非常に面白い本だ。昔に書かれた本だが、現在の経営・組織・個人の課題を明確に書いてある。
以下、レジュメ。
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ドラッカー『明日を支配するもの』
組織とマネジメントの常識=パラダイムの変化について書いた本。まず組織、経営のことを取り上げ、個人における自己に対するマネジメントを説く。
【事業について】
★ 経営戦略
経営戦略とは、事業の定義を成果に結びつけるもの
★ 21世紀という急激な変化と不確実性の時代における経営戦略の前提
A 先進国における少子化の進展
B 支出配分における変化
C コーポレートガバナンスの変容
D グローバル競争の激化
E 政治の論理との乖離
事業上最も重要な数字は、顧客が自社のサービス・製品に対してどれだけお金を払うかという支出配分の数字。
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★ 変化の中で明日を変える
変化はコントロールできない、出来ることは先頭に立つことだけである。
企業も個人もチェンジリーダーとして、自ら機会を変化として捉えていくことが必要になる。
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明日は、機能を捨てることなくして作れない。
«廃業のタイミング»
・製品・サービス、プロセス、市場の寿命
・償却
・既存の製品、サービス、プロセス、市場がこれからの成功を邪魔するとき。
★ 事業場の情報
ITの進展により、情報のコンセプトが変わってきている。
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事業・組織が必要とする情報は?富の創造のための情報は?
A 基礎情報
B 生産性情報
C 強みの情報
D 資金情報と人材情報
【組織について】
使命が戦略を定め、戦略が組織を定める。
組織は、ともに働く人たちの生産性を高める道具で、その成果は外に求められるべきである。また、組織によって、仕事によって適切な組織構造はかわる。仕事に応じた組織設計が必要。
★ 組織における5つの原則
A 組織は透明でなければならない
B 組織には最終的な決定権を持つものがいる
C 権限には責任が伴わなければならない
D 誰にとっても上司は一人でなければならない
E 階層の数は少なくしなければならない
★ 組織構成員の変化 知識労働者の特徴とマネジメントの要諦
⇒ 肉体労働者が決められたことを行うだけなのに対して、知識労働者は自らをマネジメントするもの。
知識労働者は、他の誰よりも詳しい領域を持ち、いわばオーケストラの指揮者と、演奏者のような関係が組織名において生じる。
知識労働者は知識という生産手段を持つ存在で、組織を持つ能力がある。
知識労働者の存在は、組織内、事業運営上の資本財であって、コストではない。
ということの帰結として、減らすものではなく、増やす性格のものである。
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○ 知識労働者のマネジメント
仕事のマーケティング:
一人ひとりの人間の強みと知識を生産的ならしめるために
知識労働者の動機付け:
A ボランティアの動機付けに似ている ⇒ お金ではなく仕事そのものがモチベーションの源泉である。
B 挑戦の機会
知識労働者の武器:
知識労働者、および今日の事業の勝敗を左右するものの基本は情報。希少性の原理ではなく、潤沢製の原理に従い、ネットワーク、情報そのもの自体が増えることにより、価値を増す。
○ 情報はコミュニケーションのためにある。
・ 人は自分に何を求めるかということが前提で
・ 自分はいかなる情報を求めるか?ということがくる。
一番、求められる情報を知るには、«医者として成長する最高の方法が自ら患者になり2週間ほど入院することである»ということばが示唆的である。
★ 知識労働者の生産性が社会を変える。
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«知識労働者の生産性を向上させるもの»
A 仕事の目的を考える→行うべき仕事の明確化
B 働くもの自身が生産性向上の責任を負う。自らをマネジメントする。自立性を持つ。
C 継続してイノベーションを行う。
イノベーションはすべての組織に必要なコンピテンシーである。
D 知識労働者の生産性は量より質が問題である。
【個人について】
★ 自らを最も貢献できるところに位置づけ常に成長していかなければならない。
★ 常に若々しく、イキイキと働かなければならない。
★ 自分の属すべきところを知るために、強みを知ることが必要。
→ 強みをするためには、フィードバック分析によりそれぞれの行動に対する「何を期待するか?」を考えていくことが必要。
並みの分野での能力向上ではなく、強みに集中すべき。
○ 自分の学び方を知る
「読む人間か」「書く人間か」「聞く人間か」
自分の本質は変えてはならないし、変わらない。
○ 果たすべき貢献を知る
A 状況が求めるもの
B 自らの強み、仕事の仕方、価値観に会うもの
C 成果の意義のあるもの