Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

じじばばシネマ

2014-09-15 00:30:00 | コラム
○○の日にちなんで―というものは敢えて避けてきたのだが、友人から先日、
敬老の日に贈って喜ばれる「老人を主人公とした、素敵な映画」を紹介してくれと頼まれ、30作品のタイトルを書いたメールを返信した、、、ので、その「考えた時間」を有効活用してみようと思う。

それが素敵に捉えられるかどうかは分からんが、「じじばば」が出てくる映画であれば「じじばば、が、頑張る」物語が好きだ。

どこに向かい、どうやって頑張っているかは不問。
それが意味のあるものかも、この際どーでもいい。

とにかく闇雲に頑張る「じじばば」の姿は、少なくとも自分の胸を打つ。

「そうでない」作品も含まれるが、「そうである」作品を中心にセレクトしてみた。


(1)『生きものの記録』(55)

核兵器に怯え、ブラジルに移住しようとする老人を描いた、黒澤の異色作。
当時35歳の三船が70歳のキャラクターを演じた点においても異色。

黒澤晩年の『八月の狂詩曲』(91)が批判されたのは、『生きもの』で描いた迫力が「ぜんぜん、なかった」ことによるのだろう。

ともかく3.11後にこの映画を観ると、それ以前に抱いていたイメージを「まるごと」覆されてしまう。

(2)『ストレイト・ストーリー』(99)

トラクターで旅をする老人を描いた、鬼才デヴィッド・リンチによるロードムービー。

亀よりは速いが、チャリよりは遅かったかも。

(3)『グラン・トリノ』(2008)

いぶし銀イーストウッドの、『許されざる者』(92)に次ぐ傑作。

現在のイーストウッドが演じれば、それはそのまま「がんばるじじ」の映画になるのだ。




(4)『東京物語』(53)

味わい深さという意味では、この映画がダントツ。

笠智衆よりも東山千栄子に感じ入ってしまうのは、マザコン気質のある自分ゆえ、、、だろうか。

(5)『八月の鯨』(87)

リリアン・ギッシュ、93歳のときの主演作。

たぶんこの作品からだと思う、映画における老人の描きかたに「明らかなる変化」が見られたのは。

(6)『ドライビングMissデイジー』(89)

ヨボヨボになっても、気高さは失われない。

そんなジェシカの、オスカー受賞スピーチを。




(7)『黄昏』(81)

ヘンリー・フォンダと、その娘ジェーン。
物語における親子の和解が、実生活の和解と重なって感動的。

映画は基本的にバックステージを知らなくてもいいとされているが、特例的に「知っておいたほうがいい」作品もある。

(8)『マルタのやさしい刺繍』(2006)

老婦人が作る下着に町のひとびとが癒されていく、やさしいやさしい物語。

90分に満たず、しかもスイス産というところが新鮮な小品でした。

(9)『大誘拐』(91)

誘拐された老婆が誘拐犯を翻弄するコメディ。

北林谷栄が快演、彼女のおかげで岡本喜八が久し振りに輝いた―といっても、誰も否定しないだろう。

(10)『ヴィーナス』(2006)

老人(ピーター・オトゥール)が、姪の娘ジェシーに悶々とする物語。

まだチューネンの自分だって、彼の気持ちは、よーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく、分かるぜよ!!

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(89)』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初体験 リッジモント・ハイ(93)

2014-09-14 07:08:42 | コラム
トップ画像は、先日の読売夕刊に掲載されたガールズバンド「Silent Siren」の記事。

彼女らの音楽をきっちり聴いているというわけでもないし、はっきりいえば趣味でもないけれど、
ラジオ局「NACK5」を集中的に取材している時期があって、そのころに対面したことがある。
モデルをやっている子たちだから、みんな可愛いし、明るい性格だったのでそれ以来応援している。

ドラム担当の「ひなんちゅ」は、ゲーム『太鼓の達人』の超絶テクニックをテレビで紹介されたことがあり、知っているひとも多いのではないか。

そこでドラムをやっているひとに「『太鼓の達人』のテクニックで、ドラムの上手い下手は分かるのか」と問うてみた。

「いやぁ、それはないよ」
「ないの?」
「あれは、あくまでも器用不器用の話」

そうらしいです、はい。


音楽やっているひとから「それ系の映画で、いいの知らない?」と聞かれることが多い。

いつも答えるのが、91年の『ザ・コミットメンツ』。
アイルランドはダブリンに住む白人の若者たちがバンドを組み、黒人音楽「ソウルミュージック」を演奏し歌う。




「成り上がり、損ねた」というビターな結末も味わい深く、音楽を主題とした映画では自分のなかにおける最高傑作なのだった。

それを観たミュージシャン志望の知り合いが、翌日、自分に食ってかかってきた。

「なんで、ああいう映画を薦めたんですか!?」
「あれ、楽しめなかった?」
「楽しめないですよ、あんな結末!」
「あぁ…」
「牧野さんは、俺が、失敗すればいいと思っているんですか!?」

わぁ、、、コイツとは無理だなと思った。ふつうの友人関係を築くのは。

まぁいろんなヤツが居るからね、それ以上のことは書かないけど。


高校時代―ベースをやっているクラスメイトから、

「まっき~、映画の世界に進むんだよな。『シド・アンド・ナンシー』って観た? ああいう映画を創ってくれよ」

といわれたことがある。

セックスピストルズのベーシスト、シド・ビシャスの波乱の生涯を描いた86年の映画。
完成度はともかく、シドを演じるゲイリー・オールドマンは似ていたし、アレックス・コックスによる「かぶき演出」もうまくいった快作だと思う。(ナンシーの不細工加減も素晴らしい!)

そんな映画を創ってくれよといったクラスメイトこそ、自分をバンドに誘った張本人だった。

だが。
ドラムなんか買えないし。
映写技師のアルバイトをしていたけれど、稼いだ金はすべて映画に消えていたし。
そもそもの話、前日に書いたように自分の音楽センスを信用していなかったし。

クラスメイトにひとり、お坊ちゃんが居た。

彼の兄貴がかつてドラムを叩いていて、使われなくなった一式がガレージに仕舞われたままという。

群馬の片田舎にガレージを持つ―それ自体が夢のような話だが、使っていないというのであれば、いただくのは無理だとしても叩かせてもらおうと。

・・・・・で、数時間で挫折した。

スティックを持つ手が震える。
その震えが、ぜんぜん止まらない。

緊張すると歩きかたがヘンになるひとって居るでしょう?
右手と右足を揃えちゃう、、、みたいな。

あんな感じなのである。
だから当然、右手左手右足左足それぞれを別々に動かすなんていうことは出来なかった。

「慣れだよ、慣れ」と仲間はいうが、ときとして「早く悟る」ことも大事である。

幸運なこと? に、その坊ちゃんというのが暇人で、そこそこ器用なヤツだった。
彼が「じゃあ、俺ドラムやるよ」といいだし、これでバンド結成。


・・・あれ、じゃあ、まっき~どうする?

いやいや、俺、そもそも、はっきりとイエスとはいってないし。

群馬の県民性だろうか、みんな優しいから「お前は要らなくなった」とはいわない。

「いいよ、帰ってバイトするよ」とは、なんとなくいい難くて「文章なら自信あるよ、じゃあ、オリジナルの歌詞を書いてみようか?」といってみた。

あぁ、それいいかも!!

と、皆が同意。

そんなわけで彼らのために、曲を創ることになったのである。


ここからは新しい展開になるので、また次回に。


おわり。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『じじばばシネマ』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初体験 リッジモント・ハイ(92)

2014-09-13 00:30:00 | コラム
得意なこと、自信があること。

(1)まぁ速筆
これで喰っているわけだし。

(2)映画「偏」愛
イマサラ説明不要か。

(3)大食い
昔ほどではないが。

(4)映画的記憶力
観た映画の記憶だけでなく、誰がどんな映画を観てどういう感想を持ったのか、細かいところまで覚えていて「とーちゃん」や「ねぃちゃん」に感心されること多し。

(5)自転車
であれば、たぶん何時間乗っていようと弱音を吐かない。

(6)スピーチ
結婚式でも壮行会でもOK。
ほとんどのひとが嫌がる傾向にあるが、自分は好きだし、たぶん、たぶんではあるが、スベリ知らずだと思う。(たぶん、、、ね!)

(7)掃除
掃除屋まっき~、なんつって。
殺し屋の隠語としてなら格好いいが、これは文字どおり掃除が好きだから。

・・・このくらい、かなぁ。

では逆に不得意なこと、自信がないこと。

(1)球技
肥満児時代を脱して以降、スポーツ全般は(冬のものを除いて)そこそこ出来る、、、ような気がしているが、それでも球技はダメ。
松尾スズキも同様で、「丸め! コロコロしやがって!!」といっていたが、ほぼ同意する。

(2)植物
花の名前や、それぞれの特徴を覚えることが苦手。ぜんぜん頭に入らない。

(3)ムードを作る
たとえ死ぬほどエッチがしたくても、ムードを作ることが出来ないし、作るつもりもない。
ただはっきりと、エッチがしたいとしかいえない。
それを「素直でよろしい」といってくれる女子も居るし、「このひととは、ダメ…」と思ってしまう女子も居る。


そして、

(4)楽器の演奏

小学生のころなんて、すべての授業が遊びみたいなもの―そう捉えることも可能だと思うが、音楽の授業はどうにも楽しめなかった。

歌のテストは、とりあえず声がでかいからクリア。
しかし楽譜は読めないし、カスタネットくらいは出来るけど、ハーモニカもリコーダーもアコーディオンもダメだった。

早い段階で「自分には楽器演奏のセンスがない」と悟ったものだから学習する気も起こらない、ただひたすら「時間よ早く過ぎろ!」と念じているようなガキだった。


いわゆるバンドブームが起こったのは、自分が中学3年~高校1年のころ。

なんといっても群馬はBOOWYやBUCK-TICKを生んでいる。
まだサッカー熱も根づいていないころだから、野球少年以外のほとんどが長髪にして楽器をやり始めた。

だいたい、7割がベース希望。
これは、いつの時代だって変化がないのではないか。

次いでボーカル、ギター、ときどきキーボードが入って、最後はドラム。

ドラム格好いいと思うけれど、目立つことは少ないからねぇ。


ここで唐突に、アルバイト「あるある」をやってみたい。

その壱―だけしかやるつもりはないのだが笑、
「必ずひとりやふたりは、バンドやっている子が居る」。

どう、これ?
そうでしょう?

実際、自分はいろんなアルバイトを経験してきたが、
自分のようなモノカキ志望に会ったことはなく、「ほぼすべてのバイト先で」俳優あるいはミュージシャン志望が存在した。

そのくらい、目指すひとが多いってことだよねぇ!!


そして奇妙なこと? に・・・
あるバイト先では、ドラムをやっている子がふたりも存在した。
これはたいへんに珍しいことのように思う。
だって、はっきりいうが、いちばん人気のないパートなんだもの!


自分の少年期に話を戻す。

バンドやるつもりのなかった自分に、クラスメイトのひとりが声をかけてきた。

「なぁまっき~、俺と一緒にバンドやらない?」
「バンド? 俺、なにも出来ないよ」
「みんなそうだよ。ここから練習すればいいんだよ」
「なにをやれっていうの?」
「ドラム」
「ドラム!?」
「うん、まっき~の体型にいちばんあっていると思う」

肥満児だからドラムって・・・・・。

というわけで、今回の初体験シリーズは「初めて自分が参加したバンド」でいってみよう。

というか、初めてもなにも「これ一回きり、、、」だったんだけど!!


つづく。




…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(93)』

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンプルがいっぱい

2014-09-12 08:50:25 | コラム
世間では不要なモノなどを減らしていく生きかた「断捨離」が流行中というが、
消費主義の申し子? を名乗り、コレクター気質なところもある自分なんかには無理な話で。

死んじゃったときのことを考えると、残されたひとが迷惑するのは分かっているのだがねぇ。。。


部屋のなかをぐるりと見回してみる。

(1)世界のビール瓶コレクションが137本。
ほんとうは「もっとあった」んだが、50本くらいが3.11で落下して割れてしまった。

(2)無職となって「ひきこもり」になったとしても、死ぬまでに観終えることが出来ないであろうブルーレイ/DVDが1533枚。

内訳は、映画が7割・スポーツ2割・音楽1割。

休日があっても、いつも『タクシードライバー』(76)か『天国と地獄』(63)を流しているため、観なきゃいけない作品がいっこうに減らない。

つまり(1)も(2)も、はっきりいえば「要らないもの」なんだ。

ただ、眺めて気持ちいい思いを抱いていることはたしかであり、これらすべてを処分したとすれば、そのときの感情は「あぁ、すっきりした!」ではなく、たぶん「あぁ、寂しい…」となるのであろう。

そこにあるだけで、主人を幸福な気分で満たしてくれる―随分と金をかけたしスペースも取るが、存在価値はあるんだよ。


だがこれは、あくまでも自分が購入したものだけの話であり。
困ってしまうのは・・・いや、けっこううれしくもあるのだが、仕事柄、ビデオメーカーから送られてくる沢山のサンプルだ。

主に、、、というか、99%がAVね。

月に10枚として、年間120枚。
AV批評を始めて10年くらい経つから、計1200枚。
この計算が正しいのか実際に確認してみると、サンプルのAVは1435枚もあった。

自分で購入したAVを除いた数である。

「俺はこういうヤツ? なんだ」ということを最初に説明しておかないと、部屋に遊びにきた女子が逃げ出す量じゃないか。

実際、何度か引かれたことがある。
(なかには、「きゃー、なにこれ。観せて、観せて!!」という好奇心旺盛な子も居たが)

サンプルというのは「単なるサービス」という意味合いもあるにはあるが、ことばにしないまでも「この作品を取り上げてくださいよ」というメッセージがこめられているものであり、とりあえずは全編に目を通すわけだ。

自分の趣味嗜好に沿うものもあれば、そうでないものも、もちろんある。
アヘアヘいいながら、ひぃひぃいいながら、10年間で少なくとも1435枚のAVを鑑賞していることになる。
3650日で1435本ということは、少なくとも3日で1本以上。
ここに「自分で購入したもの」を加えたら、ほぼ毎日観ているんだよ。

あぁなるほど、こういう生活を繰り返せば、自分のようなザーメンキチガイが出来上がるというわけだね。


さて問題は、このサンプルDVDをどうするのかってこと。

(1)ブックオフなどで売る?

否。

昔は買い取ってくれたが、現在は「サンプル」と刻印されたものは買い取りを拒否されてしまう。

流通網に乗せられないからであろう。

(2)友人知人に譲る

うん、実際にそうしてきたんだ。
そうしてきたにも関わらず、まだ1435本も残っている。

いやこれは、正しい表現ではないな。
ひとりに200枚くらい譲り、一晩でかなりの量を減らしたこともあったのだが、その翌日にサンプルが届けられることも多くてね、
そうなんだ、じつはきのうも届けられたのだが、自分がこの仕事を辞めないかぎり、この世からAVがなくならないかぎり、自宅の「サンプルがいっぱい」状態は解消されないのである。


結論。
もう開き直って、1枚も譲らずに「サンプルの塔」を建ててみようと思う。


※トップ画像は、タイの数学の教科書に登場「しちゃった」日本人女性。



なぜ「しちゃった」と記したかというと、じつは彼女、『教育実習でやってきた「まな」先生はスパルタ授業でたちまち生徒から不人気に! そんなまな先生思わぬところに弱点が…。』というAVに主演した女優さんだったのである。
つまりネットで拾った画像をそのまま採用しちゃったことから、こんな展開になったと。

現在は、べつの画像に差し替えられたとか。

この業界で喰わせてもらっている身としては、いいじゃんべつに!! とも思うが、いやいや、まず言及すべきは、この画像を指摘したひと、よく気づいたね!! ということだろう。


♪ ボクが落ちぶれたら、迷わず古い荷物を捨て~ ♪




…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(92)』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

にっぽん男優列伝(244)東野英治郎

2014-09-11 00:30:00 | コラム
07年9月17日生まれ・94年9月8日死去、享年86歳。
群馬出身。

なんかトップに、どえらい画像を持ってきてしまいましたが・・・笑

製糸場の世界遺産登録で湧きに湧いている群馬は富岡出身の東野英治郎(とうの・えいじろう)さん、
一般的には長寿ドラマ『水戸黄門』(TBS)のシリーズで、69年から83年まで徳川光圀を演じ続けた「黄門様おじいちゃん」として有名です、、、が、じつは自分、このドラマをマトモに観たことがないんですね。

幼心に「権威主義のドラマだし!」と思っていたのかもしれません。

そんなはず、ねーって。

ともかく自分にとって東野さんとは、黒澤映画における「主人公を助けるおじちゃん」です。

『野良犬』(49)で黒澤組に初参加、『七人の侍』(54)、『生きものの記録』(55)、『どん底』(57)を経た61年、『用心棒』で居酒屋の権爺を演じる。

金のない桑畑三十郎に酒と飯を与え、宿場町「事情」を分かり易く説明―ある意味で、狂言回しのようなキャラクターでした。

『天国と地獄』(63)では靴工場の工員として登場、「現場の人間で権藤さんを恨むようなヤツは居ないです」と警察に答えて権藤さんをサポート。

『赤ひげ』(65)までの7本の黒澤映画に参加、小津作品にも顔を出していますが、やっぱり黒澤組のひとだよね、、、と。




<経歴>

実家は造り酒屋だったそうです。
明治大学在学中に左翼運動に参加、それがきっかけでプロレタリア演劇研究所の第一期生になる。
その後も社会性の強い戦う舞台の出演をつづけるも、政府による「新劇弾圧」で検挙されたりしました。

戦中からいくつかの映画には顔を出していました―『兄いもうと』(36)、『海援隊』(39)、『海軍』(43)、『陸軍』(44)―が、本格的参入は戦後になってから。

40年代後半より映画出演の機会が増え始め・・・
『月の出の決闘』(47)、『女優須磨子の恋』(47)、『破戒』(48)、『無頼漢長兵衛』(49)などで派手さはありませんが安定感のある演技を披露しています。

ここからドドッと映画のキャリアを並べますが、面白いなぁと思うのが、教師・校長など教育関係者のキャラクターを演じることが異様に多いこと。
あぁ、たしかに似合いますものねぇ!!

51年…『中山安兵衛』『自由学校』
52年…『山びこ学校』『原爆の子』『慟哭』
53年…『浅間の鴉』『雁』『赤い自転車』『東京物語』
54年…『勲章』『太陽のない街』『潮騒』
55年…『ここに泉あり』『警察日記』『愛のお荷物』
56年…『夕やけ雲』『夜の河』『森は生きている』『あなた買います』『早春』

大番シリーズ…加東大介が主演するコメディのシリーズで、東野さんは「チャップリンさん」を好演する
『大番』(57)、『続大番 風雲篇』(57)、『大番 完結篇』(58)

57年…『柳生武芸帳』『雪国』『純愛物語』『黒い河』

警視庁物語シリーズ
『警視庁物語 夜の野獣』(57)、『警視庁物語 一〇八号車』(59)、『警視庁物語 血液型の秘密』(60)

58年…『手錠』『楢山節考』『裸の大将』『悪女の季節』
59年…『キクとイサム』『野獣死すべし』『浪花の恋の物語』『お早よう』
60年…『大いなる旅路』『国定忠次』『武器なき斗い』

社長シリーズ…森繁久彌が主演する東宝の看板シリーズ
『サラリーマン忠臣蔵』(60)、『続サラリーマン忠臣蔵』(61)、『サラリーマン清水港』(62)、『続サラリーマン清水港』(62)、『社長洋行記』(62)、『社長忍法帖』(65)、『社長行状記』(66)、『社長えんま帖』(69)、『続・社長えんま帖』(69)、『社長学ABC』(70)、『続・社長学ABC』(70)

61年…『豚と軍艦』『永遠の人』『世界大戦争』
62年…『キューポラのある街』『秋津温泉』『秋刀魚の味』
63年…『古都』『海軍』『武士道残酷物語』『江分利満氏の優雅な生活』

クレージー映画シリーズ
『クレージー作戦 くたばれ!無責任』(63)、『クレージーだよ天下無敵』(67)、『クレージーの怪盗ジバコ』、『クレージーのぶちゃむくれ大発見』

64年…『傷だらけの山河』『乾いた花』
65年…『侍』『無法松の一生』『四谷怪談』
66年…『とべない沈黙』『本能』『白い巨塔』


全キャリアを載せると、映画だけで300本を超えるそうです。

素直に、すごい!!

このあとも『斬る』(68)や『復讐の歌が聞える』(68)、『トラ・トラ・トラ!』(70)、『獄門島』(77)などできっちり仕事をこなしつつ、テレビでは黄門様を演じていたわけです。

タフですなぁ!!

78年には映画版の『水戸黄門』でもタイトルロールを演じ、『居酒屋兆治』(83)、『千利休 本覺坊遺文』(89)と、本数は減ったものの映画の現場にも顔を出しつづけました・・・が、90年の『あげまん』を最後にスクリーンに登場しなくなります。

94年9月8日、自宅で心不全のため死去。
享年86歳ですが、なんだかずっと前から80歳を超える印象があったのは、やっぱり黄門様の影響かしら?

このひとの演技を見ていると、なんだか不思議と落ち着きます。
怒鳴ってばっかりの『用心棒』でさえも。

あぁまた「あばよ!」を聞きたくなったので、『用心棒』のDVDを流そうかしら。


次回のにっぽん男優列伝は、時任三郎さんから。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『サンプルがいっぱい』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする