原田マヤさんの小説「楽園のカンヴァス」を読み終えた話の続きです。
2014年7月1日に新潮社が発行した文庫本「楽園のカンヴァス」の表紙を飾るのは、アンリ・ルソーが没した1910年に描いた「The Dream」(夢)と呼ばれる絵画です。アフリカと思われるうっそうとしたジャングルの前にソファーが置かれ、そのソファーの上に裸の女性が横たわっているものです。女性は、ジャングルにいるトリやサル、ゾウ、雄・雌のライオン、ヘビなどの動物たちをじっと見ているそうです(文庫本の帯の裏表紙側にも載っています)。
小説「楽園のカンヴァス」では、この「The Dream」(夢)と同時期にアンリ・ルソーが描いたと思われる未公開作品の真贋を巡る話です。
絵画「The Dream」(夢)自身は、米国ニューヨーク市のニューヨーク近代美術館(MoMA)が所有し、展示されています。この絵は、6フィート8インチ×9フィート9インチ(204.5センチメートル×298.5センチメートル)とかなり大きいそうです。
この絵を見る目的のために、ニューヨーク近代美術館に来場する方も少なくありません。
ニューヨーク近代美術館には1980年代後半に訪れたことがあり、中学校の美術の教科書に出ていた絵画のいくつかを実際に目にすることができたと感じた記憶があります。
この時には、アンリ・ルソーの絵画では、1897年に描かれた「眠るジプシー女」が記憶に残りました。
「The Dream」(夢)を見た記憶はありません。たぶん見てはいるのですが、中学校の美術の教科書には、「眠るジプシー女」が載っていたことが一因のようです。砂漠に横たわっているジプシー女(黒人女性)が着ている中近東風の衣装がとても綺麗に見えた記憶があります。
その後は、東京都千代田区の竹橋に建つ東京国立近代美術館に行った時に、同美術館が所有する「第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神」を見て、とても気に入りました。これは1905年から1906年にかけて描かれた作品です。
その後に、日本の大学の美術系学科を卒業した方に「ニューヨーク近代美術館などで見たアンリ・ルソーの絵画が印象に残った」と話をすると、その方は「パリの税関職員という素人が日曜画家として描いた作品といわれている」と聞き、素人が書いた絵という評価が下されていることを知りました。
今回の小説「楽園のカンヴァス」を読み、その中に描かれているアンリ・ルソーの職業の税関職員とは実はかなりの下級職員で、この職業からの薄給だけでは生活が苦しかったそうです。このため、アンリ・ルソーは絵画教室の教師やボンボン菓子を売るアルバイトなどで糊口をしのいでいたとのエピソードが出て来ます。さらに、質素な食事と部屋代をためるなどの貧困生活を送りながら、絵を描くためのカンヴァスと絵の具を買うのがやっとだったと伝えています。
しかも、アンリ・ルソーは絵を描く生活に専念するために、無謀にも税関職員を辞め、ますます貧乏になります。そして貧乏借家の近くにいるヤドヴィガという婦人が気に入り、勝手に絵のモデルを頼みます。この婦人が「The Dream」(夢)に描かれている女性のモデルです。
この婦人は、真贋の判定を頼まれた未公開の絵画にも大きく関わっているとの、話の展開になります。そして、パブロ・ピカスの”援助”が大きな役割を果たします(ここが小説の肝なので、中身は明らかにしません)
今回、小説「楽園のカンヴァス」を読んで、アンリ・ルソーは自分が描きたい絵を好きなように描いていたとの印象を持ちました。絵師としては、生存中にはあまり高い評価が得られず、作品が売れずに貧しい生活を送り、寂しく亡くなりましたが、好きな絵が描けた喜びを感じていたようです。貧しくても、自分の人生を好きなように生きた点が共感を呼びます。
2014年7月1日に新潮社が発行した文庫本「楽園のカンヴァス」の表紙を飾るのは、アンリ・ルソーが没した1910年に描いた「The Dream」(夢)と呼ばれる絵画です。アフリカと思われるうっそうとしたジャングルの前にソファーが置かれ、そのソファーの上に裸の女性が横たわっているものです。女性は、ジャングルにいるトリやサル、ゾウ、雄・雌のライオン、ヘビなどの動物たちをじっと見ているそうです(文庫本の帯の裏表紙側にも載っています)。
小説「楽園のカンヴァス」では、この「The Dream」(夢)と同時期にアンリ・ルソーが描いたと思われる未公開作品の真贋を巡る話です。
絵画「The Dream」(夢)自身は、米国ニューヨーク市のニューヨーク近代美術館(MoMA)が所有し、展示されています。この絵は、6フィート8インチ×9フィート9インチ(204.5センチメートル×298.5センチメートル)とかなり大きいそうです。
この絵を見る目的のために、ニューヨーク近代美術館に来場する方も少なくありません。
ニューヨーク近代美術館には1980年代後半に訪れたことがあり、中学校の美術の教科書に出ていた絵画のいくつかを実際に目にすることができたと感じた記憶があります。
この時には、アンリ・ルソーの絵画では、1897年に描かれた「眠るジプシー女」が記憶に残りました。
「The Dream」(夢)を見た記憶はありません。たぶん見てはいるのですが、中学校の美術の教科書には、「眠るジプシー女」が載っていたことが一因のようです。砂漠に横たわっているジプシー女(黒人女性)が着ている中近東風の衣装がとても綺麗に見えた記憶があります。
その後は、東京都千代田区の竹橋に建つ東京国立近代美術館に行った時に、同美術館が所有する「第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神」を見て、とても気に入りました。これは1905年から1906年にかけて描かれた作品です。
その後に、日本の大学の美術系学科を卒業した方に「ニューヨーク近代美術館などで見たアンリ・ルソーの絵画が印象に残った」と話をすると、その方は「パリの税関職員という素人が日曜画家として描いた作品といわれている」と聞き、素人が書いた絵という評価が下されていることを知りました。
今回の小説「楽園のカンヴァス」を読み、その中に描かれているアンリ・ルソーの職業の税関職員とは実はかなりの下級職員で、この職業からの薄給だけでは生活が苦しかったそうです。このため、アンリ・ルソーは絵画教室の教師やボンボン菓子を売るアルバイトなどで糊口をしのいでいたとのエピソードが出て来ます。さらに、質素な食事と部屋代をためるなどの貧困生活を送りながら、絵を描くためのカンヴァスと絵の具を買うのがやっとだったと伝えています。
しかも、アンリ・ルソーは絵を描く生活に専念するために、無謀にも税関職員を辞め、ますます貧乏になります。そして貧乏借家の近くにいるヤドヴィガという婦人が気に入り、勝手に絵のモデルを頼みます。この婦人が「The Dream」(夢)に描かれている女性のモデルです。
この婦人は、真贋の判定を頼まれた未公開の絵画にも大きく関わっているとの、話の展開になります。そして、パブロ・ピカスの”援助”が大きな役割を果たします(ここが小説の肝なので、中身は明らかにしません)
今回、小説「楽園のカンヴァス」を読んで、アンリ・ルソーは自分が描きたい絵を好きなように描いていたとの印象を持ちました。絵師としては、生存中にはあまり高い評価が得られず、作品が売れずに貧しい生活を送り、寂しく亡くなりましたが、好きな絵が描けた喜びを感じていたようです。貧しくても、自分の人生を好きなように生きた点が共感を呼びます。