10日前、父親が倒れて救急搬送されました。家族の中で一番健康に気を遣い、信心深くて神棚・仏壇を常に綺麗にし、体に良いと言われるものは全て試すような父ですが、日曜の昼に突然痙攣を起こして倒れました。弟から連絡を受けて実家まで駆けつけ、救急車を呼ぶとき、うろたえる母や弟たちをよそに、長男の私は意外と冷静でした。父の最期も予想して、色々な書類や重要なものを携行するように母を諭し、自宅に待機する嫁に指示を出し、救急隊の人と話し合い、病院まで車でついていく段取りを整えました。昼間に救命救急に担ぎ込まれて、夜遅くまで、色々な検査を行うからと、病院の広いロビーに陣取り、硬い椅子に腰掛けること6時間。たまには立って歩かないとエコノミークラス症候群になりそうなくらい座り疲れていました。その日の検査では原因が分からず、夜遅くにHCUへ移らされた父を置いて、その日は帰りました。
遡ること2日前。我が家の長男がこんなことを口走りました。もちろん、今回のようなことはまだ起こっておらず、ふと、口をついて出た一言なのですが、「もし今、父(我が家では私のことをこう呼ぶ)が死んだら、俺が喪主になるんだよなぁ・・・?」と。私も帰りが遅く、息子の塾帰りと同じ時間になったので、丁度夕食を共にしていたのでした。22時過ぎでした。「そうだな。お前が長男だから。ついでに言うと、父が死んだあとに、うちのおじいちゃんや(嫁方の)じいちゃんが(両家の祖父は「お」が付くか付かないかで区別している)死んだ場合もお前が喪主になる。」これを聞いた妻は「叔父さんたち(弟たち)がいるのに?」と問いかけるが、「彼らは傍系。私が直系。嫡男だから。嫡男の嫡男はこいつだ。天皇家も皇位継承順は直系の男子だろ?」と言うと驚いたような表情で、しかし納得した表情で長男に向けて「凄い責任重大だね。母さんが死んでも頼むよ。」と声をかけています。嫁の場合は、そんな重大な地位にいることがないし、そんな立場に立つつもりもないから、気楽に語りかけます。しかし、塾の帰りに毎日のように斎場の前を通り、「喪主」という言葉に敏感になっていた長男。何故かそんな言葉を重苦しく語り出したのでしょう。彼の気持ちはよく分かります。この瞬間、彼の頭にあったのは「当家」の「当主」の「後継者」という立場に就任した「覚悟」だったのでしょう。
まさかの2日後、父が病院に担ぎ込まれて、医者に「大切な人に会わせてあげてください」などと言われ、相続の準備にと、実印から通帳から預かり、覚悟を決めた私。息子の覚悟とは次元が違うけど、内容は似たようなもの。家に帰り着いたとき、長男がダイニングで勉強をしていたので、「どうやらお前の言っていたことが父に降りかかってきたようだ。」と冗談めかして話しました。今年は大学受験生の長男。変なプレッシャーは感じて欲しくないのですが、まずは、長男がじいちゃんの葬儀の喪主にならなくても良いように、私が健康に気をつけていかねばならないと自覚した出来事でした。父親の病状はまだ原因が分からず、病名もつけられませんが、確実に日々「記憶」を失って行きつつあります。海馬領域に出血が見られて記憶が壊れていくようです。もちろん今回の主たる病気はこれではないのですが、MRIにはもっと変なものが写っているので、恐らくそれは開頭手術をしなければ分からない問題です。暫く修羅場が続きそうですが、長男の覚悟を聞いて、家庭のことは放っておいても大丈夫だと安心できます。その分、父親に専念できるかな。
遡ること2日前。我が家の長男がこんなことを口走りました。もちろん、今回のようなことはまだ起こっておらず、ふと、口をついて出た一言なのですが、「もし今、父(我が家では私のことをこう呼ぶ)が死んだら、俺が喪主になるんだよなぁ・・・?」と。私も帰りが遅く、息子の塾帰りと同じ時間になったので、丁度夕食を共にしていたのでした。22時過ぎでした。「そうだな。お前が長男だから。ついでに言うと、父が死んだあとに、うちのおじいちゃんや(嫁方の)じいちゃんが(両家の祖父は「お」が付くか付かないかで区別している)死んだ場合もお前が喪主になる。」これを聞いた妻は「叔父さんたち(弟たち)がいるのに?」と問いかけるが、「彼らは傍系。私が直系。嫡男だから。嫡男の嫡男はこいつだ。天皇家も皇位継承順は直系の男子だろ?」と言うと驚いたような表情で、しかし納得した表情で長男に向けて「凄い責任重大だね。母さんが死んでも頼むよ。」と声をかけています。嫁の場合は、そんな重大な地位にいることがないし、そんな立場に立つつもりもないから、気楽に語りかけます。しかし、塾の帰りに毎日のように斎場の前を通り、「喪主」という言葉に敏感になっていた長男。何故かそんな言葉を重苦しく語り出したのでしょう。彼の気持ちはよく分かります。この瞬間、彼の頭にあったのは「当家」の「当主」の「後継者」という立場に就任した「覚悟」だったのでしょう。
まさかの2日後、父が病院に担ぎ込まれて、医者に「大切な人に会わせてあげてください」などと言われ、相続の準備にと、実印から通帳から預かり、覚悟を決めた私。息子の覚悟とは次元が違うけど、内容は似たようなもの。家に帰り着いたとき、長男がダイニングで勉強をしていたので、「どうやらお前の言っていたことが父に降りかかってきたようだ。」と冗談めかして話しました。今年は大学受験生の長男。変なプレッシャーは感じて欲しくないのですが、まずは、長男がじいちゃんの葬儀の喪主にならなくても良いように、私が健康に気をつけていかねばならないと自覚した出来事でした。父親の病状はまだ原因が分からず、病名もつけられませんが、確実に日々「記憶」を失って行きつつあります。海馬領域に出血が見られて記憶が壊れていくようです。もちろん今回の主たる病気はこれではないのですが、MRIにはもっと変なものが写っているので、恐らくそれは開頭手術をしなければ分からない問題です。暫く修羅場が続きそうですが、長男の覚悟を聞いて、家庭のことは放っておいても大丈夫だと安心できます。その分、父親に専念できるかな。