映画『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』を見ました。軽みのある、しかし心にしみる映画です。私の好みの映画でした。
定年退職し妻モーリーンと平穏な日々を過ごしていたハロルド・フライのもとに、思いがけない手紙が届きます。差出人はかつて一緒に働いていた同僚クイーニーです。北の街のホスピスに入院中なのですが、彼女の命はもうすぐ尽きようとしているという内容です。ハロルドは励ましの返事を書き、それを出そうと家を出るのですが、ガソリンスタンドの店員に言われた言葉に促され、800キロ離れた場所にいるクイーニーのもとを目指してそのまま手ぶらで歩き始めるのです。そこまですることに最初は違和感を覚えるのですが、次第にその理由が分かってきます。
道中、ハロルドの行動はニュースに紹介され、巡礼の旅として注目されます。しかしそれはハロルドの望んだものではありません。ハロルドは自分の事情にもう一度立ち戻り、自分を取り戻し、クイーニーに出会うのです。
人間には後悔しても後悔しきれないことがあります。しかしそれはしょうがないことです。それを抱えて自分の人生を意味のないものにしてはいけないのです。自分勝手かもしれませんが、なんとか折り合いをつけて前を向かなければならないのです。
生きててつらいと感じる人に寄り添ったいい映画でした。