2016年12月31日 楢井ダム
楢井ダムは岡山県高梁市松山の一級河川高梁川水系右の谷川にある岡山県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
右の谷川は高梁川の3次支流ですが、下流の佐与谷川流域では洪水や渇水が多く治水対策が求められていました。
一方岡山自動車建設に合わせてダム建設地点に隣接して工業団地が造成されるなど上工用水源確保が課題となります。
こうした状況を受け、岡山県は建設省(現国交省)の小規模ダム補助事業である生活貯水池事業を活用した多目的ダム建設を採択、1996年(平成8年)に竣工したのが楢井ダムです。
楢井ダムは建設省の補助を受けた補助多目的ダムで、右の谷川および佐与谷川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、高梁市松山地区への上工水の供給を目的としています。
ダム周辺はよく整備されておりダム湖上流に親水公園があるほかダム湖を周回する道路各所に駐車場があります。
ただ、ダムを下流から正対できるポイントはありません。
左岸から下流面
左右両岸にはフーチングが設けられ、中段から堤趾導流壁が設置されています。
天端は車両通行可能。
上流面。
天端から減勢工を見下ろすと
がっちりした導流壁が印象的、右手は放流設備
放流設備の右手はポンプ室か?
生活貯水池ダムということで総貯水容量47万立米の小さなダム湖。
建設着手がまだバブルの余韻が残る時期だったせいもあり、ダム周辺には手の込んだ装飾や意匠が目立ちます。
天端高欄には高梁市の武家屋敷のなまこ壁をモチーフにした装飾。
天端入り口には燈篭を模した照明。
照明もガス灯風。
竣工記念碑。
上流から
クレスト自由越流頂2門、自然調節式オリフィス1門を備えたゲートレスダム
水中に没していますが、ゲート右手に多孔式取水設備があります。
管理事務所もバブリーな雰囲気の凝ったデザイン。
職員の常駐はありません。
(追記)
楢井ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
楢井ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
3088 楢井ダム(0803)
岡山県高梁市松山
高梁川水系右の谷川
FNWI
G
38.2メートル
92メートル
470千㎥/400千㎥
岡山県土木部
1996年
◎治水協定が締結されたダム