○ 会社法の108条(異なる種類の株式)は種類株について規定しています。しかし、1項4号には不思議な条項があります。性質の次元が異なる内容にも拘わらず、他と同様に規定しています。なぜこんな定め方をするのでしょうか?
・ 108条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。(但書き以下は省略)
一 剰余金の配当
二 残余財産の分配
三 株主総会において議決権を行使することができる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
五 取得請求権付株式
六 取得条項付株式
七 全部取得条項付種類株式
八 株主総会又は取締役会において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの(拒否権付種類株式=黄金株)
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること。(九号は委員会設置会社及び公開会社は不可。選任と記載されていますが当然解任を含みますね。選任・解任とすれば良いと思うのですけど)
○ 譲渡制限というのは、普通株や種類株に付加する属性ですよね。上記の様な定め方をした場合は、譲渡制限だけで種類株として成り立つということと解釈ができますね。あるいは普通株に譲渡制限を付加すれば種類株になるという意味となります。
・例えば、株式会社は、A普通株は、譲渡制限無し株式、B普通株(=種類株)は、譲渡制限有り。権利の内容は、譲渡制限を除き、完全に一緒という株式も発行できることになるわけですね。この場合、株主総会はどのようにするのでしょうか?A普通株の株主に対しては、通常の株主総会を開催し、B普通株の株主には別途種類株主総会を開催するのでしょうか?A普通株は譲渡制限無しですから、会社の承認無しに自由に譲渡できます。B普通株を発行する意味がなくなりますね。