とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『BLUE GIANT』を見ました。

2023-03-04 07:54:52 | 映画
 石塚真一さんの漫画『BLUE GIANT』を原作としたアニメ映画『BLUE GIANT』を見ました。強引で「あざとい」展開が多少気になりましたが、ジャズのライブ感が見事であり、そして青春の力強さがビンビンと伝わってくる名作でした。感動しました。

 青春時代は恐れを知りません。根拠のない自信に満ちており、不可能を可能にする力があります。年を取るにしたがって人生そんなに甘くないということがわかってくるのですが、本当にそんなに甘くないのでしょうか。実は自分をそこまで追い込んでがむしゃらに努力しなかったのではないでしょうか。本当は努力が足りなかっただけなのではないかという気がしてしまいます。

 自信に満ちたはったり野郎をバカにしながら、そのはったり野郎こそが青春時代を熱く生きていて、自分の人生を豊かにしていたのかもしれません。

 この映画の主人公「大」はなぜそこまでジャズにのめりこめたのか、その熱い思いが迫力のある演奏につながっていきます。言葉にはならない音楽の力も心の奥に直接に響いてきます。

 いい映画に出会うことができました。
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映画『RRR』を見ました。

2023-02-27 10:28:21 | 映画
 話題のインド映画『RRR』を見ました。見ている人を飽きさせないアクション大作で、楽しむことができました。

 植民地支配からの解放という強い信念をもった二人の主人公が固い友情を結ぶ。しかしその大義のためにお互いがお互いを裏切らなければならなくなる。そのプロットが複雑でありながら、とてもわかりやすく展開する。後出しされる秘密が見るものの興味を持続させると同時に、その秘密の中にある人間としての矜持に心動かされます。

 そしてなによりアクションがすごい。アジアの映画はアクションがどんどん進化しています。ありえないことが次々おき、その高揚感がすごい。ダンスシーンも見事です。

 良質のエンターテイメント作品であり、大ヒットしているのは当然です。

 ただし、やはり人が死にすぎです。戦争の悲惨さというのはそういうものなのかもしれませんが、娯楽映画でそんなに簡単に人が死んでいくのを見ると心が痛みます。
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映画『別れる決心』を見ました。

2023-02-23 08:21:00 | 映画
 映画『別れる決心』を見ました。難解な映画で、筋がつかめず不安がよぎるのですが、映像に引き込まれていき退屈はしません。見終わった後に、もしかしたらこういう話だったのかと考えさせられる、不思議な映画でした。

 あらすじ(うまく説明できないので、ホームページの説明をそのまま引用します。)
 男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュンと、被害者の妻ソレは捜査中に出会った。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしかヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった・・・・・・。

 事件の真相を追うストーリーなのですが、事件の真相にせまる刑事ヘジュンと、その容疑者になるソレとの関係がよくわかりません。ヘジュンはソレをストーカーのように追いかけます。ソレは小悪魔的にヘジュンをあしらいます。二人の関係は刑事と容疑者というよりは愛人のようにも見えます。最初の事件のソレの容疑は簡単に晴れてしまいます。それはヘジュンとソレの別れということにもなります。だから再びソレが現れ、事件の容疑者となった時には、再びふたりの怪しい関係が再開します。なぜ再開するのか。それこそが謎を解くカギなのです。

 映像のほうもストーカーのように迫ります。遠くから見ているだけのヘジュンが、映像ではソレのすぐそばにいる映像になってしまうのです。事実と虚像が区別なく現れ、刺激的な映像を作り上げます。

 結局、ストーリーがまるでわからないまま進みのほうが謎です。この二人の関係が事件を解くカギになります。

 ほとんど理解できないまま見終わったのですが、しかし見終わったあと、映像が次々と思い出され、このストーリーの意味が少しずつ見え始めました。きちんと整理するにはもう一度見なければいけません。しかしこの体験にはびっくりさせられます。

 とにかくもう一度見たいと思わせる刺激的な作品でした。
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映画『ミセス・ハリス パリへ行く』を見ました。

2023-01-19 08:12:10 | 映画
 映画『ミセス・ハリス パリへ行く』を見ました。真面目で質素な生活をしていた戦争未亡人が、パリの高級ブランド「クリスチャン・ディオール」のドレスにあこがれ、古い慣習にしばられていたディオールを変革させ、自身も大きく変わっていく物語です。気持ちが明るく前向きになる映画です。

 自分を変えたいと思うことはよくあります。しかし日常に埋没してしまって昨日までの自分のままで今日を生きてしまうのが普通です。毎日毎日今日の自分に嫌気がさしながらも、それを変えていくことはできることではありません。

 自分を変えることを可能にしてくれるのは、自分の好きなことに陶酔することです。自分の人生にそれにかけることができるくらいに好きなものを見つけることです。しかしそれがむずかしい。自分が本当に好きなものって何なのだろう。そこで迷っていまいます。

 主人公のミセス・ハリスは服が大好きでした。服を見ているときの彼女の目はあきらかに違っています。これは役者さんの勝利です。実は女性がドレスに夢中になるということは私にはあまりピンとこないことなのですが、しかしこの女優さんの演技をみるとすんなりと受け入れられます。

 夢物語のような軽いお話ではあるのですが、役者さんたちの丁寧な演技がきちんと支えてくれ、心に落ちる作品に仕上がっています。気持ちのいい映画でした。
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ntlive『レオポルトシュタット』を見ました。

2023-01-08 11:27:21 | 映画
 英国で上演された演劇をそのまま映像にして公開するntlive。トムストッパードの新作『レオポルトシュタット』が日本で上映されています。初日に見に行きました。ものすごい映画(演劇)でした。

 ユダヤ人のおかれた状況、その状況の中でさまざまな困難を克服しながら生きていく人間の姿が描かれます。第二次世界大戦時のユダヤ人の苦しみは想像を絶するものがあります。

 とは言えだれもが表と裏があり、自分勝手な部分があります。打算もあります。それが人間の真実であり、責める必要はありません。客観的に見ればダメな部分も含めて人間なのです。そしてその虚と実が歴史になっていきます。歴史の悲しさといとおしさが最後の場面にぐっとせまってきます。

 この作品、登場人物も多く、しかも年代が長期にわたります。誰が誰かがわかりにくくなります。私は日本の上演の前に戯曲を読んだのである程度理解はできましたが、初めての人が理解できたのでしょうか。ちょっとした解説ペーパーがあればいいのではないかと思われました。

 この作品、すでに日本の新国立劇場で上演されています。それも見ました。演出が小川絵梨子さんです。すばらしい作品で感動したのですが、さすがにロンドンで上演されたntlive版ははるかに上を行くものでした。日本で一生懸命上演してくださった方々には申し上げにくいが、やはり役者の質が違います。ミスキャストではないかと思われる方もいました。日本人にはユダヤ人の歴史が自分のものとしてとらえるのが難しかったのかもしれません。

 日本も戦時中多くの人を苦しめていました。苦しめられた人たちの心をよく考える必要があります。戦後しばらくは日本人が苦しめられた経験もあります。今回の映画を見て、さらに意識が高くなり、よりよい日本版の上演ができることを期待します。

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