僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

山姥…③

2007年04月03日 | いろいろな顔たち
何で山姥なんかになったのかっていうんか?

そりゃ山姥に生まれたからに決まっとるじゃろ
山姥の子は山姥
百姓の子は百姓だ

おめは金持ちんとこさ生まれねでよかったさ
サチ、おめはおめぇだからええんじゃ
山姥だて山姥以外になろうなんて思ってねぇ

ちっちぇえ頃はいろんな事考げぇた
山さ降りて普通のわらしっ子と遊びてぇと思ったこともあった
なしてできねぇとおかぁに泣いてすがったこともあった

気がついたらおかぁも一緒に泣いてた
そりゃ山姥だって泣くときもあれば笑うときだってある
抱っこされて泣き寝入りするときだって…


さ、サチもうええだろ
けえれ
サクラの根元にはえとるきのこさいっぱいとって家へけえれ
おとうもおかぁも心配しとるじゃろ

そう言うと山姥は山の奥へ歩き始めた
サチはもう一度サクラを見上げてみた
あれが本当におらが咲かせた花なんだろか

山姥にも自分と同じように子どもの時があったんだて
おかぁに抱っこされたこともあったんだて
ちょっと嬉しいようなおかしいような気がした


振り返るともうそこに山姥の姿はなかった

サチは急にさみしくなった

画像はネットから拝借しました。問題がある場合はご連絡ください。



コメント (17)
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