ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

クリスマス・ソングと毎日食べるカツ丼

2023年12月26日 | 見る聴く感じるその他

                      アーヴィング・バーリン


【Live Information】



 クリスマスが終わった。。。
 やっと。
 いや、クリスマスそのものがイヤなのではないのです。
 いわゆる「クリぼっち」(クリスマスにひとりぼっち)だって気にならないし。(むしろ「クリぼっち」な人を笑いものにする人こそが実はクリぼっちになることを一番おそれている人なんだろうな~、と思ってヒヤヤカに笑っております
 演奏のたびに、必ずクリスマス・ソングがセット・リストにあるのがイヤなのです。


     


 もちろんクリスマス・ソングがキラいなわけではありません。
 クリスマス・ソングは、むしろ名曲佳曲のオンパレードですからね。
 しかし毎年12月になると、街中にあふれかえるクリスマス・ソングの数々。
 どのお店に入ってもクリスマス・ソング。
 どのライブでもクリスマス・ソング。
 「そんなにクリスマス・ソング好き?そんなに演奏したい?」と心の中でゲンナリすることもしばしば。
 つまり、大好きなカツ丼でもステーキでも、毎日毎日出されると「食傷気味」を通り越して見るのもイヤになるのと同じ、ってことだと言いますか。(もっとも、見るのがイヤになるくらいステーキを毎日食べたことはないんですが。。。) 
 

 もっとも、自分のライブであっても結局クリスマス・ソングを全くやらないわけにもいかず。
 ワガママが言える状況では、せめて「一晩に1曲だけ」とか、「イントロにクリスマス・ソングの一節を使う」とか、「曲と曲のつなぎやMCの時に、ピアノさんにさりげなく弾いてもらう」、くらいにとどめるようにしております 
 とはいえ自分の店では、「そうは言ってもクリスマス・イブとクリスマス当日くらいは」と思って、その2日間はレイ・ブラウンのクリスマス・アルバムと、ジョン・レノンのベスト・アルバム(「ハッピー・クリスマス」が入っている)をかけました。
 ジョンのベスト・アルバムには彼の作ったクリスマス・ソング「ハッピー・クリスマス」が入っているし、ピアノで奏でる曲も多くて、とくに「夢の夢」~「マインド・ゲームス」~「ラヴ」~「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」~「イマジン」~「ジェラス・ガイ」と続く流れは、エモーショナルなジョンの歌声がとても映えて静かな夜にぴったり合う気がするんです。


     
     『クリスマス・ソングス・ウィズ・レイ・ブラウン・トリオ』

     
     『ジョン・レノン・コレクション』


 クリスマスの曲といえば、「ホワイト・クリスマス」。
 アーヴィング・バーリンが1942年の映画「ホリデイ・イン」のために作詞作曲した、ポピュラー音楽史上に残る名曲です。
 1942年にはビング・クロスビーが吹き込んだレコードがビルボードのポップ・チャートで11週連続1位の大ヒットを記録しています。
 この曲は数多くの歌手によって歌われていますが、そのすべてのバージョンを含めたレコードの総売り上げ枚数は1億枚を超えていると言われています。

     

 バーリンは、アメリカでもっとも成功した作曲家のひとりで、ガーシュインからは「アメリカのシューベルト」とまで絶賛されています。しかし、そんな大作曲家なのにもかかわらず、彼の曲は、海賊版を除いてスタンダード曲集には収録されていませんでした。
 「ホワイト・クリスマス」でさえも。
 ぼくも先輩から渡された「ホワイト・クリスマス」のCメロ譜(メロディとコードのみ書かれた楽譜)を大事に取っておいたものです。
 実はバーリンは、「自分の曲を他人の曲と一緒に本にしないでくれ」という遺言を残していたそうです。
 つまり、出版するなら「アーヴィング・バーリン曲集」としてしか出してはならない、と。
 そうか~、それで探しても探してもホワイト・クリスマスの譜面がどこにもなかったんですね。
 今は遺族の許可が得られているそうで、いわゆる「黒本」にもちゃんと載っています。
 よかったよかった


     
     アーヴィング・バーリン
 

 ちなみに、「クリスマス」はイエス・キリストの「降誕を祝う日」で、実はキリストの「誕生日」ではないんですね。
 

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2024年1月のライブ予定

2023年12月22日 | 演奏スケジュール

【Live Information】



月5日(金)
  岡山 ピアノ・バー
   岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
   【出 演】 近藤良(cello)、クロミツ(violin)、赤田晃一(sax)、皆木秀樹(bass)、岩本象一(drums)
   【料 金】 チャージ1500円+飲食代
   【演 奏】 20:00~、21:00~ (2回ステージ)


月8日(月:祝)
  岡山 ピアノ・バー
   岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
   【出 演】 西真理子(piano)、皆木秀樹(bass)、池田拓史(drums)
   【料 金】 チャージ1500円+飲食代
   【演 奏】 20:30~、21:30~ (2回ステージ)


月13日(土)
  岡山 パラディ
   岡山市北区幸町3-10 友沢ビル4F (tel 086-801-3492)
   【出 演】 西真理子(piano)、皆木秀樹(bass)、本田暁之(drums)
   【料 金】 チャージ500円+飲食代
   【演 奏】 21:00~ (3回ステージ)


1月19日(金)
  岡山 GROOVY 
   岡山市北区田町2-5-23 (tel 080-5230-4240)
   【出 演】 西真理子(piano)、皆木秀樹(bass)
   【料 金】 チャージ2000円+飲食代
   【演 奏】 20:30~ (2回ステージ)


月27日(土)
  岡山 パラディ
   岡山市北区幸町3-10 友沢ビル4F (tel 086-801-3492)
   【出 演】 皆木秀樹(bass)、本田暁之(drums) ほか
   【料 金】 チャージ500円+飲食代
   【演 奏】 21:00~ (3回ステージ)

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ライブ会場での写真撮影について

2023年12月20日 | 価値観
【Live Information】


 ライブってやっぱりいいなあ、と思います。
 パッケージされたディスクでは味わえないものを体いっぱいに感じられるからです。
 ライブへ行ったときにつきものなのが、写真撮影です。
 カメラ付き携帯電話が当たり前に普及しているうえ、誰もが撮影した写真を全世界へ向けて手軽に発信できる現在は、その楽しさが生活の一部となっている時代ですし、それを自分も享受している自覚も充分あります。


 先日、何人かの音楽好きな方々と話している時に、話題がしぜんと「ライブ時の写真撮影」になりました。
 ありていに言うと、ライブ時の写真撮影時に客席の方を写すのは可か否か、ということが話の出発点です。
 これは「肖像権」に関わる話ですね。


 ぼくは、肖像権はいわゆる有名人にあるもの、と思っていたんですが、これは不完全な知識です。
 簡単に言えば誰にでも「肖像権」はあるんですね。
 そのうえで有名人の肖像権には「商品を売る時にお客を引き付ける力」、つまり商業的価値があるため、また別に保護されなければならないもの、ということだと言っていいと思います。
 ちなみに、これは裁判で判例が出ているだけで、実はそういう法律があるわけではありません。


 一般的にいう肖像権とは、「人はみな私生活での容姿を無断で撮影されたり、撮影された写真を勝手に公表された場合、不快感や嫌悪感、さらには恐怖を感じる場合があるため、こういった精神的苦痛を受けないよう保護を受ける権利」です。
 ぼくもつい昨日、店内で無断で写真を撮られ(「無断」というのがポイントです。一言断ってくれればいいのに、知らないうちに正面からの顔をこっそり撮られました。シャッター音はしなかったので、無音アプリを使って意図的に隠し撮りしたのだと思います)、それをFacebookにこれまた無断で、根拠のない遠回しの苦情めいたコメント(←確認したけれどこちらに落ち度はない)とともにupされました。
 本当に嫌な思いをしました。


 そして、ライブのステージを撮影した時に他のお客さんなどが写り込んでしまう場合ですが、これは社会的な常識の範囲内であれば問題ない、ということだそうです。
 つまりわざわざ客席の特定の人を狙って撮影するのは×、ステージを撮影した時に写り込むのは○、と考えられます。
 ただ、明確な線引きがあるわけではないので、気遣いが必要なケースもあるでしょうね。
 それにホールの客席と違い、ライブハウスは客席の配置の関係で他の方の顔が写る可能性があるのも考慮しておいた方がいいのだと思います。
 (ほかのお客さんがあまり大きく写るようならボカシやマスキングを入れるとか、トリミングでよけいな部分を切り取ってupするとか)


 ただしこういう「法律」があるわけではなく、マナーとか気遣いの部分だと思いますので、「客席を写真に入れるのはよくない」などと他人に押し付けるのはおかしいと思います。
 自分も生演奏を提供するお店の主となった以上、ライブごとに「写真撮影の可不可」はそのつどお客さまにお伝えする必要があるのを改めて思いました。


 客席側も、ミュージシャンの方々からの写真撮影に対する考え方も知っておく必要があるのではないかと思います。
 これは人によって考え方がさまざまで、OKの方、NGの方、条件付きOKの方、本当にそれぞれです。
 そしてそれはあくまでミュージシャン個々の考え方の違いなので、客席はそれを尊重すべきだと思います。
 ただ、ミュージシャンが「写真撮影NG」とする時は、肖像権の問題だけではないんですね。
 ざっくばらんに言えば、「マナーが意識にない方々のために集中力が削がれる場合がある」「演奏を楽しむことに集中してほしい」ということでしょうか。
 例えば、「前列に座っている人がライブを見ずに写真ばかり撮っていて気が散る」「他のお客さんの迷惑になるくらいシャッター音をまき散らして写真を撮り続ける」などですね。ここは客席側がちゃんと理解しておくべきところだと思います。
 条件付き撮影OKのミュージシャンは、「この曲だけ自由に写真を撮って大丈夫ですよ~」とかアナウンスしてますね。一つの上手なやり方だと思います。


 よけいなことを付け加えさせてくだされば、写真OKの時でも「バラードの時は撮らない」「フラッシュは炊かない」「アップテンポの盛り上がる曲、あるいは音量が上がる曲や場面で撮影する」ことを頭に入れておけば大丈夫だと思います。


 「こういう話題で盛り上がるのはアカデミックな感じがしてイイですよね~」とか言って笑い合ったいい時間ではありました。
 よけいなことを書くようではありますが、大事なことだとも思っていますので、あくまで自分の意見と言うことで書いてみました。
 上記に関して、専門的な立場の方からの適切な指摘があれば、伏してご教授いただきたいとも思っています。
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