僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

歩く女…③

2007年09月23日 | 何でも掲示板
カラスが2度続けて鳴いた。

真っ直ぐに歩けない?
じゃっじゃっと当たる玉砂利の感覚は靴を通して心地よく感じるのだが、
一歩一歩踏みしめる度に横にずれていく。

強く歩き過ぎね。

女は少し小股になり、なるべく大きな音がしないように歩きを変えてみた。
ヒールが玉砂利にくいこみ沈み込んだ後指圧をされているように足裏が押される。
あれ?そうなんだぁ。滑り台みたいだわ。

女が思い当たったのは、小学生だった頃遠足で行った公園にあったローラー滑り台だった。
お尻をつけて滑るものと違い、滑走面に隙間無くローラーがついていて、
しゃがみ込んだ姿勢で足裏をつけて滑っていく滑り台だ。
女は足裏に伝わるローラーの心地よい刺激に魅せられ、その後何度も父親にねだってその公園に出かけた。

私は歩きながら滑ってる訳ね。

振り返ると、女が歩いた後がはっきりと分かった。
そこだけ玉返しをしたように緑のコケが見えている。

ほぅっと梟が鳴き、境内を浮かび上がらせていた照明が瞬いて消えた。

女の背中に悪寒が走った。

アレが来た!封印していたはずのアレが真っ赤に染まってフラッシュバックした。
コメント
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