とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『ボイリング・ポイント』を見ました。

2022-09-01 18:48:59 | 映画
 90分ワンショットで話題の映画『ボイリング・ポイント』を見ました。臨場感、緊迫感が、内容のおもしろさを増加させる意欲作でした。

 監督 フィリップ・バランティーニ

 ロンドンの高級レストランのクリスマス前のある夜の物語です。シェフは家族の問題を抱え、一方ではレストランのチームワークが乱れ、苦しい日々を送っていました。その日のディナーも様々なトラブルが続き、シェフは精神的に追い詰められていきます。

 ワンショットの映像は実在のレストランの緊迫感をうまく表現しています。毎日の食事がこんなに忙しいのかと感じさせられます。これではストレスがたまります。そのストレスからか、厨房は殺伐とした状態になり、大きなミスが生まれてしまいます。

 カメラはシェフの苦悩にせまります。

 ただし、ワンショットにこだわりすぎだったのではないかという疑念もわいてきます。カメラが一台であるために、必ず誰かを追いかけなければいけません。すると必ずその人物はすぐに戻ってこなければいけないのです。そこにまどろっこしさがあります。

 また後で修正することもできません。そのために説明不足になってしまっていることもあるように感じられます。

 しかしこれは後で考えたもので、見ているときはそんなことを感じません。監督の意図は十分生きています。そしてそれを成し遂げたスタッフ、キャストはすばらしいチームワークでした。

 いい映画を見ることができました。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『サバカン』を見ました。

2022-08-21 07:45:52 | 映画
 映画『サバカン』を見ました。子ども時代の夏休みの様々な体験を描いたノスタルジックな佳作でした。それぞれの役者が魅力的な映画です。

監督       金沢知樹
出演者   番家一路 原田琥之佑 尾野真千子 竹原ピストル 貫地谷しほり 草彅剛 岩松了 村川絵梨 福地桃子 

 長崎の海に近い町に住む、少し気弱な作文が上手な少年と、貧乏で、クラスの中で仲間外れになる絵のうまい少年が、夏休みに冒険し、仲良くなる物語です。

 小学校のころの夏休みは永遠の時間が流れていました。毎日毎日があらたな発見です。時には冒険の旅にでます。今から考えれば大した距離ではないのですが、当時はものすごい遠くへ行った気になっていました。体力と時間だけはあった時代ですので、たくさんの経験ができました。あの時代はとても貴重な時代でした。そんな子供時代のころを思い出されました。

 この物語を語る立場にいるのが、大人になった「作文の上手な少年」だった小説家です。草彅剛が演じます。昨日テレビで草彅剛さんが、この役はもともとなかったと話していました。つまりもともとは少年時代を描く物語だったのです。それが大人になった小説家が、自分の少年時代を振り返るという構造に変えたのです。それによって「現代のおとぎ話」のような物語が、リアリティのあるノスタルジックなストーリーに変化したような気がします。誰もが持っている大切な少年時代の思い出になったのです。効果的だったと思います。

 少年2人はもちろん、尾野真千子さん、竹原ピストルさん、貫地谷しほりさんなど本当に田舎の大人としか思えない演技でした。生き生きとして人間としてのやさしさが出ていました。すばらしい役者さんです。

 夏休みにぴったりの映画でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NTLIVE『プライマ・フェイシィ』を見ました。

2022-08-12 05:56:46 | 映画
 ジョディ・カマー主演のひとり舞台NTLIVE『プライマ・フェイシィ』を見ました。性被害を受けた女性の心を描く映画です。性被害者を担当することの多い弁護士自らが性被害を受け、その困難さの中で「真実」を見つけます。脚本も見事でジョディ・カマーも熱演です。内容も演技も見事としか言いようがありません。

 主人公テッサはトップクラスの弁護士です。同僚の弁護士と仲良くなり、性的な関係を結ぶようになります。ある日酒を飲み、自分の部屋にその同僚を向かい入れ、セックスをします。しかしその後、気分が悪くなり、トイレで吐きます。そのような状況でありながら、男はセックスを求めます。テッサは拒否するのですが、男はテッサを無理矢理犯します。

 テッサはこれをレイプだと訴えます。しかしこれが難しい裁判になることは明らかです。それでもテッサは自分の尊厳のために戦います。そしてその裁判の中で性被害の裁判に内在する困難さに気が付きます。自分自身が被害者になったからこそ気が付いたのです。

 この映画のようなケースでは、初めからレイプを立証することは無理なようにも思えます。直前まで合意によるセックスをしていたのです。訴訟になっても無理だと思います。しかし性被害は性被害です。人間の尊厳を失った人が、尊厳を回復する権利があります。テッサの言動は私自身の思い込みに対して揺さぶりをかけてきます。

 そして最も大切なことは、性被害者しかわからない感情があるということです。それを理解できずに裁判をしても、その裁判は外国で裁判をしているようなものです。それではたとえ被害者が裁判で勝ったとしても、実は尊厳を取り戻すわけではないのです。だれもが性被害者の心を理解できてこそ、解決にいたるのです。

 日本においても性被害は泣き寝入りしているケースがほとんどだと聞いたことがあります。表に出にくい事件ではありますが、その内実をよく知っておき、そして被害者の気持ちになって考えることの重要性を強く感じました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NTLIVE『ロミオとジュリエット』を見ました。

2022-08-09 15:57:00 | 映画
 NTLIVE『ロミオとジュリエット』を見ました。きちんと「ロミオとジュリエット」を見たことがなかったのですが、近代の演劇の原点がここにあるという作品でした。

 NTLIVEというのはイギリスの国立劇場ロイヤル・ナショナル・シアターの傑作舞台を厳選して映像化し、映画館のスクリーンで上映する「ナショナル・シアター・ライブ」のことです。この作品はコロナ禍であったために、舞台で上演したものではなく、初めから映像として作ったものです。ですからシーンごとに撮影されていますので、本来ならば生の緊迫感はないのだと思います。しかし逆に役者の表情やしぐさをはっきりとカメラがとらえるので、逆に緊迫感を覚える作品となっていました。

 「ロミオとジュリエット」のストーリーには無理があり、リアリティを感じなかったのですが、役者の演技こそがリアリティであり、すべてを受け入れてしまいました。やはりイギリスの演劇の伝統はすばらしい。

 演出はサイモン・ゴドウィン。この人が岡田将生、黒木華主演で『ハムレット』を演出したのを見たことがあります。これも見事でした。やはり演出家の力というのはすごいと改めて感じました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『エルヴィス』を見ました。

2022-08-05 07:50:07 | 映画
 地元の映画館の公開最終日にやっと映画『エルヴィス』を見ました。スターになる光と影が描かれる映画です。

 映画『エルビス』を見ました。は私の一世代前のスターで、あまり印象にありません。少し太めの派手な衣装を着たおじさんというイメージしかなかったというのが正直なところです。しかしこの映画を見ると彼が時代の寵児であったこことがわかります。

 当時の保守的なアメリカに革新的なスターが突如現れ、彼は賛否の的になりました。純粋に歌が好きで、目立ちたがり屋で、一方では神経質なエルビスが、時代に翻弄されていく様がよくわかります。

 エルビスがロックを受けいれる土壌を無理矢理アメリカに作り上げたおかげで、今のアメリカの音楽文化があります。またラスベガスの巨大ホテルのショーというひとつのショービジネスも作り上げました。確かに彼はアメリカそのものだったのです。

 人種差別や保守主義、一方では商業主義やメディア操作など今、私たちが直面している問題の根本を見るような映画でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする