~シルベスター・スタローンの巻~
第一夜:シルベスター・スタローンのキャリアを我流紹介
第二夜:シルベスター・スタローンへの手紙
きょうは、その第二夜。
(ちなみにトップ画像は、スライの娘たち)
拝啓、スライ様。
トム・クルーズとか、80~90年代のスピルバーグとか、オスカー会員に嫌われている「と、されている」ヒットメーカーは多いですが、自分は、あなたがいちばん嫌われているのではないか・・・と、ずっと思っています。
初めてのノミネートは、『ロッキー』(76)の主演男優賞。
憧れのモハメド・アリとプレゼンターとして壇上に立ったとき、あなたはこういいました。
「―今夜、オスカーは取れないかもしれない。けれども偉大なスターと同じ舞台に立つことが出来て僕は光栄です」
・・・とはいったものの、本心は「取れる」と思っていたはず。
だって、最有力とされていたピーター・フィンチ(=『ネットワーク』)は故人となってしまったから。
「映画の祭典だからこそ故人を偲んで」という流れは現代であれば納得、しかし当時はそうでもなかったのではないでしょうか。
フィンチの名が読み上げられたときの、あなたの呆けた表情がそれを物語っています。
『ロッキー』は作品賞や監督賞を受賞したものの、オスカーはあなたに微笑まなかった。
それから約40年後―。
あなたは再びロッキー・バルボアを演じ、今度は助演男優賞にノミネートされます。
ファンだけでなく映画関係者のほとんどがあなたの受賞を予想、しかし封筒のなかに記された名前は『 ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)のマーク・ライランスでした。
この結果で確信したのです、あぁスライって嫌われているんだな、
そして誤解を恐れずにいえば肉体派のアクション俳優って根本的にバカにされているんだな、、、と。
※『コップランド』(97)の演技もよかった
『ドリヴン』(2001)で、若きレーサーに向かってあなたは「頭を使え」といいます。
多くのメディアはこれに対し、「お前がいうな」とツッコミを入れました。
白状します、自分もそう思ったものです。
ごめんなさい、でも弁解させてください。
同じように見えるツッコミでも、あなたの映画を愛したうえでのブラックジョークと、キャリアを軽くなぞっただけの軽口とでは差異が生じているはずなのです。
筋肉バカを文字どおりバカにする傾向は、いつの時代だってあると思います。
自分は映画の祭典としてのオスカー授賞式をこころの底から楽しんでいる映画小僧ですが、アカデミー賞なだけに、、、といいますか、いわゆるアカデミックな作品だけを評価するきらいがあるところは好きではないです。
「#me too」や人種差別主義的な問題は指摘されることがあっても、敢えてこういいます「バカでも分かる筋肉映画への差別」を突く声はほとんど聞かれません。
ロボット・怪獣映画を愛するデル・トロによる『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)の作品賞受賞は、「その壁」を超える可能性を孕んでいる―だから多くの映画小僧は涙したわけですが、
本年度のテレビ中継において、4部門―撮影賞、編集賞、短編実写映画賞、メイク・ヘアスタイリング賞―の発表をCM中におこなうと発表したアカデミー協会に過度な期待は抱けません。
想像ですが。
近しいひとたちから、「賞がすべてじゃない」といわれつづけてきたことでしょう。
自分だってそう思います。
批評家からボロクソにやられても大ヒットを記録―トム・クルーズ同様、「この感じ」が妬まれたというのはたしかにあったはず。
そして、いってしまいますが。断言してしまいますが。
前回の助演賞ノミネートこそ、あなたがオスカーに輝く最後のチャンスでした。
(その正反対にある)ゴールデンラズベリー賞は何度も受賞しているのに!
あなた自身は、じつはそれほど望んでいないかもしれないオスカー受賞を、映画小僧のほうが強く望んでいるという背景。
なんだか押しつけがましい表現ですが、そんなところにあなたの魅力があるのかもしれません。
だから。
しんどくなってきたとは思いますが、これからも、身体酷使という芸で我々を楽しませてください。
敬具。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『Trip a go go!!』
第一夜:シルベスター・スタローンのキャリアを我流紹介
第二夜:シルベスター・スタローンへの手紙
きょうは、その第二夜。
(ちなみにトップ画像は、スライの娘たち)
拝啓、スライ様。
トム・クルーズとか、80~90年代のスピルバーグとか、オスカー会員に嫌われている「と、されている」ヒットメーカーは多いですが、自分は、あなたがいちばん嫌われているのではないか・・・と、ずっと思っています。
初めてのノミネートは、『ロッキー』(76)の主演男優賞。
憧れのモハメド・アリとプレゼンターとして壇上に立ったとき、あなたはこういいました。
「―今夜、オスカーは取れないかもしれない。けれども偉大なスターと同じ舞台に立つことが出来て僕は光栄です」
・・・とはいったものの、本心は「取れる」と思っていたはず。
だって、最有力とされていたピーター・フィンチ(=『ネットワーク』)は故人となってしまったから。
「映画の祭典だからこそ故人を偲んで」という流れは現代であれば納得、しかし当時はそうでもなかったのではないでしょうか。
フィンチの名が読み上げられたときの、あなたの呆けた表情がそれを物語っています。
『ロッキー』は作品賞や監督賞を受賞したものの、オスカーはあなたに微笑まなかった。
それから約40年後―。
あなたは再びロッキー・バルボアを演じ、今度は助演男優賞にノミネートされます。
ファンだけでなく映画関係者のほとんどがあなたの受賞を予想、しかし封筒のなかに記された名前は『 ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)のマーク・ライランスでした。
この結果で確信したのです、あぁスライって嫌われているんだな、
そして誤解を恐れずにいえば肉体派のアクション俳優って根本的にバカにされているんだな、、、と。
※『コップランド』(97)の演技もよかった
『ドリヴン』(2001)で、若きレーサーに向かってあなたは「頭を使え」といいます。
多くのメディアはこれに対し、「お前がいうな」とツッコミを入れました。
白状します、自分もそう思ったものです。
ごめんなさい、でも弁解させてください。
同じように見えるツッコミでも、あなたの映画を愛したうえでのブラックジョークと、キャリアを軽くなぞっただけの軽口とでは差異が生じているはずなのです。
筋肉バカを文字どおりバカにする傾向は、いつの時代だってあると思います。
自分は映画の祭典としてのオスカー授賞式をこころの底から楽しんでいる映画小僧ですが、アカデミー賞なだけに、、、といいますか、いわゆるアカデミックな作品だけを評価するきらいがあるところは好きではないです。
「#me too」や人種差別主義的な問題は指摘されることがあっても、敢えてこういいます「バカでも分かる筋肉映画への差別」を突く声はほとんど聞かれません。
ロボット・怪獣映画を愛するデル・トロによる『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)の作品賞受賞は、「その壁」を超える可能性を孕んでいる―だから多くの映画小僧は涙したわけですが、
本年度のテレビ中継において、4部門―撮影賞、編集賞、短編実写映画賞、メイク・ヘアスタイリング賞―の発表をCM中におこなうと発表したアカデミー協会に過度な期待は抱けません。
想像ですが。
近しいひとたちから、「賞がすべてじゃない」といわれつづけてきたことでしょう。
自分だってそう思います。
批評家からボロクソにやられても大ヒットを記録―トム・クルーズ同様、「この感じ」が妬まれたというのはたしかにあったはず。
そして、いってしまいますが。断言してしまいますが。
前回の助演賞ノミネートこそ、あなたがオスカーに輝く最後のチャンスでした。
(その正反対にある)ゴールデンラズベリー賞は何度も受賞しているのに!
あなた自身は、じつはそれほど望んでいないかもしれないオスカー受賞を、映画小僧のほうが強く望んでいるという背景。
なんだか押しつけがましい表現ですが、そんなところにあなたの魅力があるのかもしれません。
だから。
しんどくなってきたとは思いますが、これからも、身体酷使という芸で我々を楽しませてください。
敬具。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『Trip a go go!!』