明治乳業争議団(blog)

働くルールの確立で人間性の回復を!

労働組合の団結権を侵害する目的で明治乳業が行った不当労働行為を都労委は労働者の声をふさいだ命令

2013年12月10日 18時39分58秒 | レポート
12・4全労連・東京地評争議支援総行動
 
明治ホールディングスへ争議を解決せよと210名余が抗議・要請を実施。
全労連事務局長:小田川義和さんの主催者あいさつをご紹介します

 明治乳業争議の早期解決を、と明治ホールディンクス前にお集まりいただいた皆さん、大変ご苦労さまです。
 12.4争議支援総行動を主催しています東京地評、全労連を代表し、私、全労連の小田川から一言、この場でのご挨拶を申し上げます。

 さて、長きに渡る明治乳業争議は、ご案内のように、東京都労働委員会での不当な「却下、棄却」の命令をはねかえす中央労働委員会での審理に、たたかいの場が移っています。

 東京都労働委員会命令の不当性は、後ほど詳しく述べられると思いますが、その本質は、たたかう労働組合を忌避し、労働組合つぶしのために、第二組合を結成し、賃金をはじめとするあらゆる職場差別を行ったという、典型的な不当労働行為を全面的に認めなかった点にあると思います。

 1960年代から70年代にかけて、大手企業や公務の職場で、いわゆるマル生と言われるたたかう労働組合つぶしの嵐が吹き荒れました。
 その手法は、大方が類似しています。会社、当局がインフォーマル組織や第二組合を立ち上げ、職場の民主化と労働条件改善を求めてたたかう労働組合の変質解体を狙い、それが思うようにいかなかった時には、賃金、昇格差別、職場八分などの人権侵害を繰り返し、第一組合の活動家を徹底して差別し、孤立させる、そんな手法が取られました。例えば、東京電力で、例えば石川島播磨で、例えば今の財務省、元の大蔵省で、同じような時期に、同じような労働組合攻撃がおきています。
 そして、東京電力や全税関事件では、長い時間はかかりましたが、企業、当局の不当労働行為が認定される結果となっています。

 このような司法判断の流れに従えば、明治乳業での差別事件も、個別問題ではなく、労働組合の団結権を侵害する目的で明治乳業が行った不当労働行為と認定されて当然だと思います。残念ながら、東京都労委では、正義と真実の女神は目隠しをされたまま、公正命令を求める労働者の声に耳をふさいだ命令となってしまいました。

 あらためて参集の皆さんの引き続く明乳争議団へのご支援をお願いするとともに、明治と名前が変わり明治ホールディンクスの子会社になったとしても、明治乳業の侵した罪の贖罪の責任は消えない、そのことを明治が再確認し、争議解決に真剣に向き合うよう、強く、強く要請します。
 ところで、今、国会では特定秘密保護法案をめぐる状況が緊迫しています。この法案は、行政機関が保有する様々な情報を秘匿する、隠すことが第一の目的の法律です。
軍事、治安、スパイ活動、テロの4つの分野に関係すると情報を持っている側の国の行政機関が認めれば、特定秘密に指定され、その特定秘密を漏らした公務員はもとより、情報を知ろうとした民間人も処罰の対象になる、国会議員さえも処罰できる、そんな危険な法律です。

 明乳争議団のブログを拝見しますと、明治と防衛医科大学との間の粉ミルクをめぐる談合疑惑が載っていますが、仮に、防衛省がどこから粉ミルクを購入するのかは軍事秘密、とされれば、このブログは特定秘密を暴露したことになると言う法律の仕組みです。

 加えて、先日の石破自民党幹事長のように、大きな音を出して、例えば、ここで私がお話ししているような大きさの声で、繰り返し、自らの主張を繰り返す行為はテロと変わらない、というようなとんでもない主張が、特定秘密保護法と一緒になれば、今申し上げたような談合疑惑を述べた私は、テロ行為を目的にした特定秘密の暴露、もしくは特定秘密を漏えいするよう強要したとして罪に問われることになりかねません。

 知る権利だけでなく、表現する自由まで侵すのが特定秘密法案です。
 絶対に阻止しなければなりません。今日、明日、明後日のたたかいが重要です。国会前の行動に、短時間でもお寄りいただき、反対の輪に加わっていただくことをお願いします。
争議の解決は民主主義実現のたたかいでもあることは皆さん良くご存じです。その民主主義の根幹を壊す特定秘密保護法反対のたたかいとも一体で今日の行動成功に奮闘いただくことを呼びかけて、この場の主催者挨拶とします。

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「明治乳業争議団報告」=全国事件の中労委再審査が開始される

2013年12月03日 11時08分13秒 | お知らせ
全国9事業所32名に対する都労委「超不当命令」を中労委に質す再審査始まる  

 去る11月13日、再審査申立の第一回調査が、60名余に及ぶ方々の傍聴参加を得る中で開催されました。争議団は、集団的差別事件の判断構造を意図的に無視した粗雑で稚拙な都労委の不当命令を決して許す訳にはいかないとの決意を固め、支援共闘及び弁護団との議論を深めてきました。当日は、既に提出した「再審査申立書」及び「補充書(1~2)」を示して都労委命令の問題点を弁護団事務局長が説明。また、申立人を代表して意見陳述した井村副団長は、申立人らの生い立ちや労働委員会に申し立てた複雑な心境などに触れながら、会社による差別意思の形成と不当介入の経緯、更には労働者の分断管理と賃金昇格差別による労働組合支配の実態などについて陳述すると共に、中労委による公正かつ適正な判断を強く求めました。(以下に紹介したいと思います。)

「意見陳述

1、本件は典型的な不当労働行為事件です

 明治乳業全国事件の再審査申立人の井村です。在職中は大阪工場に在籍していました。再審査申立人を代表して私たちの思いを陳述させて戴きます。ご承知の通り、私たちは7月9日に東京都労働委員会から「却下・棄却」という信じられない不当な命令を言い渡されました。この事件は、申立人らの組合活動を嫌悪する会社の差別意思を示す直接的な証拠が数多く存在し、格差の点でも職分でみれば2職分から3職分、賃金でみれば年間百万円、ひどい人は二百万円をこえるという膨大な格差が存在している典型的な不当労働行為事件でした。

2、余りにも劣悪な労働環境の中で組合活動に参加
 
 私たちは戦後の高度成長期に将来への大きな夢を抱いて田舎から集団就職し、少なくとも当時の日本経済を支え企業の発展に尽力してきた労働者達の一人と言っても過言ではないと思います。入社当時の、会社における劣悪な作業内容は予想を超えるものでした。1箱25kgほどある牛乳箱の搬入・搬出作業に携わる冷蔵庫職場や、販売店への運搬作業に従事する配送職場では、入社して間もない20代の若い労働者の肉体を蝕み、腰を痛めて入院する者、中には下半身不随を覚悟して手術を決断しなければならない労働者が続出しました。更に、早朝6時からの勤務や深夜作業などの変則勤務によって胃腸障害を発症する事例などが全国の工場から数多く報告され、労働組合も無視できない実態が生じていたのです。盆も正月も関係なく、まさに牛馬のごとく働いても日給360円、残業や深夜勤務をしても月額12000円程度でした。チキンラーメン一つで過ごす休日、金が無くなれば3食を会社の食堂で済まして帰って寝るだけの毎日に耐えきれず、同期入社の多くの仲間が次々に退職して行きました。こうした中で職場に残った労働者は、ごく自然に先輩の指導を受けながら労働組合の活動に参加し、みんなで力を合わせて労働環境の改善に取り組み始める中で、全国の組合支部の活動が活発化してきました。申立人らは、こうした職場活動の中心となり職場の仲間からの信頼や支持を受け、職場の代議員や執行委員などに選出されるようになりました。

3、「森永、雪印に追いつけ、追い越せ」=大合理化の強行実施

 昭和40年代に入って会社は、驚くべき大合理化を持ち出してきました。すなわち、「森永、雪印に追いつけ、追い越せ!」を前面に、人員削減と三交代勤務を含む大合理化を実施してきました。判り易く言い換えると、今まで5人で処理していた作業を1人で処理すると言うとんでもない人減らし合理化を実施してきたのです。私たちは、労働者の身体を守り労働条件の改善を求める立場から、こうした会社の大合理化反対の運動を各支部で進めて来ました。しかし、組合中央本部は会社の利益増大を第1とし、その結果を賃上げに反映させるという方針の下に、会社と一体となって合理化を推進する立場を明確にしました。

4、差別意思の形成合=不当な支配介入の始まり

 会社にとって、こうした大合理化を推進していくために最大の障害となったのは活発化していた組合支部の活動でした。高揚する支部活動を嫌悪し危機意識を持った会社は、全国の支部活動の活発な工場に職制組合員を中心としたインフォーマル組織を一斉に結成させ、労働者の分断を図ってきたのです。反対運動の中心的労働者を生産ラインから追い出して草むしりやペンキはがし等の作業につけ、工場から追い出すために営業所への転勤工作や日常的な嫌がらせの言動を浴びせる一方、意図的な低査定による賃金昇格差別などを執拗に繰り返して、他の組合員の見せしめとしてきたのです。

5、労働者分断の最大の武器=新職分制度と新賃金体系

 この賃金差別を合法化するための中心的な武器となったのが新職分制度であり、新賃金体系の導入でした。今までは現場で一緒に働く組合員の7割が「一般職」といわれる職分で、皆同じ仕事をしていました。ところが新職分制度のもとでは、仕事は以前となんら変わらないのに職分が3つに分類され、賃金がバラバラにされていったのです。同時に会社は労働者を、赤組(申立人ら)、白組(インフォーマル会員)、雑草組(中間派)に分断管理し、どのグループに属しているかで人事考課査定に差をつけ、賃金や昇格に影響するという脅しをかけることによって、労働者の意思をねじ曲げさせて支部執行体を転覆させたのです。

6、私たちはやましい事はしていない=会社の支配介入に一貫して反対してきただけ

 私達は入社以来、会社に対して何らやましい事をした覚えもありません。あえて言うならば、労働者の生活と権利を守るために会社の不当な支配介入を許さない、との思いで皆が力を合わせて頑張ってきたのです。ましてや仕事において他の労働者に劣っていたと言う事実もありません。いい加減な仕事をしていては、労働者の信頼を得ることができない事は明らかです。大阪の申立人門脇さんは「私は入社以来、会社の意に反したことは一度もない。たったひとつ会社の意に反したとすれば、それは主任から『インフォーマル組織(志宝会)に入れ』と言われた時に断ったことだろうか」と自らの陳述書でのべています。この門脇さんは、新職分制度が導入された翌年に1つ上の基幹職2級に格付けされました。しかし、それ以降定年まで、同じ職分のまま32年間も据え置かれたままでした。要するに、会社の意に沿う従業員であるか否かで評価され、その成績評定結果が毎年の賃金及び職分に反映され、長年積み重ねられてきたのが現状の職分・賃金格差なのです。単年度の低評価や賃金差別が不当だと申し立てた事案ではないのです。こうした賃金差別は退職後に受け取る年金額まで影響し、私たちが死んだ後には遺族の年金まで差別を引きずることになるのです。

7、労働者個人が会社を相手に訴えを起こすことは苦渋の選択なのです

 私たち労働者が、会社を相手に労働委員会や裁判所に実情を訴え救済を求めることは、社内において一生陽の目を見ることができないかもしれないことを覚悟しなければならない苦渋の選択なのです。しかしながら今回の都労委命令は、こうした労働者の思い、願いを全く理解することなく、審査開始からだけでも7年8ヶ月、結審してから1年8ヵ月もの歳月を費やしながら集団間格差を否定し、不当労働行為意思を示す直接証拠を単なるメモとして切り捨てたばかりか、インフォーマル組織に対しては、あえて自主的な組織などと意図的な曲解を加えて労働者間の対立に描くことによって会社の不当労働行為を免罪するという信じられない超不当な命令を下したのです。私たちは労働者の救済機関である都労委がそんなことまでやるのか、との不信感を今でも拭い去ることができません。亡くなった申立人伊達さんの奥さんは「お父ちゃんは何も悪いことなんかしていない。それどころか、子どもがまだ小さい間は夜勤で帰ってきたお父ちゃんが静かなところでゆっくり寝られるように一日中子どもを公園に連れて行たりして、家族中で明治のために頑張ってきた。都労委がどうしてそんなことを解ってくれないのだろう」と、のどを詰まらせながら訴えておられました。

8、労働者は自分たちの意思で分裂したのではない

 私自身は定年退職後、大阪工場で共に働いた38年同期入社の皆と「明治乳業関西OB・38会」を結成し、今日まで事務局長を務めて来ました。今では40名もの労働者が年千円の会費を払って参加しています。この会には会社がいう「赤組」も「白組」も「雑草組」も、在職中の係長も、主任も、班長も参加しており、来年春で10周年を迎えます。退職して10年の間、残りの人生をお互いに助け合いながら励まし合って生きて来ました。私たちは会社を離れてやっと入社当時の人間関係に戻ることができたのです。決して会社が言うように労働者同志が対立していがみ合ってきたのではありません。会社の支配介入がなければ、労働者は入社以来42年間助け合って仕事に打ち込んでこれたのです。
9、再審査申し立ては私たちにとって最後の機会 
市川事件からすでに28年、全国事件申立から18年が経過しており、64名の申立人の内、11名もが他界しています。「生産阻害者」「無能力者」「赤虫」「アカダニ」などいわれのないレッテルを貼られたまま亡くなった11名の無念の思いを胸に、遺族の皆さんとともに歯を食いしばって今日まで頑張り続けて来ました。しかし、ほとんどの申立人が古希を迎えており、おそらくこの中労委での再審査申し立てが最後となるかもしれません。中労委においては、専門的な知見をもった皆さんが、意図的に曲解し、予断を持った結論ありきの判断のもとに会社の不当労働行為を免罪した都労委命令に対し、勇断をもって見直されることを切に望みます。全ての証拠にもとづいて公正かつ適正な判断をいただけるよう強く求めて私の陳述を終わります。
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