X市から地場業者がほぼ姿を消した!
※途中の青文字はmasumiさんのコメントです。
SS業界は大きな転換期に差しかかった。
2012年において、まず重要な問題となるのがエネルギー供給高度化法による影響だ。
2013年度までにそれを実施しなくてはならず、メーカー側では生産計画に基づくより安定した売り先を求めるため、系列化における対応や処遇について一段と厳しくしている。
続いて問題となるのが、老朽化地下タンク設備。
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X市で40年以上地域に根ざしてSS事業を営んでいた地場業者が閉鎖を決めた。
最大の競争相手が元売販売子会社である。
その振る舞いについても「ほめられたものではない」とキッパリ。
「経営体力の差を痛感させられたし、心底疲れ果ててしまった。
市場が疲弊し、この地(X市)の老舗と呼ばれるSS業者がほぼ全滅状態になったのも無関係ではない。
資本の論理が幅を利かせれば、地場業者はどんどん隅に追いやられる。
この状態が続けば、第二、第三のX市が必ずや生まれるに違いない。
そうなってから初めて気付くものがあるのかも分からないが、それでは遅すぎる」
※多くの消費者には理解してもらえないでしょうが、“大手業者”が「採算が合わない」として省く“小口の”配達業務などを、「地域のため」と請け負ってきたのが地場業者なのです。
この販売店では
「ごく普通にSS経営をしていたら、やっていくのが難しい」状況になり、経営改善としてSSの運営形態の見直しでセルフ化するも、ローカルマーケットならではの掛売りに応えるため給油レーンの一部をフルサービスとして残すことにした。
丸ごとセルフ化したいのはやまやまだったが、スプリット型の運営スタイルを選択。
その結果、来店客数は増えたが客単価は下がった。
安値が慢性化した市場にあって価格対応できたのは良かったと言えるが、「得たものはとても大きかったが失ったものもまた多い」
このジレンマは最後まで解消されることはなかった。
この間、安値を競い合いながら、元売販売子会社や異業種による新規セルフ店が勢力を伸ばす。
そうなると追従するのがやっとで、
業転玉を購入しても太刀打ちできない。
ガソリン口銭がリッター4円かそこら確保できればまだいい方で、必死で食らい付いていけばどうにかなるというレベルを超えてしまった。
この期に及んでもしそんなことをしたらいたずらに経営体力を弱めるだけと油外販売でも創意工夫を凝らし相当に頑張ってきたが、2008年のリーマンショック以降、頼みの綱である法人客の財布の紐が固くなった。
そしてSSの閉鎖・撤退(昨年10月)を決断するくらい前から毎月の持ち出しが増えるようになった。
ただ、この場面での赤字幅はまだ踏ん張りが利いた。
「店を畳まざるを得ない急な決断を求められる出来事があった。身内の介護問題が深刻となり、このままSSを継続していくのは物理的に困難になった。この商売にきっぱり見切りをつける時期が「今やってきた」のだと客観的に判断し、潔く決断を下す事にした」
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北関東は冬場になれば冷え込みが厳しい。
そこでは「配達灯油」の需要が膨らむが、悲しいかな、この期待に応えられないという現実がある。
※当店でも全ての期待には応えられません。
新規の配達はお断りせざるを得ない状況です。
昨今は元売販社らセルフSSが勢力を伸ばす。
しかし、配達業務などは非効率であるから請け負わない。
方や、その穴を埋めてきたのは、お客様との昔からの付き合いを大事にしてきた地場業者である。
となれば、地場業者の閉鎖・撤退に伴い、地域生活者が困るのは目に見えている。
地方では少子高齢化が顕著だ。
体力的に困難であるとか、車を運転できないなどの理由で灯油を買い求めにくることが容易ではないケースは多々認められる。
そうなると結果的にだが、弱者切捨てがこういう形でも行われることになるのだ。
※店を閉鎖するに当たっての憂いの一つです。
(車を持たない高齢世帯など、社会的弱者への小口の灯油配達)
311大震災に伴う原発事故をきっかけに国内のエネルギー政策が大きく見直されようとしている。
だが末端では今も自由競争の下、熾烈な競争を強いられており、かつ、過大な投資が求められる局面に置かれている。
「経営内容がなっていないから、などと一方的に片付けられてしまうのは納得し難い。
何ら保護を与えられないまま、地場の中小業者があれやこれや負わされ、厳しい競争にさらされる。
あまりに酷過ぎやしないか」
閉鎖・撤退を決意したSS店主が漏らした素直な言葉である。
※“経営内容がなっていない”・・・
それはね、“今”だから。
我々のような零細地場業者はこの十数年を掛けて、“今”そうならざるを得なかっただけ。
資本力の違いだけなら、まだ勝負は出来た。
だけど、規制緩和の裏側では消防法でがんじがらめにされ、初めから勝負にならない仕切り価格を一方的に押し付けられて、エネ庁や公取委など頼みの行政も何の助けにもなってくれず・・・
仕切り(或いは売り値)が同じなら、例え相手が資本力のある大企業であろうが地場の業者は決して負けない。
だって、
元売から虐待されているような、こんなに酷い経営環境の中でも、まだこうしてちゃーんと生き残っているんだからね。
地場の販売店は大したモンなんですよ。
で、この記事の題です。
約1年前、このブログで石油組合の「今こそ非常事態」宣言をしたという業界紙の記事を紹介して、私は大手新聞に意見広告を出すべきだと書きました。
だけど、やっぱり実現不可能なんでしょうね。
元売は、東電と同じでマスコミにとって偉大なスポンサー様ですから。
ガソリンスタンド過疎地は報道されても、その真の原因(元売と政府による人為的淘汰)(業界の歪みの元凶)は、決して報道されることはないのです。
灯油難民など社会的弱者が増えることになっても、
スポンサーである元売や政府を批判するようなことは、マスコミには出来ない。
イジメられっ子を見て見ぬ振りをするのと同じです、マスコミは。
だから、
「証明あり業転なら大丈夫(のハズ)だから、みんなで証明あり業転を取ろうぜ~」ってなったのかな?!
だけど、
それじゃあ、全く問題は解決されない。
業転玉を取っても太刀打ちできない状況に、遅かれ早かれなる。
地場の業者がなくなったら、そのしわ寄せは社会的弱者にいく。
高値店がなくなったら、安値店もなくなる。
PS
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