とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

源氏物語を読む⑰「絵合」

2022-12-06 18:34:33 | 源氏物語
 「源氏物語を読む」シリーズの17回目。「絵合」です。自分の備忘録として書き残しておきます。

・権力争い
六条の御息所の娘である斎宮は、内大臣光源氏の後見のもと入内して、梅壺に入り冷泉帝の女御となります。若い冷泉帝は始めは年上の梅壺女御になじめなかったのですが、絵画という共通の趣味をきっかけに寵愛を増すようになります。
 冷泉帝にはもう一人の正妻である弘徽殿の女御がいます。この女御は、以前光源氏と仲の良かった頭の中将の娘です。冷泉帝にはふたりの女御がいて、寵愛を競いあうことになります。これは源氏と頭の中将との権力争いということにもなります。
仲の良かった二人が、年を重ねてライバルとなっていく。男の世界の権力争いがリアルに描かれていきます。


・絵合
 この権力争いは「絵合」に発展します。頭の中将は梅壺の女御に負けじと豪華な絵を集めて帝の気を引こうします。その結果、帝の御前で梅壺対弘徽殿の絵合せが華々しく催されることになります。どれだけリアルなのかは疑問ではありますが、当時の宮中の文化的な様子がうかがえる場面で興味がそそられます。

・光源氏は絵も上手
 古今の素晴らしい絵が数多く出された中で、梅壺の女御側が最後の勝負に出したのは源氏が書いた須磨の絵日記です。その絵の見事さと感動的な内容で人々の心を打ち、梅壺方が勝利を収めます。結局は源氏のスーパーマンぶりが目立つだけでした。
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ESAT-Jについて

2022-12-05 06:41:40 | 教育
 東京都で中学校3年生に都立高校入試に導入されるものとして中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)が実施されました。

 ESAT-Jについては英語のスピーキング能力をつけるという意味では効果があるようにも思われます。しかし採点が困難であることなど入試に導入するには公平性が保てないという問題など、さまざまな問題があります。

 さらにはこのような改革が検証がたりないまま、とりあえずやってみようという行政の態度も問題があります。「改革にはスピードが必要だ。」と期限を先に決めて無理矢理断行してしまいます。それによってどれだけ現場が混乱するかなんて考えてもいない。政治家と業界の利益が優先されているだけなのです。

 ESAT-Jはベネッセが作成している。これによってベネッセの教材やテストが売れるのはあきらかです。特定の業者の利益になるように新たな試験が創設されたようにも見えてしまう。ベネッセと教育行政の関係に癒着がなかったのか、十分な説明がなされているのか、それも気になるところです。もちろんきちんと説明はなされてはいるのだろうが、きちんと検証する必要はあります。

 そもそも教育改革の方向性について、きちんと議論がなされているのかが疑問です。形だけの会議が行われ、議事録が公開され、それを読みなさいというようなアリバイ作りではなく、方向性と問題点が誰にでもよくわかるような議論をお願いしたい。
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源氏物語を読む⑯「関屋」

2022-12-02 08:37:30 | どう思いますか
 「源氏物語を読む」シリーズの16回目。「関屋」です。自分の備忘録として書き残しておきます。

 「関屋」は「蓬生」と同じようにスピンオフのような作品です。出てくる女性は「空蝉」。非常に短い巻です。

・「空蝉」
 「空蝉」は伊予介の後妻です。伊予介との年齢差があり、息子や娘とほとんど同じ年代だったようです。「空蝉」は光源氏の愛を一度は受け入れたのですが、それ以降は受け入れなかった女性です。「受け入れなかった」というよりも「受け入れたかったがそれができなかった」と言うべきなのかもしれません。夫を裏切れなかったのです。当然と言えば当然です。

・逢坂関
 源氏が明石から帰京した翌年、夫である常陸介(元伊予介)が任期を終えて、空蝉と共に戻ってきました。石山寺へ参詣途中の源氏は逢坂関で、空蝉の一行に巡り会います。逢坂関は出会いと別れの象徴の場所です。偶然に久しぶりに出会う二人は、またこの場で別れるのですが、しかしこの出会いがなければ次の再会もなかったことでしょう。地名が「物語」を作る要素になっています。

・紫式部がモデル?
 まもなく常陸介が亡くなります。一人残された空蝉は腹違いの息子である河内守に言い寄られます。それが嫌で出家してしまいます。空蝉は紫式部をモデルにしているという説もあります。確かにそういう面はあったのだと感じます。
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