JX6月末系列SS数は前月比20ヵ所の減少。
7月22日 燃料油脂新聞より
地場業者存続の危機
ガソリン需要の少ない地域の市況軟化はそのまま利益減を招く。
それは販売力でカバーできないから。
「今のままでは純粋な地場業者はいなくなる」との危機感は高まっている。
安売りは責任放棄 地域住民へ供給担うSS
「現状は業界の責任放棄の経営だ。SSはエネルギー供給企業として重い責任を負っている。各地の自治体との災害協定などを考慮すると、経営を不安定にする安易な安売りはできない」と、帯広石協の高橋理事長。
※消費者には「善」と映る安売りも、広い視野と長い目でみれば「責任放棄」となります。
地道な努力が実る業界に 残存メリットも享受できず
愛知県内では、三者販売店など小規模SSの閉鎖が相次いでいる。
しかし現在も営業している小規模フルSSのなかには、残存メリットをいまだに享受できないでいるSSも多く存在する。
民族系大手元売系列の ある三者販売店は、県内の幹線道路沿いで営業している。
同幹線道路沿いでは名古屋市から40kmほどの間に地元大手特約店の直営セルフSSやフリートSSが集中して営業しているが、同道路沿いでは最近数年で複数の元売社有セルフが相次いで閉鎖するなど厳しい環境下に置かれている。
三者販売店など小規模フルSSは、この40kmの間に2カ所しか残っていない。
このうちの1ヵ所が、大手民族系三者販売店だ。
一見、大手セルフに伍して実に健闘しているが、内情は厳しい。
創業からおよそ50年が経過した。
後期高齢者の社長夫婦と40歳代半ばの子息で経営している。
700平方メートルに足りないとみられるSS敷地面積。
ガソリン、軽油を合わせた販売量は、月間数十キロ程度と思われる。
大半は店頭での販売という。
販売価格は、周辺の大手セルフよりリットル5円程度高い。
「これ以上高く売ると客離れが激しくなる」そうだ。
油外収益やSS以外の事業はない。
したがって収益の殆どは自燃油のマージンだが、仕入れはほぼ系列物。
「創業以来、業転は一滴も買ったことがない」(同SS社長)。
このためガソリンを145円で販売してもリットルマージンはせいぜい10円。
「息子の給料も満足に出ない」という。
後期高齢者の社長夫婦は「年金で食いつなぎ、足りない分はこれまでの貯蓄を食い潰している」。
数年前に地下タンク規制にかかり、電気防食装置を設置した。
その意味では生き残りを諦めていないが、「あと数年でSS閉鎖を決断せざるを得ないのではないか」ともしており、揺れる胸中を吐露している。
県内では最近、こういったケースよりずっとましな経営状態にありながら、撤退を選択した小規模SSが出ている。
原因のほとんどは「将来展望が開けない」といった経営者の経営意思の途絶にある。
自助努力はもちろんだが、小規模でも真面目に地道に商売を続ける販売業者が存続できる業界にしなければならない。
***(※以下masumi)
今の風潮は真面目は馬鹿にされるようなところがあります。
ビジネスの世界でも真面目で地道なだけでは評価されません。
発想と行動と結果が求められます。
消費者にしても、人員を揃えて尚 安値看板を掲げて活気良く営業している店が実際にあるのですから、地場3者店の実情をいくら書いたところで大して真剣には考えて貰えないでしょう。
「努力もせずに文句ばかり」と思われている方もいらっしゃるかも知れません。
「小売にも生存権」と言ったところで、「そんなこたぁ俺の知ったことじゃない」だと思います。
仕入れ値に10円もの価格差があると知ったところで「それは大変だね」とは思ってもらえても、安値店があればそちらを利用されるでしょう。
私たち地場零細が世間に存在価値を訴えるとすれば、「小口配達」と「災害時の最後の砦」しかないのだと思います。
(それすら大多数の消費者にとっては他人事なのでしょうが)
そのために一丸となって真剣に仕切り格差の是正を訴えるしかないのだと思います。
でも“業転玉”がそれを阻みます。
「訴えたところで何も変わらない」というあきらめの気持ちと、
「業転玉で薄めれば何とかなる」という現実。
月間販売数量が30-50キロリットルなら、(販売価格は安くせず)業転玉で薄めることで増やせる粗利は20万から30万円程度でしょうか?
・・・大きいですよね。
そりゃあ、業転に手を出すほうが手っ取り早くて確実です。
ただ、価格差が拡大すると客離れが激しくなるのも事実で(経験者は語る)、だから経営は“市況”に大きく影響されます。
最近になってPBより安く売る販社やCAの存在がクローズアップされているように、今後は業転格差より差別対価が問題になるかも知れません。
そうなったときー
もし「系列でも(証明付なら)業転OK」が議員立法化されていたとしても、今度は差別対価と闘わなくてはならないのです。
そのときには3者店は今よりもっと数を減らしているでしょう。
一丸となれたとしても、「声」は小さいものになるでしょう。
また「業転で薄めていた」という事実も広く知られることになるでしょう。
「業転を取らないのは経営者として無能」「業転を取るのは消費者に1円でも安く提供するため」と言って業転購入を始めた販売店は、それを理由に「全ては自己責任」と突き放されても仕方がないと思います。
(もちろん彼らもそれは当然だと考えてはいるでしょうが)
これは他社買いを責めているのではなく、
「業転を取らずにいて店を潰してしまっては何もならない」という意見もありますが、
「業転を取っていても今のこの業界の有り様のなかでは後継する者がなく、結局は自分の代で店を閉めることになるのではないのか?」という思いから、
「仕切り格差(差別対価)という根本的な問題を、まだ3者店の数が多い今のうちに解決させた方が良い」と考えてのことです。
当店はこうちゃんの代で店を閉める予定ですが、まだ若い経営者のこれからのためにも業界環境を良くしてあげたいという気持ちがあります。
>当店はこうちゃんの代で店を閉める予定ですが
・・・とは言いつつも、今年POSを入れ替えますし、本当は業界環境が劇的に良くなってくれたら(?!)、という思いもまだ捨てきれませんが・・・。
( ↑ 往生際が悪いね(笑))
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「早く店を畳んでくれないと、地域での私の評判はどんどん悪くなるよ」
何年も前からmasumiさんはこうちゃんに言って来ました。
こうちゃんは無言でした。
無理。
この記事を書いた時にこうちゃんに言いました。
「昔は業転を取ったらマーク剥奪って元売は言ってたけど、これからはサービスが出来ない店はマーク剥奪って言い出すかも。そしたらどうする?」
「(仕切り格差で)儲けることを出来んようにさせておいて何を勝手なことを言うねん言うわ。サービスの提供を要求するんやったらそれが出来るように(雇用など)適正マージンが取れるように仕切り格差を先ず無くせよ。それにこっちは生活が掛かっとんねんからな、サービスとかは出来る状況やったら元売に言われるまでもなくやるわいな」
そういって配達に出て行きました。
***
小売の商売をしていたら評判を落とすことを恐れるのが普通です。
業界誌にも大手特約店社長が“接客やサービスについて、ネットに悪く書かれたら大変”というようなことが書かれていました。
私はネットに悪口を書かれることを恐れません。
寧ろ「どんどん書いてくれたらいい」と思っています。