とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『エルヴィス』を見ました。

2022-08-05 07:50:07 | 映画
 地元の映画館の公開最終日にやっと映画『エルヴィス』を見ました。スターになる光と影が描かれる映画です。

 映画『エルビス』を見ました。は私の一世代前のスターで、あまり印象にありません。少し太めの派手な衣装を着たおじさんというイメージしかなかったというのが正直なところです。しかしこの映画を見ると彼が時代の寵児であったこことがわかります。

 当時の保守的なアメリカに革新的なスターが突如現れ、彼は賛否の的になりました。純粋に歌が好きで、目立ちたがり屋で、一方では神経質なエルビスが、時代に翻弄されていく様がよくわかります。

 エルビスがロックを受けいれる土壌を無理矢理アメリカに作り上げたおかげで、今のアメリカの音楽文化があります。またラスベガスの巨大ホテルのショーというひとつのショービジネスも作り上げました。確かに彼はアメリカそのものだったのです。

 人種差別や保守主義、一方では商業主義やメディア操作など今、私たちが直面している問題の根本を見るような映画でした。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『オフィサー・アンド・スパイ』を見ました。

2022-08-01 05:00:51 | 映画
 ロマン・ポランスキー監督作品『オフィサー・アンド・スパイ』を見ました。正義を貫くことの難しさと大切さを伝える佳作です。

 この映画は「ドレフュス事件」を描いています。「ドレフュス事件」は世界史で勉強したことがあり、名前だけは覚えていたのですが、実際はどういうものか全然わかっていませんでした。「ドレフュス事件」とは、1894年にフランスで起きた、当時フランス陸軍参謀本部の大尉であったユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された冤罪事件です。ドレフュスが無罪であることに気づき、しかもそれが軍によって作り上げられた冤罪であったことに気づいたジョルジュ・ピカール大佐が、正義のために冤罪を晴らそうとしたことを描いています。

 権力がうそを隠し、それを暴こうとしても嘘に嘘を重ねて権力を守ろうとする姿は現代においても同じです。腐敗した権力の醜さに辟易します。そんな腐敗した権力に対して戦いを挑むことは難しいことです。勝てないかもしれないことを承知で自分を犠牲にして戦うことなど「賢い」人間はしません。それでも戦う必要があることをこの映画は教えてくれます。

 さて、この映画を見て別のことも考えていました。この映画は今から120年前の話です。今から120年前、まだ自動車はなかったのです。そしてフランスでは「決闘」がまだ残っていたのです。昔は120年前と聞くと大昔のように感じていたのですが、今は自分の年齢の倍ぐらいしかないという感覚になっています。100年の変化は、社会の現象面では大きいが、人間の意識の面ではほとんど変わっていないのだと感じられます。

 人類は100年や1000年でそんなに変わっているわけではなさそうです。だからこそ人間の守らなければならない大切なことを意識していかなければならないのだと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』を見ました。

2022-07-30 07:36:00 | 映画

     ロシアの反体制派、反プーチンの急先鋒アレクセイ・ナワリヌイを追うドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』を見ました。どこまでが本当なのかと疑いたくなるような不条理極まるプーチン体制を暴きだします。

 

ナワリヌイはプーチン政権への批判で国内外から注目を集め、2020年に毒殺されそうになります。なんとか生き延びることだでき、その後、逃亡先でその首謀者がロシア当局だと突き止め、その事実をを全世界に発信します。

 

ナワリヌイは翌年モスクワにもどります。もちろん殺されることも覚悟してです。ロシアはナワリヌイを逮捕し、今ナワリヌイは牢獄にいます。

 

あまりにロシアの策略だったということがあっさりと判明してしまうので、ナワリヌイのほうが胡散臭く見えてしまうのですが、それこそがロシアっぽい。なんとなくドストエフスキーの作品のように感じてしまいます。

 

この事件があって、ウクライナ侵攻があったことを考えれば、やはりプーチンが怪しい。この人物は世界を不幸にする。プーチン体制のできるだけはやい崩壊を願ってやみません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『わたし達はおとな』を見ました。

2022-07-23 07:45:26 | 映画
 新進の劇作家、加藤拓也氏の監督した『わたし達はおとな』を見ました。リアルな会話が心にせまる佳作です。二重の時間が区別なく並べられる映画の時間進行も斬新でした。

監督・脚本 加藤拓也
出演者   木竜麻生 藤原季節

 この映画では出演者は自然な日常的な会話をしています。台本がありながら日常的なしゃべり方をするのはかなり難しいことです。しかし役者の演技は見事に日常的です。その結果、人間の良さもみにくさもはっきりと見て取れます。

 最後に主人公とその彼が喧嘩になります。主人公の彼氏は冷静で論理的であろうとしながら、冷静さを失い、論理的に破綻していきます。主人公も感情的に自分勝手に論理を作っていきます。ふたりの気持ちは理解できるのですが、表に出てくる言葉は「おとな」のふりをしていながら「おとな」になっていません。そこにリアルな人間が見えてきます。

 この作品では時間の描き方も独特です。主人公の妊娠が判明してからの時間軸と、主人公が妊娠にいたるまでの時間軸が明確な区切りもなく並べられています。そのため一瞬「アレッ」と思うのですが、その場面がどちらの時間軸にあるのかはすぐにわかります。関係がうまくいくときと、もはやうまくいかなくなったときの人間の違いが対比的に描かれます。おもしろい表現方法を発明しています。

 若手表現者の表現を意欲的に追究する映画でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シネマ歌舞伎『桜姫東文章』を見ました。

2022-05-11 10:36:22 | 映画
 シネマ歌舞伎『東姫東文章』を見ました。片岡仁左衛門と坂東玉三郎は真面目で華のある役者です。その二人の演技のすごさを感じました。芸を極めていく生き方に感動します。同時に、この演目のシュールさに唖然としてしまいました。

出演
片岡仁左衛門、坂東玉三郎、
中村歌六、中村鴈治郎、片岡孝太郎、中村錦之助、上村吉弥、
中村福之助、片岡千之助、片岡松之助 、嵐橘三郎
ほか

 この作品、コロナの影響で令和3年4月と6月の2回に分けて上演されました。シネマ歌舞伎でも2回に分けて上映されました。

 この芝居、ストーリーが滅茶苦茶です。話がどう展開していくのか予想もつきません。おそらくこの作品は土台があって、そのパロディ、もしくはスピンオフという意味合いで作られた作品なのではないかと思います。

 前回『鎌倉殿の13人』について触れました。『鎌倉殿の13人』は過去の大河ドラマを土台にしていて、それを前提に作られている。だから過去の作品を見ていない人や、歴史的な知識に乏しい人には難しいのです。この『桜姫東文章』も「清玄桜姫」という物語の土台があり、その土台をもとにして作られたもののようです。ところが現在は「清玄桜姫」は上演されていない。だから現代人にとっては話の展開が突飛すぎるのだと思われます。

 とは言え、役者さんたちがみな力のある人たちなので、無茶なストーリーでも十分ついていけます。逆にそこで生まれる理不尽さこそが人間なのだと思ってしまうのです。仁左衛門が誠実な役とやくざな役を演じ分け、玉三郎も、姫といいながらやくざな男にひかれていく複雑な女性心理を描きます。見事にその役を演じ切ることによってリアリティを生み出しているように感じました。

 シネマ歌舞伎なのですが、イヤホンガイドがありました。スマホのアプリを使っての解説です。今回はイヤホンガイドが助かりました。これがなければ展開についていけなかったかもしれません。

 初めて見た演目でしたが、日本文化と日本の伝統芸を堪能しました。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする