歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

家族面談の成果

2010-01-29 20:40:19 | Weblog
面談というより立ち話の事も多いが、家族とは良く話をする。
何をしたいか?
どうしていくか?
何を望んでいるか?
私たちは何が出来るか?

たまたま出くわした(私は事務所にいるわけではないので)家族に「あ!」と声をかけて、2,3分の話をしている。
これが出来るのは、私が家族の世代に近いからだろう。

退院後の方に対しては特に必要だ。
「皆さんにご迷惑をかけてはいけないので、無理のないようにしてください」
このように言ってくださる家族もあるが、このような言葉を言わせてしまうケアを私たちはしているのだろうか?と問い直す必要がある。

勤務先では、私の一存で6ヶ月更新でケアプラン面談をしているが、状態変化は「なるべく早く」臨時で追加している。
今月も2件あった。
お1人は区分変更もさせてもらった。

同じ系列の他の拠点は1年更新らしい。
6ヶ月更新にしてから、家族とのコミュニケーションは段違いに良くなったと思う。
顔をあわせたとき、挨拶と一緒に情報共有する。
電話でお話しするのも声で判っていただける。

施設入居を受け入れていなかった家族とも世間話ができるようになってきている。
ここまで来れば、誰と交代しても繋げるのではないかと思っている。

「どうしても何がどうなってああいう行動になるのか判らない。何か参考になる本があったら読んでみたいので紹介してほしい」
そういって向き合ってくださった家族。
「あんたたちはプロだろう!」と突き放しておられた方だ。

中には、話しているときには理解しているようなのだが、4回くらい繰り返さないと現状を受け入れられない家族もある。
また、すぐさま実行するのを当然と突き詰める方もある。
せめて1週間は待ってほしいなあ・・・、と。


言葉は真綿でくるまないで率直に言うのが一番。
言いづらいこと聞きづらいことも伝える。
もちろんよい事は真っ先にお伝えする。

ご入居者のアセスメントは当たり前、
スタッフにもアセスメントをする。
私が見ている視点と他のスタッフが見る視点と異なることもあるかもしれないからだ。
もし異なれば、どうして行きたいかをアセスメントする。

どのような状態のご入居者でも、その状態での自立を目標としたい。


わたしの前を歩かないでください
わたしは後ろに従うことはできないでしょうから
わたしの後ろを歩かないでください
わたしはリードすることはできないでしょうから
わたしと肩を並べて歩いてください
              (キュムス)


わたしもこのように歩きたい。


潮時を見定める

2010-01-27 01:27:53 | Weblog
政治の世界もお相撲も、潮時を見定めるのは難しそう。
いやいや、
もっと難しいのは自分自身かも。

割り切りは早い方だと自負していたが、この仕事は、人:人のコミュニケーション第一なので、年数が経つほど、付き合いが深くなるほど難しくなる。

これが「未練」というものか?(笑い)

イエイエ、連絡が途切れた恋人とは違いますよ!(笑い)
こちらはプライドが邪魔しますよね。


テキトーなところで手を打って責任持たないですむのが気楽。
それがほんとに自分に出来るか?


長生きしている母のこともあるし、本気で見定めないといけない。

人前婚、和やかでした

2010-01-25 01:00:38 | Weblog
結婚式に参列するのは、7年ぶりくらい。
新郎側の友人として出席しました。
昨今の晩婚化のモデルみたいで、二人とも40代ですが、100人もの出席者があり賑やかでした。

新婦とはお初。しっかりした方で友人にはお似合い。
「そばにいるね」が流行った頃から付き合いだしたと思われる。
「いい歌なんですよ!」と、はまり込んでいたから(笑い)。

薄給の介護仲間なので、せいぜいパーテイかなあ?と思っていたら、立派な披露宴だった。
きっと新婦の希望だったんだろ~か。

新郎のお母様にご挨拶。
私の名前はご存知だった。初対面だが、おかげで親近感が持てた。

披露宴の席は、右が幼馴染たち、左が介護職仲間のようだ。
私は連れがいないのでおとなしくしていたが、黙っていてもつまらないので幼馴染の人たちに話しかけた。
「子供のころはどんな子だったんですかア?」
それからは異業種の対談みたいですっかり打ち解けられた。

左側は、顔なじみらしい。
全くこちらを気にしないで仲間内の話題のようだ。
「3階の担当は・・・、4階が・・・」とか聞こえて来る。

介護職の世間の狭さみたいなもの、交流ベタを就く就く感じた。
せっかく一緒にいるのに、もしかしたら身になることがあるかもしれないのに。
もう少し大きく目を開いてみたら?
こちらから話しかけてみた。
「専門学校の同期なんです」
「特養にお勤めなの?特養はタイヘンでしょう?」と私。
警戒されてるのか?口が重い。
介護職だってコミュニケーションができないといけないんだよ~!


結婚式は人前結婚式。
参列者の前で誓の言葉を読み上げ署名する。
訥弁の新郎らしく、つっかえながらだったが無事に役目を終え指輪交換。
小さな子供達が持ってくるはずの指輪がなくて、しばし探す。
あらあら、アンナとこに・・・、あってよかったこと!(笑い)

お母様が、こんな形は初めてで・・・と不安そうだったが、
新郎らしくてよかった。
新婦に合わせたところも多かっただろうけど、彼らしい誓の言葉はよかったよ!


シングルの友人はまだ何人もいるので、これからもこんなフウに、思い出したように結婚の招待が来るかもしれない。
「ご親戚ですか?」なんて聞かれちゃって!(笑い)
10年以上も付き合えば親戚以上ですよ!


この日を迎えられて、ホッとなさっていたお母様が印象的だった。

職業柄7日間の休みが取れず、ヨーロッパ旅行を諦め東南アジアにしたそうだ。

有料老人ホームの医療とは

2010-01-20 19:18:03 | Weblog
大手の新聞の介護記事、朝のニュース番組での取材記事、
どちらも「終の棲家」になり得ない有料老人ホームを取り上げていた。

契約時に注意すべきことを示唆していたが、
重要事項説明書を読み聞かせられても、ほとんどの人が理解できていないと思う。
そう、必ず「読み聞かせ」をするのには理由がある。

お互いに説明し、理解しましたよ、その上での契約ですよ、という確認のためだ。

説明時に、このような状態になったら病院へ搬送する。
最後の看取り、つまりターミナルケアはするかしないかもある。
それ以上に、
入居者の身体状況が常に医療行為が必要になったら?
そこまでは契約時には言わないのが普通である。
また契約する家族(本人)は、その行為そのものが分からないので質問のしようがない。

私が知る何箇所かは、ターミナルまで行う。
看護師は24時間勤務している。
ただ、急性期の医療行為が必要な場合は除かれる。
医療行為の全てが医師の指示のもとに行われることだから、医師が常駐していないホームでは不可能になる。

ターミナルケアを謳っていても、状況によっては入院、救急搬送となる場合も半分はある。
家族がどこまで生きていることを望むかによっても変わってくると思う。


全ての医療行為を拒否しておられたので、何もしないでベッドを囲んで看取った方。
病院にお連れしたが処置もできず、腕の中で看取った方。
付き添っていた病院で息が止まったが、気管挿管して助かった方。(この方は退院後2日して満足そうになくなられた)
施設で死にたいと希望していたにもかかわらず、搬送したために病院で亡くなった方もある。

有料老人ホームは「家」。
つまり「在宅扱い」だが、介護保険では「特定施設」である。
在宅で家族が行なえる医療行為を施設のスタッフは法律上行ってはならない。
できるのは看護師。
当然ながら看護師の数は介護スタッフより少ない。
1人の方にかかりきりにはなれないのだ。


「終の棲家」として考えるなら、
自立型、高齢者者住宅は外したほうが無難。
もしくは、介護型の施設が同系列で存在し、転居できるかどうかを確かめておかないと。


私の母のホームも看護師は日中しかいない。
その代わり入居費が安い。
イチオウ、ターミナルはケアしない、というのが契約上。
最近聞くと、胃ろうもあるし、気管切開もあるという。
夜間の吸痰が気になったが、聞くのは止めた。

既に胃ろうもしない、急変時の医療行為(延命)はしないという同意書は出している。


「ベンジャミン・バトン、数奇な運命」のDVDを購入。
最も愛するがゆえに遠ざかる、製作者のこの作品への強い思いが感じられた。

そのドアを開ければ

2010-01-18 01:05:03 | Weblog
排気ガスだらけの空気でも、新鮮に感じる。
閉じ込められてるわけではないが、
自由気ままに出かけられない不自由さ。
後を追いかけられないで、少しでよいからあの道を歩きたい。
転んでもいいの、私の責任だもの。
どうか、放っておいてほしい、自分で自分の責任は取るから。
自分の足で歩ける時間は長くない。
1年後はわからない。
だから、
できるときに出来ることをしておきたい。
そう思うのは我儘なのかしら?
お日様の光を肌で感じてみたい。
1日1回とは言わないから、お願いよ。
そのドアから、出かけてる人がいるじゃない。
どうして私はいけないの?
すぐそこなのよ、私のうちは。
どうなっているか見に行きたいだけ、すぐ戻ってくるわよ。
え?遠いって?そんなことない。
すぐそこよ、そのドアを出れば見えるの。
もう暗くなる?
だってまだ大丈夫、すぐ戻ってくる。
あ、ほら、あの人と一緒に出られるわ。
ドアを開けてくれた!
どうしても気になるから見に行ってみよう!


施設から出してはいけない方が一人で出かけてしまうことを「離設」という。
勤務先のまわりはメインの通りが交差しているので危険がいっぱい。
認知症で見当識障害(場所の)がある方は迷子に。
そこまででない方は、家族の了承を得て自由行動をする範囲を決める。
中には、自宅を覚えていても、出さないでほしいと要望される場合も。

入居者の平均年齢は高く、80半ばまでは若い方。
外出は危険が伴うのでスタッフが付き添えるときに限定されていくのが段階になる。

1年ごとに施設内だけの生活が増えていく。
ご本人たちも諦めが入る。
理解できない方の何人かが離設の危険がある。

万が一、離設されると平謝りに謝るしかない。