過日、ネット・オークションに出品されていた写真の褐釉小壺を見た。出品名は覚えていないが、確かスンコロク〇〇・・・だったかと。
これが全く不思議な高さ16.8cmの小壺である。稲穂が垂れるような櫛歯文と胴裾の波状文はクメール陶の代表的文様であるが、写真のような飴釉のように発色した黒褐釉はクメール陶には存在しない。
それでは、スンコロク(スワンカローク)か・・・と云うと、確かに写真の飴釉に近い釉薬をもつ陶磁も存在するが、写真のような刷毛塗りではなく、ジャボ漬けで裾の釉切れが鮮やかである。
写真の釉掛けは刷毛塗りで、それはサンカンペーンの特徴である。他にサンカンペーンで見るのは頸部の鎬状文様、櫛歯の格子文である。
しかしサンカンペーン陶磁で、クメール陶がもつ稲穂が垂れさがったような文様は過去に見た覚えがない。
下の小壺はサンカンペーン陶磁である。頸の形がやや異なるが、よく似ているように見える。当該ブロガーとしてはサンカンペーン陶磁と考えているが、各地(窯)の文様が入り乱れており、確証がもてない。
クメール陶はモン(MON)族も関与していたと思われ、シーサッチャナーライ(スワンカローク)を開窯したのもモン(MON)族であり、サンカンペーンもモン(MON)族が関与していた可能性が高い。
この不思議な小壺はy*m*f****さんが、僅か3000円で落札されたようで、超お買い得である。当該ブロガーが10年若ければ、2万バーツまでであれば落札していた代物である。保有している壺の釉薬組成と、くだんの小壺の釉薬組成を蛍光X線分析にかけ、焼成地を検討していたであろう代物である。
それにしても、またまた得体の知れない代物があらわれたものだ。
<了>
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます