歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

家族とのコミュニケーション

2012-08-21 00:12:52 | 認知症ケア
夏休みのおかげで、普段顔を見ないご家族が訪れます。

う~ん、わたしが勤務しだしてから初対面!と言う人もいるぞ。

来訪を告げると「なあに?」といいながら、
顔を合わせた瞬間!
息子さんに飛びついたお母さん。

そばにいたわたしも嬉しかった!

ご利用者は認知力が顔が分からないほどではないので幸いだなあ。


以前、ある施設で勤務していたとき・・・、
久しぶりに訪ねてきた息子さんが「お母さん」とそばによると、
「どなたですか?」
「あなた、どなた?」
と、いわれて絶句していた姿が今でも眼に浮かんでくる。

その後、しばらくというか、ほとんど来訪がなくなってしまった・・・。


2組ほどの来訪が続くと、他の利用者も里心が付いてしまう。
「息子のうちに電話したいけど、電話番号分かるかい?」
「タクシー、呼んでいただけます?キャッシュがないけれど、立て替えてくださいます?」

わたしの応え、
「すみませんねえ、わたしたちも知らないので、今度聞いておきましょうね。」
「外は暑くて、とてもとても出かけるのは無理ですよ。明日にしましょう。」
うそも方便なのです。


お部屋で笑い声が上がるほど楽しいときを過ごしたご利用者。
家族の帰るときは、声をかけずに気づかれないうちに姿を消します。
ふと、見るといなくなっている・・・。
その後、
ご本人は落ち着かなくなり、機嫌も悪くなり、徘徊になる。
気に入られているスタッフが、かわるがわる傍について気分を変えようとします。

わたしは逆に、その人を頼りにしている振る舞いをします。
「一緒にいてほしいの、一緒じゃないと寂しいの。」
「もう、うるさいねえ。なぐるよ!」
「大好きなんだから、ね、あっちへ行こう。」
笑顔にはまだならないですが、こちらの誘導に応じてくれます。

落ち着きがなくなると、中には暴力が出る人もあります。
そういう人には、こちらから両手を取って親愛を示します。
もちろん、たたくという行為を防ぐ意味もあります。
手を取られていると、振りほどいてまで殴る人は少ないものです。
ただし、目は離さないようにしてくださいね。手が出るのは突然ですから。


ご家族に向けている顔と、職員に向ける顔は違います。
ご家族には「ハレ」、職員には「ツネ」。
家族には、真実を知っていただく必要があります。よいことも悪いことも。
家族に伝えておくことが以下に重要かを職員に知らせていくのもわたしの仕事のうちなのです。


終の棲家はどこにある?

2012-08-14 22:57:35 | 認知症ケア
わたしの願いは、やりたいことを続けながら、ある日、ひっそりとこの世からおさらばすることですね。

介護保険施行直前から介護職として施設に勤務してきて、なおさらそう思うようになりました。

そういいながら母を施設に預けて、施設で看取ってもらったのが矛盾でもありますけど。


実は、母を入居させた施設でもターミナルケアは積極的にしてはいません。
同じ系列の施設で、最後は救急搬送され病院で亡くなったというご家族が何組もありました。(個人的に聞きました。)
わたしの場合は、施設ケアに詳しかった!

わたしは助かりましたが、同じ立場であるのにどうして説明をしないのか?
手のかかる面倒なことは避けて通りたいということなのでしょうか。

入居金の高い施設では24時間看護師がいるので、ターミナルまで行い、お別れも施設内でできると謳っています。売り、ですね。
そういう施設に、わたしは10年間勤務していました。

その後、転職した2施設は積極的看取りはしていません。
現在の勤務先はグループホームなので、なおさらです。
(それでも、ある日突然!ということはありますが。)

介護職の定着は今でも悪いです。
先ごろまで定着のための交付金が交付されていましたけど、金額そのままが現場の介護職の手に渡っていたわけではありません。会社の判断に任されていますけど。
どう計算しても・・・?
定着が悪く、ヘルパー講習を受講中の職員や終了したばかりの人が多い。
そういう人たちが現場を担っています。
それでもできる、と今でも考えられている職業だということです。
情けないし、悲しいことです。


認知症の方は、入院先が引き受けてくれないことも多い。
入院しても治療のために拘束される。仕方がないとは思うものの、それが原因で寝たきりになることも多い。
医療処置が必要になったら、それまでの施設にはいられなくなるかもしれません。
少なくとも看護師が常駐していないところでは無理です。

もちろん、特養や老健で亡くなる方も多くいらっしゃいます。
看取りをしているところも増えていますが、それは医療処置が限られた方の場合ではないでしょうか。
(老健は、本来は3ヶ月で在宅へ戻すためのリハビリ施設です。今でも数年入所する人もありますが。)


「看取りはできません。」と、分かっているので、骨折しないように見守りするしかないですね。
自分の足で歩いてもらって自主的筋トレ。

安心して最後まで生活できる「終の棲家」って、施設で可能なのでしょうか?
考えていることの半分も文章にできないものです。
機会があれば、講習会などで提案したいものです。

呼び方、呼ばれ方

2012-07-19 23:42:40 | 認知症ケア
施設で勤務していますと、良く「先生」と呼ばれます。
もちろん、本来の「先生」の意味ではありません。

以前にもブログで書きましたが、認知症の方たちにとって「先生」という呼びかけは、とても便利なのだろうと思います。

名前は分からないけれど、自分の世話をしてくれているような人。
何か困ったときは指示をしてくれる。
いつも付き添ってもくれる。
なんと呼びかけたらよいのだろう・・・?
ん、先生だったら返事してくれるだろうか?
あ、みんな返事をしてくれた。こちらへ来てくれる。

と、いった発想なのではないかと想像します。


呼ばれるままに返事はしていますが、内心は複雑。
いくつかの施設に勤務してきて、「・・さま」と入居者を呼んでいた施設では「先生」は皆無でした。
「・・さま」は、お客さまなのですよね、やはり。


認知症と診断されていても、そうは呼ばない人もいます。
私のことを自分の過去に結び付けている人がそうです。
別に名前で呼んでくれるわけではないのですが(名前は覚えられない)、顔を見ると最高の笑顔になられます。

過去には、親戚だったり、昔の上司だったり、女学校の先輩だったり、なぜか、ご自分よりわたしのほうが年齢が上に思ってしまうようでした。
「昔、お世話になった人」です。
だから、今現在も世話になっている、ということなのかな?

このあたりはわたしの経験から導き出したものなので、正しい答えとは言い切れませんが。

どちらかというと、こちらの方々のほうが親しみを持っておられたように思います。
自分の過去の一部に位置づける、ということですから。
わたしの名前を呼んでくださったのではなく、ご本人が過去の人生でめぐり合った人の名前で呼んでくださいました。

他のスタッフには通じにくかったですね。
だって、実在しない名前なのですから。


今も、先生と他の入居者がスタッフを呼ぶ中に、わたしのことを同級生だと満面の笑顔で迎えてくれる方がいます。
年上から、少し年が近くなった!

と、言うことは、私がそれだけ年を取ったということか・・・?
かかわりが難しいといわれている人なので、あの笑顔はうれしいですね。

そう簡単に枯れてはいられない!

2012-07-06 22:01:30 | 認知症ケア
今が盛り!満開!自分だけでも、そう思っていましょうよ!


65歳で介護保険証が手元に届き、高齢者と呼ばれる身分になります。
「高齢者」の年齢範囲が民法で定められたのは、戦前か戦後か?
どちらにしても、平均寿命が今現在とは遥かに隔たった時代です。

ところで、介護保険料は死ぬまで払わないといけないこと、ご存知でしょうか。


そして、年を取ると枯れる、というのは当てはまらなくなりました。
逆に、先鋭化されていくような気がします。


90歳の方でも恋をなさる。片思いもあります。
80代の夫婦が猛烈なやきもちを焼く。
その姿を見ていると、年齢って関係ないな、と思います。


こういうことがあるから、ケアに携わる人は「お年だから」と安易にあしらわないことが肝心です。
冗談でも、からかうようなことを言ってはいけません。

特に、認知症の方は自分が若いころにだんだん戻っていきます。
現在から、新しい記憶が消えていくので、だんだん若くなるのではないかと思います。

90代後半の方が、18歳のお嫁に行く前になっていたことも。


わたし?
もちろん、まだ枯れてはいられませんね!(笑)
新しいことに取り組む意欲がなくなったら、枯れるときなのかもしれません。
バイト先の高齢者に「同級生?」なんて言われますけど(笑)、コレは親近感。
後見人養成研修は、とても面白かった!
暗譜も、その気になれば出来ますので!

ドライフラワー?いえ、ブリザードフラワーというのはいかがでしょうか?(笑)



施設もいろいろ・・・、

2012-06-30 11:09:17 | 認知症ケア


市民後見の研修の一環で、特別養護老人ホームとグループホームに入居しておられる方を訪問しがてら、施設見学をしてきました。

私以外は、高齢者施設には始めて行かれるので興味津々、それぞれの感想が聞かれて、改めて「なるほどなあ」と思いました。

特養は調布市の社会福祉法人で、平成8年に厚生年金還元事業として建てられていました。
ここの周りには、身障者・知的障害者も含めていくつもの関係施設があります。

その敷地や、建物外観はもとより、内部も広々して恵まれていますよ!
1階は入居者100名が集まれる広さのロビー(グランドピアノがありました!)、事務所、在宅支援センター併設。包括もあったかな?
2階、40床。3階60床。個室、2床室は、4割くらいかな?数は確認していません。
廊下は、車椅子が3台は並んで通れる幅。
居室面積も高額な有料とそれほど差がない・・・。

実は職員の給料も社会福祉法人が少し高いのです。
助成があるところと、営利企業との大きな違いかもしれません。


気になったのは、4床室の1人あたり床面積と、個室の面積にあまり違いがなかったことでしょうか。床面積は基準が決まっているので、多床室が広いというより個室が狭いのかなあ。部屋代が違うので、ちょっと疑問。


この周りの別な障害者施設に一日研修に行ったことがありますが、そこの設備も有料以上でした。入浴は夜までしているし、出かけたい人の希望を聞いてくるまで外出なんて。
自立支援法が改定されて、職員人数配分が変わると出来なくなったでしょう。

一緒に行ったた方々は、職員が多く感じたらしく「ゆったりしているね」と感想を言っていましたので、慌しく見えないケアが出来ていることに私は職員の質の高さを感じました。

私服でのケアも自然でいいですね!
汚物が付くこともあるので、着替えは常時必要になるでしょう。



地元のグループホームへも行きました。オープン2年。
住宅地の中に溶け込んでいるたたずまい。
身体的にはお元気な方ばかり。
自分で歩け、トイレへ行け、着替えが出来る。
食事は、職員と決められた(配達された材料)メニューを3食一緒に作る。

エプロンをつけて、見学の私たちを見守るようになさる方があり、年配の職員かと勘違いするほどでした。

車椅子は置いてなかったですが、廊下は2台がすれ違えます。

ただ、聞いて驚いたのは、
・車椅子介助が必要になり、
・オムツを使用する、
つまり、歩行・排泄に介助が必要になると、この施設にはいられなくなる・・・?らしいのです。

え?「地域密着型認知症対応型生活共同介護」って、こういうことなの?
特養の空き待ち待機施設って言うこと?
ここに入居している人たちは、次の行く先を申し込んでいるのかしら?
とりあえず、行き先がないから探しただけなのかもしれません。


昨今、グループホームでもターミナルケアまで家庭と同じように、家族とともに看取るというホームが増えてきたはず。
確かに、家族来訪が少なく職員の看取り経験がないと難しいとは思います。

現在、私が行っているGHでも看取りはしませんが、排泄介助は半数の人に必要ですし、しています。車椅子も常設してあります。(使う、使わないは別として)


一口に、介護施設、といっても、このとおりいろいろです。
申し込むとき、契約のときには「重要事項説明書」はしっかり眼を通して説明を受けましょう!


今日はこれから、東京ビッグサイトへ「フラワー展示会」に出かけます。
目黒時代にお世話した方の娘さんが、池坊の師範で賛助参加されると連絡がありました。