僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 辰雄が持ってきた

2008年12月16日 | ケータイ小説「パトスと…」
6月の日曜日だった。

もう少し待てば夏休みになるのにとの意見もあったが、
夏休みは夏休みで部活やプールでみんなが揃うのは難しいのではということになったのだ。

前日の午後までぼそぼそと雨を落としていた灰色の空だったが、当日はうそのように晴れ、初夏特有の澄んだ水色になった。

「ほーら、私が言ってた長期予報当たったね」
「雨だったら嫌だもんね」
「留美子、お天気キャスターになれば?」

「アタシが晴れ女だからよ」
「晴れ女って言うなら私でしょう」
「えーっ違うよぅ、こないだ雨だったじゃん」

朝から切れ目なくおしゃべりを続ける女子達だった。


「あっ私ったら忘れた!」

「ん?なになに?何忘れたの?」

「カメラ。せっかくお父さんに借りたのに…」


全員の口が一瞬止まった。

そして全員の目が辰雄に動いた。


「大丈夫、俺が持ってるよ」





















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