まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

委員会設置会社は機能しているか

2007-07-11 00:24:42 | 企業一般

     取締役会や監査役会が形骸化・機能不全を起こし、また企業不祥事が相次いだ為、米国型のガバナンス機構を導入すべきと言う意見に押されて生まれた制度ですね。

     委員会設置会社では、米国の様に業務執行と監査・監督の役割を明確に分離して、取締役会を監督機関として位置づけ健全な経営を確保しようとするものです。業務執行は執行役に行わせて、取締役会では基本事項の決定と、各委員会の委員の選定・解職、執行役(&代表執行役)の選任(選定)・解任(解職)、及びこれらの者の監督等を行いますね。

     会社法では、指名・監査・報酬委員会(212)を置かなければなりません。各委員会は、3名以上の委員(=取締役)からなり、過半数は社外取締役でないといけません。尚、取締役は原則として業務の執行が出来ませんね(勿論執行役と兼任のときは執行役の地位に基づいて出来ますが)また、監査委員会がありますので監査役(会)はありません(監査委員会の監査は妥当性監査にも及ぶ)。

     取締役会は、経営の基本方針等4161項記載の5つの事項は必ず取締役会で決定し、また、総会招集・総会議案の決定等4164項記載20項目の業務執行の決定は、執行役に委任できませんね。(変な規定の仕方ですね)

     取締役会設置会社の取締役会は、①業務執行の決定、②取締役の職務の執行の監督を行うと規定されていますね(362-2)。業務執行は、代表取締役&選定業務執行取締役(業務担当取締役)が行います。また、監査は監査役(会)が行いますね(違法性監査+著しく不当な場合の妥当性監査)。

【疑問点】

       日本の委員会設置会社では、一部の例外を除いて、取締役と執行役の兼任が多すぎる。業務執行と監査・監督の明確な分離の為に設けた趣旨はどこに行ったのか。まともに委員会が機能しているのでしょうか?

       なぜ、指名・監査・報酬の3委員会のみを規定したのか。米国では、いろんな委員会があり、各社の基本定款・付随定款で規定できる。

       どういう思想で委員会設置会社を日本に持ち込んだのですか?なぜ、形だけ持ち込んで、米国の猿まねをするのですか。経団連に言われたためですか。法制審議会・法務省の人も、なぜ基本原理・思想に戻り、日本の実情を分析・検討し、自分の頭でじっくり考え、日本の会社にあった制度作りに取り組まないのですか。

       日本の既存の取締役会制度(取締役会設置会社)でも、いろいろ工夫の余地があったはずですね。例えば、取締役会を、各社の実情に会わせて複数の委員会を設置するなどですね。経営戦略委員会、投資戦略委員会、人事・報酬委員会、内部統制委員会等を設けて内部統制委員会の過半数を社外取締役にするなど考えられますね。

[米国の委員会制度]

    模範事業会社法8.25には委員会についての規定があります。(a) Unless this Act, the articles of incorporation or the bylaws provide otherwise, a board of directors may create one or more committees and appoint one or more members of the board of directors to serve on any such committee.

     つまり慣行的にいろんな委員会が形成されたのですね。ただ、各社の最大公約数としては監査・指名・報酬委員会の3つとなったようですが、必ず他の委員会がありますね。財務委員会というのも多いですね。NY証取等の上場基準では、監査委員会の委員は全員社外取締役でないといけないとしていると思います。つまり、会社法には、日本と違ってあまり書いてないが、SEC、証券取引所、効率的なガバナンスの関係で、各社各様の委員会が出来上がったのだと思います。

     例えば、GM (General Motors Corp: SIC 3711)の、2007.4.27SECfilingしたForm PRER14A -- Preliminary Proxy Soliciting materials↓には、(本文11ページ等に)以下の委員会が書いています。

Audit, Directors and Corporate Governance, Executive Compensation, Investment Funds, Public Policy

http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/40730/000089016307000282/s11-7040pf_prer14a.htm

     東芝(=委員会設置会社)の事業報告書を読みました。例えば、内部統制システム等の記載は随分きちんとしています(殆ど何も書いてない会社もある中で)。同社は、取締役(うち社外取締役)14(4)人、報酬額261百万円(56)、執行役 34人 1,135百万円 となっています。即ち、4人の社外取締役が委員会の委員です。(3人がかけもちです)

     社外取締役の個々の活動状況の箇所は、「外交官として、大学の組織運営者として、法律の専門家として、又は金融の専門家・経営者として」、その後4人とも同じ文言で「幅広い実績と識見に基づき、適宜必要な発言を行いました」と記載してあります。もう少し、具体的に書いて欲しいと言いますか、それとも書くことないのかもしれませんね。

指名委員会委員長は取締役会長の岡村さんです。そらそうですよね、誰を取締役・執行役にすれば良いのか社外取締役にわかる筈ないですよね。監査委員会委員長は東芝出身の取締役の人です。忙しい社外取締役が監査などしていられません。報酬委員会委員長は元外交官の社外取締役です。東芝はきちんとした企業ですから当然従来から内規が整っています。それに従えば良いわけですね。委員会設置会社の社外取締役って何してるんでしょうね。上記の文言からは、事務当局が準備した書類に目を通し、「うんうん」と言って、自動承認している社外取締役の姿が想像されます。

一部の委員会設置会社の委員会も形骸化しているのではないでしょうか。まあ、法律だけの責めにもできませんが、法律にも責任がありますね。