岡田さんは一眼レフカメラのミラーとシャッターの構造を教えてくれた。
それはカメラの機械的な面白さを辰雄に与えるものだった。
辰雄が実際に自分の写真を撮り始めると、プリントされた写真を見ながらカメラの絞りとシャッタースピードの関係について教えてくれるのだった。
それは写真を撮るというソフトの魅力を辰雄に与えることになった。
説明する岡田さんの顔は写真家の立木義弘のようにカッコ良かった。
「辰雄君ほら、このポートレイトは髪の毛が一本一本光ってるだろう」
「うん、篠山紀信っぽい」
「逆光で撮ってるからなんだ」
「でも逆光っていけないんでしょう?」
「普通、白くとんじゃったり顔が暗くなっちゃうからね。でもこうやって撮ると逆光はいいね」
「ふーん」
「辰雄君も人間を撮る時は逆光になるようにしてごらん、きっといいから。ただし条件がある」
「なに?条件って。僕にもできること?」
「できるよ。まずバックが暗いところを選ぶ。それから絶対にいけないことはカメラのレンズに直接日が当たらないこと」
「逆光だと当たっちゃうでしょう?」
「フードをつければ大丈夫だ」
「このオリンパスPENにフードは付けられないでしょう?」
「付けられないけどね、こうやって影を作ればいいんだ」
岡田さんは右手にカメラを構え、左手でひさしを作った。電灯の側に立ってレンズに入る光を遮る様子をやって見せた。
「逆光はいけないって言うもんだからみんなお日様のほう向いて撮るよね。記念写真なんか特にそう。あれ、みんなまぶしそうな顔になっちゃうね」
「そうなのかぁ」
「あとね、絞りはできるだけ開けること」
「えーそうなの?できるだけ絞るんじゃないの?」
「絞った方がピントが合うんだ。ピント深度っていうのがあってね。でもそれはあとで言うからね。とにかく写ってるもの全部にピントが合っちゃったら面白くないだろう?」
岡田さんは写真雑誌をめくりながら説明を続けた。
「自分が撮ろうと狙ったもの、これを写したいと思ったものだけジャスピンにしてあとは適当にボケてるとメリハリって言うか立体感が出る。ほら、これとこれ、どっちがいい?」
「ほんとだ。僕にもできるかなぁ」
「辰雄君ならできるよ。絞りを開けたらその分シャッターを早くするんだよ。全体が暗いところはちょっと無理かな。最近『ISO400』のフィルムがコダックからでてるからそれ使ってみるのもいいかな」
試してみる機会はそれからすぐに来た。
それはカメラの機械的な面白さを辰雄に与えるものだった。
辰雄が実際に自分の写真を撮り始めると、プリントされた写真を見ながらカメラの絞りとシャッタースピードの関係について教えてくれるのだった。
それは写真を撮るというソフトの魅力を辰雄に与えることになった。
説明する岡田さんの顔は写真家の立木義弘のようにカッコ良かった。
「辰雄君ほら、このポートレイトは髪の毛が一本一本光ってるだろう」
「うん、篠山紀信っぽい」
「逆光で撮ってるからなんだ」
「でも逆光っていけないんでしょう?」
「普通、白くとんじゃったり顔が暗くなっちゃうからね。でもこうやって撮ると逆光はいいね」
「ふーん」
「辰雄君も人間を撮る時は逆光になるようにしてごらん、きっといいから。ただし条件がある」
「なに?条件って。僕にもできること?」
「できるよ。まずバックが暗いところを選ぶ。それから絶対にいけないことはカメラのレンズに直接日が当たらないこと」
「逆光だと当たっちゃうでしょう?」
「フードをつければ大丈夫だ」
「このオリンパスPENにフードは付けられないでしょう?」
「付けられないけどね、こうやって影を作ればいいんだ」
岡田さんは右手にカメラを構え、左手でひさしを作った。電灯の側に立ってレンズに入る光を遮る様子をやって見せた。
「逆光はいけないって言うもんだからみんなお日様のほう向いて撮るよね。記念写真なんか特にそう。あれ、みんなまぶしそうな顔になっちゃうね」
「そうなのかぁ」
「あとね、絞りはできるだけ開けること」
「えーそうなの?できるだけ絞るんじゃないの?」
「絞った方がピントが合うんだ。ピント深度っていうのがあってね。でもそれはあとで言うからね。とにかく写ってるもの全部にピントが合っちゃったら面白くないだろう?」
岡田さんは写真雑誌をめくりながら説明を続けた。
「自分が撮ろうと狙ったもの、これを写したいと思ったものだけジャスピンにしてあとは適当にボケてるとメリハリって言うか立体感が出る。ほら、これとこれ、どっちがいい?」
「ほんとだ。僕にもできるかなぁ」
「辰雄君ならできるよ。絞りを開けたらその分シャッターを早くするんだよ。全体が暗いところはちょっと無理かな。最近『ISO400』のフィルムがコダックからでてるからそれ使ってみるのもいいかな」
試してみる機会はそれからすぐに来た。