ことだま

今日、私は２５年ぶりに剣道の試験を受けに行きました。高校生のころ、受験勉強を優先して昇段試験を諦めたまま今日まで機会を逸してきました。ようやく念願叶って受験することが出来たわけです。そこで、自分なりに頑張ったご褒美にと、防具袋を新調しようと計画したのです。三日前に新しい防具袋を購入したのですが、今日まで27年間、私の防具を入れてきた茶色い防具袋を、今日の試験の往復で引退させることに決めて出かけました。「今日が最後だ！がんばってくれ！」と相棒に声を掛け、会場へ向かいました。
恙無く試験も終わり、帰途に着こうとしたまさにその時です。今まで何ともなかった防具袋の紐が一本、ブチッと音を立ててちぎれてしまったのです。一本切れてしまっただけだから、結べば大丈夫と気を取り直して修理して帰りました。短くなって、残る一本に係る負担は相当なものだったのでしょう。帰り着いた途端に残る一本も切れてしまいました。まるで今日を限りに棄てられることを悟って最期に力尽きたかのように。何だかとても悲しくなりました。27年間頑張った相棒が目の前で息を引き取ったのです。私が「今日で最後」なんて言ったから、切れてしまったのかなぁ？言葉で最期の引導を渡したような気分になってしまいました。「ことだま」言葉には魂が宿ると昔から言いますが、私の言葉に防具袋が反応して息を引き取ったのなら、新しい防具袋を前以て購入したのは、裏切り行為だったかなとすごく反省している私です。「27年間ありがとう。防具袋。これからも剣道頑張ります。」教室経営とは関係ないお話は久しぶりでした。でも言葉には不思議な力があることを感じずにはいられない出来事でした。夏休みに入りましたので、こんな話が多くなるかもしれないと思いつつ、どこまで更新回数を増やせるか、頑張ってみます！