初対面のひとが自分の経験談で、強い興味を抱いてくれることはふたつ。
ひとつが40kgちかい減量、
そしてもうひとつが、私服保安員つまり万引きGメンの話。
きょうは、ふたつめがテーマ。
いくつかのオドロキエピソードについて話したあと、ほぼ100%聞かれることがある。
「万引きとか盗撮って、一目で分かるもの? あぁコイツはやるなとか」
「えぇ分かります、はっきりと分かります」
それは、たとえばバッグの間口が開いているとか、キョロキョロまわりを見ているとか、そういうのとはちがう。
所属してすぐに受ける講習マニュアルにはそう記してあるけれど、そういう感じのひとは実際にやらない。
また、誰がどう見たって怪しい人物―逮捕されたばかりの茨城・神栖市の女子大生殺人事件の犯人とか―は、いちおうマークはするものの、こういうヤツも意外とやらなかったりする。
決まっていう「魔が差した」というのはイイワケに過ぎず、やるヤツは店内に入る前から「きょうは、やる」と意気込んでくるのが常であって、
つまり、独特の負のオーラをまとっている。
それでいて、平静を装う。
だから、ほかの「無害なひとびと」と差異が生じる。
緊張してるんだな、分かり易くいうと。
だってふつうショッピングで緊張しないでしょう、みんな。
その緊張感がはっきり出るのが、目。
だから持ち物や動きではなく、私服保安員は相手の目を観察する。
目で「やるか、やらないか」を判断し、「コイツだ」と思った人物を観察する。
そりゃ外れることもあるけれど、7割くらいで予想が的中しますよと。
嘘を見抜くときのポイントになるのも目だしね、目だけは真実を物語るということかもしれない。
「やっぱりセンスが問われる職業なのかな」
「どうなんでしょうね、経験を積めばそこそこカバーは出来ますけど、自分を教えてくれた先輩は入社してすぐにその能力を発揮して、連日のように複数を逮捕していたので・・・自分はセンスないと思いますけど、やっぱり少しは絡んでくるのかと」
「でも牧野さんも、そこそこ逮捕したんでしょ」
「自分の場合はアレです、不良とかのヤンチャじゃなくて、ひとりでコソコソ悪いことする地味なワルガキだったので、昔の自分のような雰囲気のヤツを探すだけっていう、ずるい方法を取っていたんです」
「ずるいって(笑う)」
「ともかく、センスとはちがうと思いますよ」
そんなわけなので。
これから悪いことしようとするひとへ。
「よし、目だな。これから目を気をつけよう」
じゃなく、悪いことなんかするものじゃないよ!!
以上、元ワルガキより。
※「目」というより、「瞳」と書いたほうが適切かな。
映画のなかの「瞳」で最も印象的だったのは、『フェイク』(97)のジョニー・デップ。
彼(潜入捜査官)の行為は正義にちがいないが、しかし瞳は絶望を表現していた。
「お前がイヌだとしたら、俺は笑いものだ」
そう発するアル・パチーノの枯れた演技も素晴らしかった。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『まっき~写真館@45歳』
ひとつが40kgちかい減量、
そしてもうひとつが、私服保安員つまり万引きGメンの話。
きょうは、ふたつめがテーマ。
いくつかのオドロキエピソードについて話したあと、ほぼ100%聞かれることがある。
「万引きとか盗撮って、一目で分かるもの? あぁコイツはやるなとか」
「えぇ分かります、はっきりと分かります」
それは、たとえばバッグの間口が開いているとか、キョロキョロまわりを見ているとか、そういうのとはちがう。
所属してすぐに受ける講習マニュアルにはそう記してあるけれど、そういう感じのひとは実際にやらない。
また、誰がどう見たって怪しい人物―逮捕されたばかりの茨城・神栖市の女子大生殺人事件の犯人とか―は、いちおうマークはするものの、こういうヤツも意外とやらなかったりする。
決まっていう「魔が差した」というのはイイワケに過ぎず、やるヤツは店内に入る前から「きょうは、やる」と意気込んでくるのが常であって、
つまり、独特の負のオーラをまとっている。
それでいて、平静を装う。
だから、ほかの「無害なひとびと」と差異が生じる。
緊張してるんだな、分かり易くいうと。
だってふつうショッピングで緊張しないでしょう、みんな。
その緊張感がはっきり出るのが、目。
だから持ち物や動きではなく、私服保安員は相手の目を観察する。
目で「やるか、やらないか」を判断し、「コイツだ」と思った人物を観察する。
そりゃ外れることもあるけれど、7割くらいで予想が的中しますよと。
嘘を見抜くときのポイントになるのも目だしね、目だけは真実を物語るということかもしれない。
「やっぱりセンスが問われる職業なのかな」
「どうなんでしょうね、経験を積めばそこそこカバーは出来ますけど、自分を教えてくれた先輩は入社してすぐにその能力を発揮して、連日のように複数を逮捕していたので・・・自分はセンスないと思いますけど、やっぱり少しは絡んでくるのかと」
「でも牧野さんも、そこそこ逮捕したんでしょ」
「自分の場合はアレです、不良とかのヤンチャじゃなくて、ひとりでコソコソ悪いことする地味なワルガキだったので、昔の自分のような雰囲気のヤツを探すだけっていう、ずるい方法を取っていたんです」
「ずるいって(笑う)」
「ともかく、センスとはちがうと思いますよ」
そんなわけなので。
これから悪いことしようとするひとへ。
「よし、目だな。これから目を気をつけよう」
じゃなく、悪いことなんかするものじゃないよ!!
以上、元ワルガキより。
※「目」というより、「瞳」と書いたほうが適切かな。
映画のなかの「瞳」で最も印象的だったのは、『フェイク』(97)のジョニー・デップ。
彼(潜入捜査官)の行為は正義にちがいないが、しかし瞳は絶望を表現していた。
「お前がイヌだとしたら、俺は笑いものだ」
そう発するアル・パチーノの枯れた演技も素晴らしかった。
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明日のコラムは・・・
『まっき~写真館@45歳』