ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

旭川ダム(元)

2017-01-16 14:04:57 | 岡山県
2016年12月31日 旭川ダム(元)
 
旭川ダムは岡山県岡山市北区(左岸)と加賀郡吉備中央町(右岸)の境界の旭川中流域にある岡山県営の多目的重力式コンクリートダムで1954年(昭和29年)に建設されました。
吉井川、高梁川とともに岡山三大河川の一つに数えられる旭川は、古代吉備王朝の時代からこの地を支える貴重な河川ですが、洪水被害が絶えず旭川の治水がこの地を治める為政者の大きな課題となっていました。
1934年(昭和9年)の室戸台風は流域で死傷者約500名、浸水家屋約5万戸という未曽有の被害が発生し旭川の抜本的な洪水対策が求められました。
これを受け岡山県は1942年(昭和17年)に旭川ダムの建設に着手しますが戦況悪化により事業は中断となりました。
戦後岡山県は復興の柱として旭川総合開発計画を策定し1954年(昭和29年)に完成したのが旭川ダムです。
旭川ダムは旭川の洪水調節、既得取水権への補給と安定した河川流量の維持、岡山市などへの上水道の供給を目的とするほか、岡山県企業局が運営する旭川第1発電所で最大1万8700キロワットの発電を行っています。
その後1984年(昭和59年)に竣工した再開発により、洪水調節能力や利水放流量の増強をはかりました。
さらに2020年(令和2年)に旭川中上流ダム再生事業が採択され、新たな放流設備の増設及び不特定利水容量を上流の湯原ダムに振り替えることで、洪水調節容量を従来の2300万立米から2900万立米に増大させるダム再開発事業が着手されました。
  
左岸上流から
旭川ダム周辺は桜や釣りの名所になっていますが、年末12月31日ということで観光客の姿は全くありません。
釣用のボートがさみしげに係留されています。
 
旭川第1発電所の取水口。
 
下流の眺め
対岸にバウチャープラント跡、その下に再開発で建設された放流ゲートがあります。
 
複雑な形状の副ダム
右手が改修で追加された放流ゲート。
 
ダム直下左岸に旭川第1発電所があります。
 
再開発で建設された取水塔。
 
天端
明暗差が大きく撮影が難しいシーン。
 
下流面。
 
ずらっと並ぶ10門のラジアルゲート
まるで電力会社の発電ダムのようです。
 
左岸(向かって右手)は発電所放水口。
 
1954年(昭和29年)竣工のダムということで、造形やデザインの各所で戦前、戦中のダムの要素が見られる旭川ダムです。
 

(追記)
旭川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1867 旭川ダム(元)(0808)
左岸 岡山県岡山市北区建部町和田南
右岸    加賀郡吉備中央町神瀬
旭川水系旭川
FNWP
 
45メートル
212メートル
57383千㎥/51772千㎥
岡山県建設部
1954年
◎治水協定が締結されたダム
-------------
3716 旭川ダム(再)
左岸 岡山県岡山市北区建部町和田南
右岸    加賀郡吉備中央町神瀬
北緯34度54分49秒,東経133度51分23秒
旭川水系旭川
FNWP
 
45メートル
212メートル
57382千㎥/51772千㎥
国交省中国地方整備局
2020年~

恩木ダム

2017-01-16 13:28:12 | 岡山県
2016年12月31日 恩木ダム
 
恩木ダムは岡山県加賀郡吉備中央町にある防災専用の重力式コンクリートダムで、岡山県により1987年(昭和62年)に建設され吉備中央町が管理を行っています。
農水省の補助を受けて岡山県農林部の事業で建設されており、いわゆる農地防災ダムとなります。
 
吉備中央町を縦断する県道66号を北上し、溝部で左に分岐する町道に入ると恩木ダムが見えてきます。
クレストは自由越流式洪水吐が2門、オリフィスゲートから放流しています。
 
右岸から
天端は車両通行可能。
 
防災専用ダムですがダム湖には水が溜まっています。
 
減勢工。
 
左岸から下流面。
 
天端と管理事務所。
 
 
上流から。
 
追記
恩木ダムには農地防災容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により併せて合計37万5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。 
 
1913 恩木ダム(0807)
岡山県加賀郡吉備中央町溝部
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
旭川水系豊岡川
30.8メートル
106.5メートル
千㎥/千㎥
吉備中央町
1987年
◎治水協定が締結されたダム

竹谷ダム

2017-01-16 11:07:09 | 岡山県
2016年12月31日 竹谷ダム
 
竹谷ダムは岡山県加茂郡吉備中央町の旭川水系宇甘川支川竹谷川にある岡山県営の多目的重力式コンクリートダムで、宇甘川総合開発事業の一環として2003年(平成15年)に建設されました。
宇甘川は1945年(昭和20年)と1972年(昭和47年)に大きな洪水被害をもたらし1981年(昭和56年)に支流の加茂川に鳴滝ダムが完成しましたがさらなる洪水対策を求める声が続きました。
一方1973年(昭和48年)より当時の加茂川町と賀陽町境界地域(現吉備中央町)で吉備高原都市構想がスタートし上水道の需要増加が見込まれました。
さらにダム建設中の1994年(平成6年)には異常渇水が発生し宇甘川流域では24時間断水が110日間も続く異常事態が発生しダム完成を求める声が一段と高まりました。
竹谷ダムは、竹谷川及び宇甘川の洪水調節、既得取水権への補強及び河川流量の維持、吉備中央町への上水道の供給を目的としています。
 
県道31号線を西進すると右手に竹谷ダムが見えてきます
クレストは自由越流式が1門、オリフィスから放流中。
 
直下の浄水場は一見普通の住宅のようです。
 
白い建物は利水放流設備。
 
左岸から
下流から見るよりも堤頂長がはるかに長く見えます。
 
天端は車両通行可能
右手は管理事務所。
 
上流面
取水設備が見えます。
 
ダム湖
竹谷の名の通り周辺には竹林が広がります
総貯水容量は49万8000立米でいわゆる生活貯水池です。
 
減勢工と副ダム
手前は利水放流設備、奥は上水道浄水場。
 
右岸から下流面。
 
右岸にある展望台から
上の写真とあんまり変わりません・・・
 
追記
竹谷ダムには27万1000立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が@とになりました。

3173 竹谷ダム(0806)
岡山県加賀郡吉備中央町豊野
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
旭川水系竹谷川
FNW
38メートル
199メートル
千㎥/千㎥
岡山県土木部
2003年
◎治水協定が締結されたダム

鳴滝ダム

2017-01-16 09:47:12 | 岡山県
2016年12月31日 鳴滝ダム
 
鳴滝ダムは岡山県加茂郡吉備中央町の旭川水系宇甘川支川加茂川にある岡山県営の多目的重力式コンクリートダムです。
、宇甘川総合開発事業の一環として1981年(昭和56年)に建設されました。
宇甘川は1945年(昭和20年)と1972年(昭和47年)に大きな洪水被害をもたらし抜本的な洪水対策が求められました。
一方1973年(昭和48年)より当時の加茂川町と賀陽町境界(現吉備中央町)で吉備高原都市構想がスタートし上水道の需要増加が見込まれました。
そこで岡山県は宇甘川総合開発事業を策定し宇甘川支流の加茂川への多目的ダム建設事業に着手、1981年(昭和56年)に竣工したのが鳴滝ダムです。
鳴滝ダムは加茂川及び宇甘川の洪水調節、既得取水権への補強及び河川流量の維持、上水道の供給を目的としています。
鳴滝ダム周辺は吉備高原都市に隣接した『21世紀の森』として整備され吉備青少年自然の家などの施設や遊歩道が整備され、周辺地域代表するレクリエーションゾーンとなっています。
ダム便覧では鳴滝ダムは日本で初めて堤趾導流壁が採用されたダムとされていますが、福島県の東山ダムもまた日本初の堤趾導流壁が採用されたダムとなっています。
両者の着工、竣工年度を比較すると着工ベースでは東山ダムが1年早く、竣工ベースでは鳴滝ダムが1年早くなっていますので、鳴滝ダムは竣工ベースでは日本で初めて堤趾導流壁が採用されたダムとするのが妥当かと思います。
 
鳴滝ダムへは『21世紀の森』に入り鳴滝ダムの標識に従うと到達できます。
ただし、ダム手前で車両進入禁止となるためダムまでの数百メートルは徒歩となります。
車止め手前の駐車場に車を止めて歩くと右手に鳴滝ダムが見えてきます。
クレストは自由越流式で取水設備があります。
 
左岸から
取水設備の向こうになにやら面白そうなものが見えます・・・・。
 
天端は徒歩のみ通行可
車道は対岸で行き止まりですが遊歩道が続いています。
 
オリフィスはダム穴風の半円形越流式洪水吐。
 
 
減勢工
オリフィスから放流されていますが残念ながら下流から拝むことはできません。
 
ダム湖(鳴滝湖)
周辺は21世紀の森として整備されレクリエーション施設があるほか遊歩道が整備されています。
 
堤高は34メートルとさほど高くはありませんが、猛禽の翼を連想される特徴的な導流壁。
竣工ベースでは日本で最初に堤趾導流壁を採用したダムとなっています。(着工ベースでは福島県の東山ダム)。
 
上流面
やはりダム穴に目が行きます。
 
 
吉備高原都市は岡山県の財政悪化やバブル崩壊で自治体が展開した開発事業お決まりの展開・・・
住宅地や工業団地もすかすか状態で高原に住宅や工場がぽつぽつと点在しているのが現状です。
温暖な気候、豊かな自然と環境は悪くはないのですが、すでに人口減少時代となった日本において地方でのこの手の事業には残念ながら未来はなさそうです。
 
(追記)
鳴滝ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
 
1899 鳴滝ダム(0805)
岡山県加賀郡吉備中央町竹部
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
旭川水系加茂川
FNW
34メートル
127メートル
1680千㎥/1460千㎥
岡山県土木部
1981年
◎治水協定が締結されたダム

美和池

2017-01-16 09:02:57 | 岡山県
2016年12月31日 美和池
 
美和池は岡山県加賀郡吉備中央町北にある灌漑用アースダムで、1963(昭和38年)に県の事業で建設され農水省のリストでは土地改良区が管理を行っています。
 
国道484号の道の駅『かよう』と賀陽インターの間の池の砂集落から町道を北に入り集落を抜けると美和池が現れます。
堤体直下から
基部は谷積み。
 
取水設備からの底樋吐口
美和池の銘があります。
 
右岸洪水吐導流部。
 
下流面
 
民家の脇をスイッチバック気味に上がって行くと右岸に出ます
洪水吐で堤体が切れているので天端に向かうことができません。
周辺は一面の松林、時期が時期だとマツタケドロボーに間違われそう。
 
右岸の階段式斜樋。
 
3529 美和池 (0804)
ため池コード
岡山県加賀郡吉備中央町北
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系大谷川
18.1メートル
66.8メートル
千㎥/千㎥
土地改良区
1963年