○ 設立時の資本金の額については、会社法445条に規定がありますね。
1項では、設立又は株式の発行に際して株主となる者が払込み又は給付をした財産の額とする。
2・3項では、払込み又は給付に係る額の1/2を超えない額は、資本金として計上しないことができ、その場合は資本準備金として計上しなければならないとしています。
○ これを受けて会社計算規則74条に定めがあります。そして括弧内には不思議な文言があります。
・1項では、払込み又は給付をした財産の額とは、一号に掲げる額から二号に掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)としています。
一号 次に掲げる額の合計額(零未満である場合にあっては、零)
イ 払込みを受けた金銭の金額
ロ 給付を受けた金銭以外の財産の給付があった日における当該財産の価額
ハ 払込み又は給付を受けた財産の当該払込み又は給付の直前の帳簿価額の合計額
二号 設立に要した費用の額のうち設立に際して資本金又は資本準備金の額として計上すべき額から減ずるべき額と定めた額
・2項・3項には、設立時の「その他資本剰余金の額」・「利益準備金の額」は、零とする。 としています。
・ また4項では、設立時の「その他利益剰余金の額」は、零(1項一号イからハまでに掲げる額の合計額から二号に掲げる額を減じて得た額が零未満である場合にあっては、当該額)とするとしています。
○ いやはや、こんどの会社法には不思議な条項がありますね。
・ 今度の会社法では、出資単位と株数の制限がなくなりましたので、例えば1株1円で設立時1株を発行することでも会社を成立させる事が出来るようになりました。
会社設立の時には、定款認証料、登記の登録免許税等がかかります。資本金1円ではどうにもなりません。従い、上記1項の「一号マイナス二号」がマイナスになることも理屈上はありえます。この場合は資本金は零としなさいという規定ですね。―― 設立時からマイナスの会社など、何故認める必要があるのか、不思議ですね。もっと現実的な規定にどうしてしなかったのでしょうか?
20-30万円ぐらい会社を作ろうとする者ならあるでしょ。例えば自分のアパートを本店として、学生が作る場合でもアルバイトすれば貯まりますし、なければそれぐらい親族・友人から借りて作れるでしょということです。
・ 特に不思議な規定は、1項一号の括弧です。「(零未満である場合にあっては、零)」としています。即ち、一号の合計額がマイナスになることを想定しています。二号は費用ですから最初からマイナスですね。
イは「払込みを受けた金銭の金額」ですから、まあマイナスの払込というのは無いでしょう。ということは、ロの給付財産には、積極財産のみならず消極財産即ち負債を含むという意味ですね。例えば、私の住宅ローンの債務を出資して、しかもその負債に対して株式を取得して株主になれるということ。そして、うまく行けば株式を売却して売却益を得る。こんな錬金術ができるんでしょうか?→こんな馬鹿なこと有るわけないですよね!!
・ 上記のマイナスの場合の処理、即ち、設立時から資本金の額がマイナスの会社の場合は、その額を他に持って行きようがないから、その他利益剰余金の額をマイナスにしておきましょうと言うことですが、このマイナスは、誰かが例えば発起人が貸付金として貸与しないといけない訳ですね。お金が湧いてくるわけでもないですし、数字だけ書くわけにも行きませんし、現実にお金が動きますからね。
一体「なんやねん。この規定は!?」ですね。