「給油難民」出さない…過疎地住民、GS経営
(2013年3月9日 読売新聞)
各地でガソリンスタンド(GS)の閉鎖・廃業が相次ぎ、生活への影響が広がっている。石油小売り業界の競争が激しいうえ、老朽化した地下タンクを1月末までに改修するよう義務付けた改正消防法が廃業に拍車をかけた。2月以降も、法定期限を迎えたタンクを持つGSが次々と閉鎖。過疎・高齢化が進む地域では、ガソリンや灯油を遠くまで求める「給油難民」を出すまいと、住民がGS経営に乗り出している。
最寄りまで20キロ
和歌山県白浜町の山間部。40年余り続いた地区唯一のGS「川添石油店」が1月末、タンク改修費を捻出できず閉店した。お年寄りらが灯油を買うなじみのGS。経営者の妻(66)は「暖かくなる頃まで続けたかったけど」と残念そうに話す。
閉店後、最寄りのGSは約20キロ離れた町外になった。車で往復約40分。住民の坂本龍哉さん(80)は「ガソリンは生活に必要。いつまで通わないといけないのか」と不安を募らせる。
高知県檮原(ゆすはら)町の住民らは自衛に立ち上がった。昨年2月、地区唯一のGSを経営してきた男性(60)が店を続けられないと、区長の久岡立志さん(70)に打ち明けた。久岡さんは町と県に相談。住民に経営を引き継ぐ会社の設立を呼びかけ、110人が計681万円を出資した。会社が特産品開発を手がけることで町独自の補助金約2000万円でタンクを改修し、今年1月、「まつばら給油所」の名で営業を始めた。
灯油を求める住民が車で次々に訪れ、「イノシシが捕れた。一緒に鍋せんか」「お母さん元気か」と言葉を交わす。主婦吉村悦子さん(65)は「存続はありがたい」。久岡さんは「スタンドを何としても残したい」と力を込める。
山あいの広島県安芸高田市美土里町でも、住民4人が昨年1月、約600万円を共同出資して廃業間近のGSを引き継ぎ、「ふれあい市」として開業した。
高齢者に喜ばれるのは灯油、軽油の配達。注文を受け、天気が悪くても従業員がトラックで毎日、10軒ほどに向かう。出資者の1人、藤井敏法さん(63)は「我々がお年寄りの命を預かっているという思い」と話す。
都市部も激減
都市部でもGSの閉鎖が相次ぐ。大阪府石油商業組合によると、ピーク時は府内に約2600店あったが、店舗間の競争の激しさから、今では1000店を下回る。跡地はコンビニや駐車場、マンションなどに。組合は「最近4、5年で大きく減った。いつ歯止めがかかるのか」と頭を抱える。
京都市中心部も同じ状況だ。同市下京区の堀川五条近くでGSを経営していた光川芳夫さん(65)は1月末、創業53年の店を閉めた。「タンク改修だけでなく、店舗の修繕も必要。客が減り、後継者もいないので決断した」と話した。
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過疎地は、行政と住民が協力し合うしかない・・・・っていうか、それが出来るだけマシかも。
それが出来ない都心部の方が、給油難民灯油難民発生のリスクは高いかも。
・・・それはそうと、やっぱりここでも「仕切り格差」って言葉は出て来ないのね(--;シュン