【内容の紹介】
◆そもそもアメーバ経営とは?
「京セラの経営理念を実現させるために創り出した『経営管理システム』」(120P)
◆京セラの経営理念とは?
「全従業員の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する」
◆なぜ、そういう経営理念を掲げるようになったか?
創業2年目に高卒の新入社員を10名採用した1年後、彼らがボーナス、昇給を最低いくら保証せよという血判書を突きつけてきた。
血気盛んな若者は、稲盛氏もいわゆるブルジョワと同じく自分の都合のよいように経営を行っていると批判。問答は会社だけでなく、稲盛氏の実家でも三日三晩続く。
このエピソードから、そもそも稲盛氏が技術者としての夢を実現するためにはじめた会社だが、若い社員は一生を託そうと入社していることに気づく。
自分の夢の実現以上に大切なことがあることに気づき、従業員やその家族の生活を守りその幸せを目指すことが大切だと気づくことがきっかけ。
◆アメーバとは?
たとえば、セラミック製品部門の場合
原料⇒成型⇒焼成⇒加工
という工程をへて製品は完成される。
このように各部門を以下の条件で部門別採算で運用していくことをいう。
【アメーバ-独立採算組織の条件】
① 明確な収入が存在し、その収入を得るがために要した費用を産出できること
② 最小単位の組織であるアメーバがビジネスとして完結する単位となること。
*アメーバリーダーに創意工夫の余地があること。
*アメーバリーダーが小さな組織であっても経営者としてやりがいを感じること。
③会社全体の目的、方針を遂行できるように分割すること。
組織としては、
「信じあえる仲間の幸福のために貢献できてこそ、自分たちの部門の存在価値がある」
という意識を持つことが大切。
*各アメーバが自部門の都合だけを考えて動き出すと③に反する。
◆アメーバリーダーの役割(cf5章)
①年度計画を作る(マスタープラン)
「この1年間どのような経営をしたいか?」「できる限り高い目標」という観点からリーダーの意思を示すのがこれ。
「マスタープランの作成は、会社方針にもとづき、各部門の責任者が『自分が預かっている事業についてどういう役割を果たさなければならないのか、どのくらい伸ばさなくてはならないのか』熟慮することから始まる」(215P)
マスタープランを実現する方法は具体的に3つ。
あ.売り上げを増やす
い.経費を減らす
う.時間を短縮する
【営業の役割】
あ.に関していうと、「値決め」は経営(225P)と稲盛氏がいうように営業の役割が重要になってくる。
稲盛氏は、営業の役割として
基本的な役割として「販売活動(受注から入金まで)を通して付加価値を創出し、同時にお客様の満足度を高める」(101P)と「営業の使命とは『この値段なら結構です』とお客さんが慶んで買ってくれる最高の値段を見抜くこと」(226P)ともいう。
*製造との関係については本書参照。
稲盛氏が最初に「この1年間どのような経営をしたいか?」「できる限り高い目標」と述べているようにリーダー(営業、従業員ひとりひとり)は、「立てた予定をなんとしても達成するという、強い意思を持たねばならない」(252P)
【能力は未来進行形】
このリーダーの使命感に関して感動的なエピソードを引用
(目標達成のための稲盛氏と、現場との会話の中で)
「いまの能力で難しいことは十分承知している。だが、納期まで試行錯誤を繰り返すなかで、私たちの能力は必ず進歩していくはずだ。できると嘘をついてきた注文でも、決して嘘にはしないんだと懸命に努力して完成させれば、嘘をついたことにはならない。納期まで必死にがんばり、製品を完成させよう」と説いた。
「能力を未来進行形でとらえる」ことができる者が困難な仕事を成功へと導くことができる。「何としても夢を実現させよう」と強く思い、真摯な努力を続けるならば、能力は必ず向上し、道は開けるのである。(231P)
*会社の年末年始の宿題ということで内容紹介。