以前取り上げた
伊丹 敬之『経営を見る眼』 | 伸びない市場で稼ぐ!成熟市場の2ケタ成長戦略エイドリアン・J・スライウォツキー,リチャード・ワイズ,佐藤 徳之,中川 治子日本経済新聞社このアイテムの詳細を見る |
の著者がおそらく強く影響を受けているであろう書籍。
前提として、市場が成熟化し、今までどおりのやり方では、設けるのが難しくなってきている。その中でどうすればいいのかということを豊富な事例とともに、解説している本。
市場が成熟してしまった背景は、ひところで言うと、
製品が満ち溢れているにもかかわらず、BtoB、BtoCかかわらず、之までとかかわらず、製品軸の商品提供が繰り広げられていること。
著者がこの本全体で訴えているのが、
demand inovation需要の革新が必要だということ。
需要の革新のためには、製品軸ではなく、顧客のトータルな経済的課題というレンズで、現在の市場と顧客を見直すことが必要だとする。
つまり、自分たちが取り扱う製品からの発想ではなく、顧客が抱える緊急課題と際優先順位を理解し、之に答えようとすることが必要だとする。
具体的にどういうアプローチがディマンドイノベートに必要かというと、このブログ情ではあまり詳しく述べていなかったが、
対顧客、対市場において、コアビジネスを通じて、これまで培ってきた見えざる資産「隠れた資産」をいかに、周辺に転用することで新たな需要を展開するかということだ。
簡単に例を出すと、之まで医薬品の卸を行ってきた会社が之までの物流システムなどを生かし、顧客の院内での薬品管理システムを提案する。
そのために、之まであっていた、購買担当より上の担当にあうという具合だ。
つまり、真新しい事業に進出するのではなく、これまでコアビジネスで培ってきた価値をいかに広げて需要を喚起でき売るかということを考えるということが肝要ということだ。
この本の面白いのが、「どうすれば顧客の売上貢献につながるか?」ということを「顧客の最大の関心ごとを見極め」ながら行う。
つまり、自社での之までは気づいていなかったし、もしかしたら、過小評価し貸していなかった資産をいかし、顧客との関係性を、顧客へのアプローチの方法を変えていくという視点だ。
レビューだけを見るとえらい陳腐な本に見えるが、ぜひ読んでみてほしい。