インサイトとは、一言でいえば消費者の「ホンネ」。それは、消費者に購買行動を起こさせる「心のホット・ボタン」だ。(4㌻)
インサイトという考え方が注目されるようになった背景の1つには、消費者がだんだん「自分の気持をわかってくれる」モノを選ぶようになってきたことが挙げられるだろう。
ご存知のように今の消費者は機能だけでは選んでくれない。画期的な新商品ならいざ知らず、ささいな差別化などには目も向けてくれない。かといって、感性に訴えかければいいかというと、そうでもない。モノを離れた単なるイメージは薄っぺらで、自分の気持を満たしてくれないことをよく知っているからだ。
とはいいながら、消費者は「なんか、好き」「しっくりくる」といった、論理的でも何でもない気持や感情で選ぶ。人は必ずしもアタマで考え、合理的に判断するのではないことがわかってきた。もっと好き嫌いや感情で動くのだ。
では、「好き」「しっくりくる」という感情はいったいどこからうまれるのであろう。それは、「この商品は私の気持をわかっているなあ」といった共感から生まれる。そして共感は「モノ」と消費者の「気持ち」が結びつくところから生まれる。モノのアピールだけでもない。気持へのアピールだけでもない。モノと気持が結びついて初めて共感は生まれるだ。(24㌻)