ジミーは疲れ切っていた。
大きく肩で息をし喘いだ。苦しくてはきそうだった。
ただ岸にたどり着いた満足感で、石に抱きついたまま眠ってしまいたいと思ったほどだ。
仲間に助け起こされた。
振り返ると子どもが抱きかかえられ数人の仲間とともに親元にリレーされるのが見えた。
岸から上がり、誰かがかけてくれたタオルが暖かいと感じられるようになった時、叔父はマドンナを探した。
沢山の人が集まっていたが、マドンナの姿は見えなかった。
彼女のことだ、人垣を抜けてとっくに家に帰ったのだろうと思った。
できれば抱き合ってお互いの健闘を称え合いたいと密かに願った。
耳元で、良かったね、ジミーすごいよ、と言ってもらえたらどんな疲れも吹っ飛んでしまう気がした。
手渡された温かい飲み物をすすり息も落ち着くと側にいた仲間に尋ねた。
「マドンナは?」
仲間は唇をぎゅっとかみしめながら沖を見つめて言った。
「まだ戻ってないんだ…」
つづく
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