1927年(昭和2年)7月3日。
今からちょうど90年前の今日、アムンセンが札幌に来ていました。エンゼル館で講演をしています。
驚きでしょう。こんな身近にまさか私とアムンセンとの接点があったなんて。
私が極地本を読み始めてすぐの頃アムンセンが昭和のはじめに日本に来ていたことを知ったのですが、
明治神宮参拝、昭和天皇拝謁、白瀬中尉(南極鯨湾に同時期滞在していた)訪問、
それぐらいしか情報を見つけられなかった。
ところが、
今年の冬に取り寄せたアムンセンの自伝「アムンゼン探検誌/ロアルト・アムンゼン著 加納一郎譯」の譯序(訳序)に、
若き日の加納一郎氏が札幌でアムンセンの講演を聴いたことが記されてあった。
━略━この探検家が峭寒の氷野に隊員を指揮したと同じ聲を聞き、
晝餒夜凍の五十五年にきざまれた皺をその面に見た人も少なく無いであらう。
━略━アカシアの花かをる頃、札幌においてこの悠遠に名をとどめる偉大なる探検家の講演を聽き、
昻然として家路についた往時を想起し、深き感慨を禁じえないものである。 アムンゼン探検誌譯序より一部抜粋
これはなんとかして調べなければ調べなければアムンセンがあのアムンセンが札幌に来ていたなんてと躍起になったものの、
そこから先が進まず、これは諦めるか、あるいは昭和2年の新聞記事をとことん調べるしか方法はないか、
春になり雪が解けたら行動を起こそうと考えておりました。
パソコンであちこち調べること数ヶ月。
掴みました。がっしり掴むどころか、アムンセンの直筆サインにまで対面してきました。
昭和二年六月二十一日(火曜日)夕刊=二十二日発行 朝日新聞
中央図書館でマイクロフィルムにへばりつき昭和二年六月分の朝日新聞・毎日新聞・読売新聞・北海道新聞、
昭和二年七月分の北海道新聞・函館新聞を半日かけて読み漁りました。石化したわ(笑)。
昭和2年6月20日午前7時、横浜入港の「エムブレス・オブ・エシア号」、報知新聞の招待で来日。
午前11時東京駅、午後3時明治神宮参拝、午後7時東京會舘歓迎会、
21日夜東京放送局で日本のみなさまへ挨拶、
22日宮中天皇拝謁、
23日、24日報知講堂で講演
横浜、東京以外の記事は見つけられず。
しかし。しかしですね、7月2日に札幌という情報だけは掴んでいて、
今度は函館新聞、北海道新聞を鬼のようにチェック。
アムンセンの北海道での行動が大雑把ながらも把握できました。
数回にわけて札幌のアムンセンのことを書こうと思っていますが、
毎日更新とはならないかと。
ぽつぽつと投稿してゆきます。
札幌にアムンセンが来ていたことなんてほとんど知られていない(というか忘れ去られ埋もれている)はず。
シルバーシャンツェと同じように、「こんなことがあったんだよ」ということを書き記しておこうと思っています。