僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

明日へ…けむり

2012年11月18日 | ケータイ小説「パトスと…」
あそこで雲を作ってるんだね

うん、そうね、毎日ずっと作り続けてるんだ。


子どものような冗談で笑おうと思って言った辰雄だったが
留美子は真顔でつぶやいた。


地球はどんどん暖まってる、空も海も

そうらしいよね


原子力は二酸化炭素を出さないから地球に優しいなんて嘘
原子でそのまま発電なんてできないから、熱い蒸気を作るのは火力と同じだし
海の水で冷やしてるから海を毎日暖めてるんだわ。

発電しなくなったものが何年も海を暖め続けるんだよね

そう、廃棄物なのに暖め続けてる


留美子は焼却炉の煙突からでる煙をじっと見ながら自分に言い聞かせるように話し続ける


ゴミをああやって処分してくれるからみんなそれが当たり前だと思ってる
そう言ってるわたしだって普通に沢山ゴミって出してるわ

オレは面倒だけど分別はちゃんとしてるよ

そうなんだけど、ときどき思うの

何を?

こんなに毎日毎日ゴミをだしてていいのかって



留美子はこのテの話をし出すと終わりがない

辰雄は真顔で話し続けるそんな留美子の横顔が好きだと思った
まばたきする度にシュッと動くまつげや
ほほの上の方にいくつか散っているそばかすや
暖かく湿った赤い唇からのぞく真っ白な歯
辰雄もそう思うでしょう?と、時折振り向く、怒ったような顔が笑顔に変わる瞬間が好きだ。














コメント
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