ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

鉄道員(ぽっぽや)

2010年06月06日 | 映画
 
 気づけばいよいよ6月。梅雨手前の束の間の時間を晴天が明るくしてくれています。
 しかし相も変わらず、仕事に追われて家ではグッタリな日々が続いています。それはそれで充実はしているんですが、ドクターからは「脳が『体は元気』と感じているのは錯覚なのに、エネルギーだけがどんどん消費されている状態。要注意!」だとクギを刺されてしまいました。「10リットルの壺に12リットルの水をムリヤリ注ぎ込んでいる状態」とでも言ったらよいのかな・・・。とにかくよくない兆候がハッキリしてきているみたいなので、またブッ倒れないうちに自重します(-д-;)


 昨夜は高倉健さんの「鉄道員(ぽっぽや)」を観ました。
 土曜出勤だったので、帰りにレンタルショップに寄って、久しぶりにDVDを漁ってみたんです。ほかに借りたのは、「ホテル・ルワンダ」、「レオン」、「デトロイト・メタル・シティ」などなどです。
 月曜は代休なので、ゆっくりDVDに浸かろうっと(^^)。


鉄道員(ぽっぽや)
1999年 東映
 監督…降旗康男
 原作…浅田次郎
 出演…高倉健
    大竹しのぶ
    広末涼子
    小林稔侍
    田中好子
    吉岡秀隆
    奈良岡朋子
    安藤政信
    志村けん        etc...


※多少ネタばれあります


 「鉄道員(ぽっぽや)」には泣かされたな・・・。筋は通っているが、不器用で無骨な役柄の多い健さん。ここではさらにウェットな雰囲気も醸し出していて、いっそう健さんの魅力が増した、って感じです。
 広末涼子(雪子)の作った料理を口にした時の「うめぇなぁ~・・・」という、たった一語のセリフから万感の思いが伝わり、俳優生活50年の間に培った、熟成された香りを感じることができました。
 無邪気な、しかし大人びてきた雪子とのうたかたの再会は、切なすぎます。
 最愛の父をそっと見守り続け、「ぽっぽや」としての父の生き方を認めている雪子の気持ちに、抑えることができずただこぶしで目をぬぐい続ける乙松(健さん)。内心では、愛する雪子を早くに逝かせたことの後悔が澱のようにたまっていたのですね。
 「男の生き様」とか「父親という存在」に対して一部複雑な思いを持つぼくにとっては、乙松(健さん)を取り巻くシチュエーションというか、プロットの中に、いくつも思い当たるところがあって、途中からは涙が止まらなくなってしまいました(でも基本的に今では父には良い感情しかないですね)。


 この健さんの感情の動きというか、演技力をいっそう浮き彫りにしているのが周囲の人たちだと思います。親友の小林稔侍や妻の大竹しのぶを始め、奈良岡朋子、吉岡秀隆、安藤政信、田中好子などなどの、気持ちのこもった一挙手一投足が作品を引き締め、重みを与えているような気がします。
 全体的に、丁寧に、そして愛着をもって作られた映画だと思いました。たぶん日を置いたらまた観たくなるだろうなぁ。


 

 さてさて、切ない話のあとは楽しい演奏を・・・
 ごくごく一部で(^^;)楽しんで頂いているようなので、かつての有末佳弘さんとの演奏をまたupしてみたいと思います。
 これは2003年12月の、加古川市での「有末佳弘ライヴ」で、ステージでのトリに使われた「オール・オブ・ミー」という曲です。
 「オール・オブ・ミー」は、ジャズをかじったことがある者ならば誰しも一度は演奏に参加したことがあるであろうという、スタンダード中のスタンダード。初心者から上級者にまで幅広く愛されています。ライヴ最後ということでヴォーカル・セッションみたいになっていて、4人のヴォーカリストが入れ替わり立ち替わりで歌っています。ちなみにワン・コーラス目とラスト・コーラスを歌っているのは、関西のベテラン・ジャズ・シンガーであるボンビ柿本さん。安定した歌唱力と気さくで穏やかな人柄の、誰からも愛されているお方です。俳優として舞台やテレビでも活動されており、またヴォーカル講師としても厚く信頼されています。
 クロージングでメドレー風に演奏されているのは「帝王マイルス」の作としてもとみに知られている「マイルストーンズ」です(「一里塚=マイル・ストーン」と「マイルスの音=トーン」をかけたシャレ)。
 ドラムの杉江稔さんは一時は「関西屈指」とも言われた名手です。強力なグルーヴをたたき出します。
 前述してますが、このテイクはライヴのクロージングだったので、会場はかなり盛り上がっていました。そのせいか、演奏は精度というか、緻密さよりも、雰囲気をさらに盛り立てつつ自分らも弾けることを優先している、とでもいったら良いでしょうか。
 曲の出来よりも、曲の成立過程の生々しさが未だに伝わってくるんだけど、いかがでしょう?


「オール・オブ・ミー」 2003年12月17日 加古川市にて
piano…有末佳弘、bass…MINAGI、drums…杉江稔 vocal…ボンビ柿本 etc...





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コメント (2)
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