当廉売など不公正取引の排除に向けて、組合員組織、SS事業者は独禁法の実効性の実現に向けて全力で取り組んできた。
しかし不当廉売申告案件は、被申告人が公取委当局より繰り返し「注意措置」を受け公取委自身が承知している。
当局は、2ヶ月間の迅速処理にとらわれず慎重に調査を行ったといい、本局から調査官を派遣して周辺事業者の影響調査を実施したため、期間は5ヶ月になった。
被申告人の販売価格が、業転と比べても原価割れしていたため、過去の注意措置と比較して十二分に注意以上に該当するものと確信を持っていた。

しかし今回の申告事案は、独禁法、ガイドラインに抵触せず 「調査打ち切り」と決定通知された。

耳を疑うと同時に公取委に対して驚き、強い不満と不信を抱いた。

なぜなら繰り返し当局が「注意」措置を取ってきた被申告人が相手だ。
より厳しく証拠を取り「立証責任」を果たしたといえるのか。
申告人が事情説明を求めても「守秘義務」を理由に何も説明責任を果たさない。

独禁法における不当廉売は、市場の競争秩序を維持するものではなく、今後に大きな課題を残す結果になった。
永年にわたり不当廉売問題に取り組んできた者として、徒労の極みである。


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公取委には期待を見事に裏切られましたね。

昔から「公取なんて役に立たない」と言っていたこうちゃんは、「やっぱりな、そんなもんやろ」と冷めていますが・・・

でも、昨年末に発表された「ガソリン等不当廉売ガイドライン」に多くのSS事業者は希望を持った筈です。

だから、
>石油販売業界では不公正取引の抑止に期待が高まり、公取委への不当廉売申告が激増した。

それまでは「どうせ訴えても無駄」と申告せずに堪えていた(諦めていた)のです。

一旦は、被申告人が「注意措置」を受けるなど、効果が現れたかに思えたけれど・・・
最終的には
「独禁法、ガイドラインに抵触せず」という事で 調査打ち切り。


虚しい限りです。



平成22年11月20日 以下追加しました。


11月19日 燃料油脂新聞より

画像の表の中には業転で仕入れて販売したとしての推定マージンが書かれているのですが、全社、計算粗利マイナス1.1円からマイナス3.51円となっています。

100円で仕入れたものを97円で売るなんて有り得ませんよね!

それでも公取委の判断は「シロ」「不問」です。

理解不能です。