2017年7月17日 宇賀ダム
宇賀ダムは広島市安佐北区安佐町久地の太田川支流高山川にある中国電力の発電用重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電力分割民営化によって誕生した中国電力は、戦後の電力不足解消を目指し新たな電源開発を進めます。
太田川中流域では1925年(大正14年)に広島電気によって間野平発電所が建設され戦後中国電力が事業を引き継いでいましたが、太田川上流の王泊ダムの嵩上げ、樽床ダムの建設などにより間野平発電所地点での河川流量が安定し新たな電源開発の余地が生まれました。
そこで中国電力は1958年(昭和33年)から間野平発電所の再開発に着手、新たな水路を敷設しその途中の調整池として1959年(昭和34年)に竣工したのが宇賀ダムです。
上流の吉ヶ瀬発電所放水路および支流の水内川で取水された水を宇賀ダムにいったん貯め込み間野平発電所に送水することで、間野平発電所の発電能力は従来の最大9000キロワットから2万4000キロワットに大幅に増強されることになりました。
その後1986年(昭和61年)にも増強され現在の間野平発電所の発電能力は最大出力2万4500キロワットとなっています。
太田川右岸沿いの県道177号線を西進、宇賀集落で左折南下して集落を抜けると宇賀ダムに到着します。
この間、道路の大半は隘路となるので運転には気を使いました。
左岸から下流面
錆色のラインや苔がいい具合に時代感を醸し出しています。
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天端は立ち入り禁止
堤体直下に1914年(大正13年)に建設された間野平発電所への水路橋があります。
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水路橋をズームアップ Bランクの近代土木遺産に選定されています。
この水路も間野平発電所へと向かいますが、宇賀ダムとは直接の接続はありません。
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天端と取水ゲート
ここで取水された水も間野平発電所へと向かいます。
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ダム湖は総貯水容量90万3000立米
いわゆる調整池です。
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下流から
アーチ越しにダムを撮りたかったのですが、ちょっと重なってしまいました。
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アーチの橋脚を見上げると
煉瓦とコンクリートの違いはありますが、この眺めは紛いなく碓氷第3橋梁とそっくりです。
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ダムの下流面
継ぎ目が明確でいかにも1950年代のダムといった風情。
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ゲートピアや操作室は独特の構造。
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夕暮れ時の見学となりましたが、逆に夕暮れの柔らかい日差しがこのダムの風情を一段と引き立ててくれたようです。
追記
宇賀ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに41万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
1961 宇賀ダム(1084)
太田川水系高山川
P
G
31.5メートル
108メートル
903千㎥/410千㎥
中国電力(株)
1959年
◎治水協定が締結されたダム