ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

床木ダム

2017-07-02 14:23:03 | 大分県
2017年6月18日 床木ダム
 
床木ダムは大分県佐伯市弥生の一級河川番匠川水系床木川にある大分県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
急峻な山間部から谷あいの平野を流下して井崎川に注ぐ床木川流域では梅雨や台風による豪雨のたびに洪水被害をもたらしてきました。とりわけ1966年(昭和41年)8月の19号台風では壊滅的な被害が発生、抜本的な洪水対策を求める声が高まりました。
一方で、佐伯市一帯は瀬戸内海式気候の影響で年間降水量が2000ミリ程度と少なく、渇水による用水不足も頻発していました。
そこで大分県は治水・利水を目的とした多目的ダムの建設を進め、1985年(昭和60年)に床木川上流部に建設されたのが床木ダムです。
床木ダムは青江川の洪水調節と既得取水権への補給・安定した河川流量の保持を目的としています。
 
床木ダムは県道36号線沿いにありアプローチは簡単です。
今回は津久見から県道36号を南下、彦岳トンネルを抜けて床木ダムに至りました。
 
まずは下流から
クレストにずらっと並ぶ10門の自由越流式洪水吐が特徴で、堤体中央にはオリフィスゲートがあります。
 
下流面。
 
竣工記念碑。
 
ダムの説明板。
 
総貯水容量352万立米
右手に見える橋脚は東九州自動車です。
 
減勢工
利水放流設備から河川維持放流が行われています
ダム下右岸は公園になっており立ち入り可能です。
 
天端は車両通行可能
対岸に管理事務所があります。
 
上流面。
 
管理事務所に艇庫が併設されており、そこからインクラインが伸びています。
 
上流から。
 
大分の県ダムはどこも開放的かつ管理人さんの人柄が素晴らしいのですが、特に床木ダムの管理人さんは非常に素晴らしい方でした。
わざわざ東京から訪問したと話すと、周辺のお薦めの食事処や、日帰り入浴施設などダムに関係のないことまで親切に教えていただけました。
 
追記
床木ダムには263万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに3万1000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2784 床木ダム(1060)
大分県佐伯市弥生床木
番匠川水系床木川
FN
 
58.5メートル
249メートル
大分県
1985年
◎治水協定が締結されたダム

青江ダム

2017-07-02 13:04:46 | 大分県
2017年6月18日 青江ダム
 
青江ダムは大分県津久見市の青江川にある大分県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
津久見市・臼杵市境界にある標高619.9メートルの姫岳付近に源を発し津久見市を横断して津久見湾に注ぐ青江川は、急流河川のため豪雨や台風のたびに洪水被害を繰り返し抜本的な洪水対策が求められていました。
一方で、津久見市周辺は瀬戸内海式気候の影響で年間降水量が少なく、渇水による用水不足も頻発していました。
そこで大分県は治水・利水を目的とした多目的ダムの建設を進め、1977年(昭和52年)に青江川上流部に建設されたのが青江ダムです。
青江ダムは青江川の洪水調節と既得取水権への補給・安定した河川流量の保持を目的としています。
 
津久見市街から県道204号を西進すると青江ダムが見えてきます。
非常用洪水吐としてクレストに自由越流式ゲートが2門、常用洪水吐としてオリフィスゲートがあります。
43メートルと堤高はさほどありませんがV字の導流壁がダムに精悍さを与えています。
 
左岸にあるプラント跡
ダム下は公園になっていますが、時節柄草が伸びています
ダム直下にも行けますが、減勢工が屈曲しているためダムを真下から撮るポイントはありません。
 
左岸の竣工記念碑。
 
下流面。
 
天端は車両通行可能ゲート。
左手の階段も開放されダム下に歩いて降りることもできます。
 
逆方向から
手前は取水設備操作室。
 
ダム湖は総貯水量150万立米と多目的ダムとしては小規模です。
 
減勢工は左手に緩やかに湾曲しています
減勢工左手は利水放流設備。
 
上流面
オリフィスゲートのコースターゲートが見えます
対岸は管理事務所。
 
上流から
取水設備やゲートの並びがよくわかります。
 
セメントの町津久見の守り神青江ダムです。
 
2794 青江ダム(1059)
大分県津久見市上青江
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
青江川水系青江川
FN
 
43メートル
160メートル
 
大分県土木建築部
1977年

佐賀関ダム

2017-07-02 02:53:16 | 大分県
2017年6月18日 佐賀関ダム 
 
佐賀関ダムは大分市志生木の小志生木川にある灌漑用のアースダムで、1996年(平成8年)に農水省の補助を受けた大分県の灌漑排水事業によって建設されました。現在は佐賀関土地改良区が管理を行っています。
 
国道197号線の小志生木バス停から小志生木川に沿って市道を南下すると佐賀関ダムに到着します。
右岸に事業概要碑と竣工記念碑が設置されています。
 
 
天端は車両通行可能
上下流面ともに草が伸び放題。  
 
右岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
総貯水容量75万6000立米と灌漑用アースダムとしてはそこそこのサイズ
折から周辺地域は田植えシーズン、さらに空梅雨で水位はずいぶん下がっています。
 
水位低下で顔を出したダム湖右岸の砂防ダム
普段は水没して見えないそうです。
 
天端からは別府湾が見えますが、あいにく霞みがひどく・・・。
 
ダム下流へ向かう道もありましたが、とにかく上下流面ともに草の繁茂がひどく撮影スポットはあまりありませんでした。
やはりアースダムは刈り払いが終わった後じゃないとだめですね。
 
2759 佐賀関ダム(1057)
大分県大分市志生木
小志生木川水系小志生木川
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
42メートル
170メートル
 
佐賀関土地改良区 
1996年

阿曽田ダム

2017-07-02 02:12:07 | 大分県
2017年6月18日 阿曽田ダム
 
阿曽田ダムは大分市志生木にある防災・灌漑目的のアースダムで、竣工記念碑によれば1910年(明治43年)に阿曽多溜池として竣工、1999年(平成11年)に小規模防災溜池事業により防災機能を付加して改修され、阿曽田ダムとなりました。
現在は阿曽田溜池水利組合が管理を行っています。
ダム便覧には阿曽田ダムの正確な位置情報は記載されていません。所在地の大分市志生木と河川の志生木川から推察して、志生木ダム直上の溜池もしくは志生木ダムの東約750メートルにある溜池のいずれかと目星を付けました。
国土地理院地形図とグーグルの写真地図から後者の公算が強いと判断、現地を訪れたところ『阿曽多溜池』の記念碑があり阿曽田ダムと判別しました。
地図の赤マルが阿曽田ダム。
 
国道197号線の大志生木交差点を南に折れ志生木川沿いの市道を南に進みます。十谷集落を過ぎてすぐに『蓮勝寺』の標識に従って左に折れると阿曽田ダムが見えてきます。
下流面
左岸に洪水吐があります。
 
左岸の改修記念碑
『阿曽多溜池』の名があります。  
 
左岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
上流面。
 
天端には轍があります。
 
総貯水容量3万4000立米の小さな溜池。
 
右岸の斜樋。
 
右岸から上流面。
 
斜樋。
 
2717 阿曽田ダム(1056)
大分県大分市志生木
志生木川水系志生木川
FA
19.3メートル
114メートル
阿曽田溜池水利組合 
1910年