【蒼臭い床の間での感泣】
龍は眠りについた。
いや、眠っているわけではない。
周囲からの自分の必要性を感じられなくなり、精神的な休眠を取っているのである。ずいぶんながく眠っているようだ。
風呂にもずいぶん長く入っていないようだ。
枕元には、トイレからと思われるミズがほんの少し、薄汚れたペットボトルに入っているだけ。
龍の邸宅には公共のサービスもとめられてしまっているようだ。
のどを潤すには、それだけで十分。
龍はそう言いたげに、もうほとんど無くなりつつあるトイレのタンクの水をちびちびと飲んでいる。龍の邸宅は、必ずしも、実際の家というわけではない。
比ゆ的な意味でのすまいということ。
当たり前の原則。
施さないものには、施されない。
かといって、施したものが施しを享受できるとは限らない。
龍は決して悪人というわけではないし、人に対して、ひどいことをし続けてきた結果、いまのような体たらくに陥ったというわ明けでもない。
社会という概念の意義。奪い取られ、略奪される精神。
龍はこれまで、天空をささえるアトラスのように、懸命に生きてきた。
しかし、龍が敢えて、天空を支えるまでもなく、天空は天空として、宙に浮いている。
そう気づいたときに、龍の人生は楽になった。
「そうか!
べつにボクは誰かに必要とされているわけではないんだ!!」
「だったら、別に誰かのために、一生懸命に生きていかなくてもいいんだ。」
龍は疑問に思った。
「自分は積極的には、特に誰かから必要とされているわけではない。
自分も特に積極的に生きたいわけではない。
かといって、積極的に死を熱望しているわけではない。」
生という重荷。
龍の天空は、その時点から、自分が生きているということにとり変わった。
自分は人を支えるということはもう必要なくなった。
かといって生きる意欲も、死に対する意欲も無い。
殺されるやつは幸せだ。自殺をできるやつは幸せだ。
そうひんやりとした気持ちと、日々何も変化の無い床の間でふしながら、性欲だけは不思議とむくむくと膨らんでいった。
できれば、快楽におぼれ、死んで生きたい。
龍の精神は孤独にさいなまれ、腐っていた。
でも、若くりりしい肉体は、健在だった。
町に出れば、果物はたくさん実っている。
食えるだけ食って、犯罪者として、快楽を可能な限りむさぼった後で、危機的な状況に陥り、死ねばいい。
龍は町に出た。
果物はたくさんやはり、実っていた。
暴力の嵐である。もともと生きる意欲など無い龍にとって、交渉など必要ではなく、暴力さえあれば、よかった。
快楽に、龍は満たされた。
でも、龍は生きている。
龍はふと駅前で美しい果物を発見し、それをつけ、ホームまでいった。
龍は果物に自分の鋭利なにおいを放つそれを快楽の源泉として、利用しつくした後に、列車が来るるつぼへとともに、消え去った。
美しき果物は幸いにも、死を迎えた。
それでも、龍は不幸なことに、生きた。
あらたな、拘束・必要としてくれる人物に出会ったのだ。
龍はいまでは、幸せに、監獄の中で、自分を気にかけてくれる「啓示」という制服をまとった男たちに、かこまれ、すごしている・・・
龍は眠りについた。
いや、眠っているわけではない。
周囲からの自分の必要性を感じられなくなり、精神的な休眠を取っているのである。ずいぶんながく眠っているようだ。
風呂にもずいぶん長く入っていないようだ。
枕元には、トイレからと思われるミズがほんの少し、薄汚れたペットボトルに入っているだけ。
龍の邸宅には公共のサービスもとめられてしまっているようだ。
のどを潤すには、それだけで十分。
龍はそう言いたげに、もうほとんど無くなりつつあるトイレのタンクの水をちびちびと飲んでいる。龍の邸宅は、必ずしも、実際の家というわけではない。
比ゆ的な意味でのすまいということ。
当たり前の原則。
施さないものには、施されない。
かといって、施したものが施しを享受できるとは限らない。
龍は決して悪人というわけではないし、人に対して、ひどいことをし続けてきた結果、いまのような体たらくに陥ったというわ明けでもない。
社会という概念の意義。奪い取られ、略奪される精神。
龍はこれまで、天空をささえるアトラスのように、懸命に生きてきた。
しかし、龍が敢えて、天空を支えるまでもなく、天空は天空として、宙に浮いている。
そう気づいたときに、龍の人生は楽になった。
「そうか!
べつにボクは誰かに必要とされているわけではないんだ!!」
「だったら、別に誰かのために、一生懸命に生きていかなくてもいいんだ。」
龍は疑問に思った。
「自分は積極的には、特に誰かから必要とされているわけではない。
自分も特に積極的に生きたいわけではない。
かといって、積極的に死を熱望しているわけではない。」
生という重荷。
龍の天空は、その時点から、自分が生きているということにとり変わった。
自分は人を支えるということはもう必要なくなった。
かといって生きる意欲も、死に対する意欲も無い。
殺されるやつは幸せだ。自殺をできるやつは幸せだ。
そうひんやりとした気持ちと、日々何も変化の無い床の間でふしながら、性欲だけは不思議とむくむくと膨らんでいった。
できれば、快楽におぼれ、死んで生きたい。
龍の精神は孤独にさいなまれ、腐っていた。
でも、若くりりしい肉体は、健在だった。
町に出れば、果物はたくさん実っている。
食えるだけ食って、犯罪者として、快楽を可能な限りむさぼった後で、危機的な状況に陥り、死ねばいい。
龍は町に出た。
果物はたくさんやはり、実っていた。
暴力の嵐である。もともと生きる意欲など無い龍にとって、交渉など必要ではなく、暴力さえあれば、よかった。
快楽に、龍は満たされた。
でも、龍は生きている。
龍はふと駅前で美しい果物を発見し、それをつけ、ホームまでいった。
龍は果物に自分の鋭利なにおいを放つそれを快楽の源泉として、利用しつくした後に、列車が来るるつぼへとともに、消え去った。
美しき果物は幸いにも、死を迎えた。
それでも、龍は不幸なことに、生きた。
あらたな、拘束・必要としてくれる人物に出会ったのだ。
龍はいまでは、幸せに、監獄の中で、自分を気にかけてくれる「啓示」という制服をまとった男たちに、かこまれ、すごしている・・・