ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの文庫本「あるキング 完全版」を読破しました

2015年06月26日 | 
 人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの文庫本「あるキング 完全版」をなんとか読破しました。

 この文庫本は新潮社が、“伊坂幸太郎デビュー15周年記念”として、3カ月連続で、伊坂さんの作品を発行するシリーズの第一弾です。2015年5月1日に発行されました。
 
 この文庫本のタイトルには「完全版」と書かれています。



 この小説「あるキング」は、最初に雑誌「本とも」に2008年4月から2009年3月にかけて連載されました。そして、2009年8月に単行本として徳間書店から発行されました。さらに、2012年8月にその文庫本が徳間書店から発行されました。ここまでは珍しくない話です。
 
 今回発行された文庫本「あるキング 完全版」の解説ページに、翻訳家の柴田元幸さんが「伊坂幸太郎さんは自作を文庫本化する際に、丹念に手を入れることで知られている」と解説されています。つまり、最初の雑誌に連載したものを、単行本化に当たって再考し、いくらか書き直しました。そして、その単行本化の際に、また再考し、いくらか書き直しました。この結果、「あるキング」という作品は少しずつ中身が違う3バージョンあるため、その3バージョンをすべて集めて、完全版として文庫本化したのが、本書ということです。
 
 この文庫本では、雑誌連載版、単行本版、文庫本版の順番で並んでいます。やはり、この順番で読んでみました。しかし、いくらか細部が異なるとはいえ、ほぼ同じ話を3回読むのは苦痛でした。結局、この辺が修正してあると、発見しながら読むことになり、あまり面白くありませんでした。
 
 この作品「あるキング」は、センダイ市に拠点を置くプロ野球球団の熱心な夫婦に、男子が誕生し、野球選手目指して鍛錬を重ねた結果、小学生の時に、プロ野球の投手が投げた球をホームランできるという天才打者に成長していきます。しかし、周囲には天才肌の野球選手の誕生を好まない人もいて、以外と苦節を重ねます。
 
 伊坂さんは、「ある天才の人生の悲喜劇を書きたい」という動機で、「あるキング」を書いたそうです。実は、単行本「あるキング」は一度読んでいるのですが、可もなく不可もなくという印象でした。あまり楽しい展開ではなかったからです。
 
 なお、新潮社は6月には伊坂さんの初めてのエッセイ集の文庫本を、7月には文庫オリジナル短編集を発行するそうです。ある期待値の部数が見込める伊坂さんは、大手出版社の出版計画にしっかり組み込まれています。