岡山市内にモンゴル料理店があります。
店主の石邨さんは有数のモンゴル通でして、たいへんモンゴルを敬愛しています。
ぼくも何度かお邪魔したことがありますが、いつもやさしい笑顔をたたえているジェントルマンです。
10月28日。
第4月曜はお店をお休みにしているのですが、朝起きてSNSを見ると、青空アイルさんで馬頭琴のライブがあるという告知が。
しかも奏者はベーシストの落合康介さんだという。
共演者はギタリストの森下周央彌さん。ふたりの名前は以前から目にしていて、一度聞いてみたいと思っていたのです。
これは行かねばなるまい!
ということで、夜は青空アイルへ向かいました。
自然とともにあるような馬頭琴の音色。
広い草原とか、夜のゲル(モンゴルのテント)の中とか、いろんな想像がかきたてられるような、郷愁にみちた美しい音です。
森下さんの奏でるギターとの相性も素晴らしかった。
モンゴルの伝統的な曲だけでなく、モンゴルに影響を受けたオリジナル曲も演奏してくださいました。
落合さんは、馬頭琴を使った曲の演奏だけでなく、馬頭琴についてのあれこれ、モンゴルの文化、落合さんがモンゴルに滞在した時の話、遊牧民族の暮らしぶりなど、珍しい話・楽しい話をたくさん聞かせてくれました。
セットの合間には、森下さんが当夜使っているギターの解説までしてくれるのです。
どうやらギター愛好家がおそらくは数十年前に自作したギターらしく、それを手に入れて自分であれこれ調整したそうです。
手に入れた経緯とか、なぜ手製のギターと分かったのかとか、とても興味深い話でした。
馬頭琴がお店に一本、そして落合さんが持参したものが二本あったので、急遽「馬頭琴教室」も。
なるほど椅子に座ってかかとをつける感じで膝を開き、そこへ馬頭琴をセットするのか~
弓弾きは、コントラバスでの経験から、どうにか初心者にしてはいい音が出たように思いました。
最後はジャズのスタンダード「昔はよかったね」でしめくくり。
ここでは落合さんと森下さんのジャズ・スピリットが炸裂!
エキサイティングな演奏でライブは終わりました。
中身の濃い、とてもいいライブでした。
店を出て家路につく自分の足取りの軽やかさがそれを物語っていたように思います。
2024年10月28日(月)
【会場】 岡山市北区表町 青空アイル
【出演】 落合康介(馬頭琴、コントラバス)
森下周央彌(ギター)
【Live Information】
城下公会堂のヒロコさんに、「ご都合よければ、ぜひ」とお知らせいただいた「栗林すみれ & 藤本一馬」。
否も応もなくその場で席の予約をお願いしました。
この組み合わせ、行かないわけにはいきません。
栗林さんは、以前金澤英明(contrabass)さんとのデュオ・ライブを聴きに行ったことがあります。
音と音の隙間を大切にする、とても美しい音を奏でるピアニスト、というイメージがあります。
藤本さんは、昨年以来3度目かな。
福盛進也(drum)さんとのデュオ、そして会田桃子(violin)さんとのデュオ。
音を詰め込まず、空間を活かした彼のギターは、派手に弾きまくるギターに比べて最初は物足らないかもしれません。
でも、強烈な辛みや濃い味付けに慣れてしまった舌にはすぐに感じられない出汁の香りとか最低限の調味料だけで味付けした品の良い薄味のような、一見目立たないけれども一度その味を知るとそこからは離れがたい、そんな感覚と同じようなものを思い起こさせます。
ライブは2セット。
全曲ふたりのオリジナルです。
ふたりの演奏は、最初の一音を発展させてゆく感じがします。
呼応、あるいは会話とでも言えばいいのでしょうか。
相手の存在に敬意を払っているというか、それを前提に自分の音を奏でているのでしょう。
まるで混ざり合うように、自然に音が溶け合っている。
「混ぜようとしている」のではないんですね。
だからこそ音量のバランスも素敵だし、「会話」として聴こえてもくるのだと思います。
お互いにしゃべりたいことばかりしゃべっているのが「会話」とは思えないように。
たんたんと、しかし温かみを感じる演奏ぶり。
弾きながらスキャットしているんでしょう、文字通り透き通った声がピアノと重なりながら微かに聴こえます。
美しいなあ。
栗林さんも藤本さんも、体が揺れています。
エモーショナルな演奏をしている証です。
栗林さんも藤本さんも「レムボート」のメンバーですが、このバンドのドラマーが、ECMから日本人ふたりめのCDをリリースした福盛進也さん。
このバンドも、絶対聴くつもりです。
早く岡山に来てくれないかな(^^)
【Live Information】
布施明。
ぼくとしては、「積木の部屋」(1974年)や「シクラメンのかほり」(1975年)で馴染みのある歌手です。テレビでよく見ていたのはぼくが10代、つまり小学校~高校のころでした。
映画「ロミオとジュリエット」で有名な女優オリヴィア・ハッセーと結婚した人、ということでも知られていますね。
その布施明さんのコンサートに誘われました。
といっても、男性の、それも自分より人生の先輩にあたる方からのお誘いです。デートがらみといったような色っぽい話ではなくて残念ですが
まあそれはともかく、
実は正直、布施さんには「過去の人」というイメージしかなかったんです。
それに今は、かつてのヒット曲を携えたかつてのスターの、年齢による衰えをノスタルジーでカバーしているライブもあったりするので、一瞬「どうしようかな~」と思ったんです。
でも布施さんについては「歌唱力がすごい」というイメージがあり、さらに布施さんがどんなバック・バンドと一緒に来るのかな、という興味もあって、「まあ予定もないしな」くらいの軽い感じではあったんですが、結局「行きます」とお返事したんです。
こういうのがどんなにシツレイなことか、当日コンサートが始まってから思い知らされました。
「素晴らしい」
この一言につきます。
布施明は決して古びた過去の人ではなかった。
いまも研鑽と前身を続ける、輝く「スター」です。
圧倒的な声量。
安定しているピッチ。
潤いのある声質。
ゆるぎないピッチと充分な声量でのロングトーン。
コンサートの終わりまで衰えない声のスタミナ。
「すげ~、(イメージが)40年以上前と変わらん!!!」
クラシックの歌手がよく取り上げている、サラ・ブライトマンの歌で有名な「コン・テ・パルティーロ」を後半歌ったんですが、
「クラシックも歌えるよ」とアピールしたいだけの取って付けたような歌ではなく、持てる技量をさらけだしての熱唱は、「まだまだこれから」という布施さんの思いが伝わってきたような気がしました。
後半歌った歌と言えば、「君は薔薇より美しい」。
この曲のポイントと言えば、高音のロングトーンで圧倒する「変わったあああああぁぁぁぁぁぁ~~~~」の部分ですが、ここの熱さ豪快さゴージャスさ、往年のままなんです。
MCを聞けば、なんと御年74!
ななじゅうよん!?!?!?
74にしてこの歌。凄い。凄すぎる。。
お断りしておきますが、「74歳のご老体にしては凄い」と言っているのではないのです。
みずみずしく、熱く、生き生きとした素晴らしい歌を歌う人が、あとで知ったんだけど74だった、ってことなんですね。
このスキルを維持し、さらに磨くためにはふだんからどんなにトレーニングを積んでいるのでしょうか。
それを考えると、ただただ尊敬です。
これぞプロフェショナル、そして布施さんの生き様なんだと思いました。
ステージ上の身のこなし、よく練られた(と思いました)MC、しゃべりのトーンもそうです。
これはまさに、いぶし銀。
といっても、「過去の輝きを懐かしむ」ものではなくて、例えば映画「タワーリングインフェルノ」でフレッド・アステアがダンスのシーンでチラリと見せたような、熟練の味です。
そしてなかでも素晴らしかったのが、歌詞がすごく伝わってくることなんです。
発音発声はもちろん、「伝えること」に重きを置いていることの現れではないでしょうか。
ステージ上での身づくろいも、ちょっと粋な演出に見えました。
帽子をかぶり、ステッキを手にして歌った「ミスター・ボージャングルス」、良かったあ。涙腺を揺さぶられました。
涙腺と言えば、「We Will Meet Again」です。
緩みましたとも。この世から旅立ってしまった友への、愛の詰まった鎮魂歌です。一説よると、亡き西城秀樹さんへ捧げたものなんだそうです。
バンド・メンバーは、井川雅幸(piano, バンドマスター)、小堀浩(guitar)、川嶋一久(bass)、長谷部徹(drums)、服部恵(percussions, chorus)、金子泉(keyboards, chorus)の6人。井川さんとはもう半世紀のお付き合いだそうです。井川さんの見事な統率力、息の合った演奏、バンドだけ聴いても大満足です。
テレビに出ているミュージシャン、CDチャートでランキング上位のミュージシャン ≠ 素晴らしいミュージシャン、というのを改めて、そしてまざまざと見せつけてくださった、布施明さんの素晴らしいステージでした。
布施明。
日本の音楽界の貴重な財産です。
2022年10月16日(日)
岡山市民会館
布施明ツアー 「よみがえれ昔日の情熱」
【Live Information】
素敵な異性とのデートのあと、その姿が見えなくなると湧き上がってくる寂しさとか、つい5分前まで一緒にいたのにすでに感じている「会いたい」気持ち。
白熱した野球の試合が終わったあとの震える気持ち。
美味しい料理を味わったあとの後口。
素晴らしかった時間のあとに必ずやってくるのが、余韻です。
この夜のライブは「藤本一馬 & 福盛進也 デュオ」。
その余韻は、帰宅後もぼくをじんわり包むのです。
曲が終わるごとに夢から覚めたような気分になるとともに、その曲の余韻が霧のように自分の五感を覆う。
目覚めたような気分になったばかりなのに、次の曲が始まる数秒前から別世界の扉が開いたような錯覚に陥る。
自由な音楽ってなんだろう、自分の音ってなんだろう。
デュオの奏でる唯一無二の音に浸りながら、そんな問いが頭の片隅にひょいと顔を出したりする。
きっとそれは自身の生き方そのものに結びついているのだろう。
自由とか個性のなんたるかがわからないのではなくて、不自由だったり没個性であることが楽であり、そこから出たくないだけなのかもしれない。
藤本一馬(guitar)と福盛進也(drums)。
このふたりは、新大陸を目指して大海原を航海している船乗りのようなものなのかもしれない。
行く手に待っているであろう不安よりも、自由な、自分の音を出し続けることで見えてくるであろうまだ見ぬ世界への到達に希望を抱き、心豊かに生きているのだろう。
そんな気がしてならないのです。
素晴らしいライブは、余韻も素晴らしい。
2022年6月27日(月)
藤本一馬(guitar) & 福盛進也(drums)
城下公会堂
とはいえその2日も夕方遅くまで仕事に追われていたので、お店に着いたのは開演ギリギリ、すでに満席。
白い衣装の小柳さんは赤ワイン、赤い衣装の小野田さんは白ワインを手にリラックス。
ピアノの小野田さんは、ここ何年かであちこちで名前を目にしていたので、いつか聴いてみたいと思っていたのですが、その願いがかないました。\(^^)/ワーイ
飢餓状態の人間が、急にその胃袋に豪華で多量の食べ物を詰め込むと、命にかかわることもあると言う。
バンクシアトリオは、日野皓正グループなどで活躍する、日本ジャズ界の重要なベーシストのひとり須川崇志が率いている。
メンバーは、それぞれが言うまでもないほどの手練れであり、独自の音楽観で美しい世界を形作り、ひきもきらないオファーを受けて各地を飛び回っている。
私は酒は全く嗜まないのだが、それでも酒を飲みながら音楽に浸ることがどれだけ楽しいことかは分かっているつもりだ。
バンクシアトリオのサウンドを正面から浴びて、やや頭をくらくらさせながら私は蔭涼寺を後にした。
・・・とカッコつけて、作家になり切って作文したくなるくらい素晴らしいライブでした。
しかし、石若駿氏の叩き出すリズムはまさに歌であり、生き物です。
これだけを一日中でも聴いていたいくらいです
須川崇志バンクシアトリオ
林正樹(piano)
【Live Information】
譚歌DUO。
石井彰(piano)と金澤英明(bass)の両氏からなるデュオです。
その夜は満月から2日目。
帰りの車のフロントガラス越しに見える月は、少し赤っぽく、そして大きく見えました。
石井&金澤の両氏に、今をときめくドラマー石若駿を加えたトリオ「BOYS」のアルバム、『月夜の旅』のジャケットを思い出しました。
金澤英明・石井彰・石若駿 『月夜の旅』
とくにライブでジャズを聴く時、いったい何を感じて、どこを聴いているものなのでしょうか。
メロディ。
めくるめくテクニック。
メンバー同士の、音のやりとり。
音色。
好きな楽器。
もしかするとメンバーの誰かのバックボーンや生き様に共感していて、それを音に絡めて聴いていたり。
今夜、演奏中にふと思ったのは、「これは合奏なのか」ということ。
もちろん合奏です。ふたりで演奏しているのだから。
でも、複数の演奏者が演奏していても、音の溶け具合というのか、トータルな音の成り立ちはいろいろな場合があるような気がするんですね。
例えば、数種類の液体をよく混ぜた時のように境目のない場合もあろうし、一緒に音を出しているんだけれど各人がバラバラで全く連携してなかったり、全員が熱くはなっていても熱くなっているだけで勢いだけの雑なものだったり。
金澤さんはかつてぼくにこう語ってくれたことがありました。
「駿(石若駿)は全部わかってくれんだよ」
石井さんと金澤さんの間もそういう関係では?と改めて思っちゃったんです。
いや、「わかってくれる」というより、「(もちろんわかってくれるのが前提だろうけれど)何をやっても受け取ってくれる、仮に伝わらなくともキャッチして必ず反応してくれる」のが当たり前というか、安心感、信頼感、そして何かを起こしてくれるだろう、という期待感、そんな感じ。
それはもう「合奏」なんて言葉では表せないんじゃない?、と聴きながらひとり勝手にうなづいていたわけなんです。
あるポイントに向かって進みつつ、「そのポイントとなる音を活かすためにはこういう道を辿ろう」、あるいは「こういう経路を進むなら辿り着くところではこういう音を出そう」みたいなことを二人とも意識の底に置きながら演奏していたのではないんじゃないかな、と思えたんです。
実際のところは分かりませんが、ぼくはそういう風に勝手に感じて楽しんで聴いていました。
そういう意味では、このデュオには担当楽器の違いがあるだけで、あとは二人の境目なんてないのではなかろうか、としみじみ思ったわけなのです。
たしかに、この二人でしかこういう音を聴いたことはないよな~
これが本当の「自分の音」なんです、きっと。
今夜、世界じゅうでここにしかなかった、オリジナルな音。
また必ず体験しなくては。
うまく言葉にできなくてもどかしいばかりですが、二人が出す最初の一音ですぐに別の世界を味わえたんです。
いい夜でした。
譚歌DUO (石井彰piano、金澤英明bass)
Live at 倉敷アヴェニュウ
2021年1月31日(日)
【Live Information】
煌びやかなイルミネーションが近づいてきた年末を教えてくれる東梅田。
日暮れとともに冷たさを増してきた風に首をすくめながら、「コートを着て来て良かった」と思いました。
開演の時間が迫ってきたので歩調を早めながら向かうのは、堂島のジャズクラブ「Mr.Kelly's」。
来年には30周年を迎える、関西のジャズを支える名店のMr.Kelly'sでこの夜パフォーマンスを行うのは、14年ぶりにアルバムをリリースした大越理加さんでした。
まだまだぼくが未熟だった頃(今でもですが)、憧れていたジャズボーカリストのひとり、大越さん。
ずっと以前に、一度だけですが、共演させていただいたこともあり、それ以来今でも密かに憧れています。(ここに書いた以上密かではなくなりましたw)
キュートなルックス、親しみやすいくだけたMC、でも曲が始まると凛とした雰囲気でステージに君臨する大越さん。それでいて大越さんの歌はつねに柔らかくて優しい空気を纏っているのです。きっと歌に敬意を払っているからなのでしょう。
ステージでの立ち居振る舞い、ちょっとした仕草、MCの雰囲気にも大きな存在感があります。まさに「シンガー」「ボーカリスト」です。それだけで非日常のスペシャルな世界へ連れていってもらえました。
バックの演奏がこれまた素晴らしいのです!
メンバーは、安次嶺悟(piano)、大西教文(guitar)、魚谷のぶまさ(bass)、佐藤英宣(drums)。とにかく名手ぞろいです。ラインナップを見た瞬間、ワクワクで胸がいっぱいになったくらいなのです。
サウンドはまさに燻し銀。熟成されたというか、この5人の出すサウンドを聴いていると、比喩ではなくその音楽がじんわり体に染み込み、自分の気持ちから余計な固さが消えていくのを実感できるのです。
ふと店内を見回すと、みんな目を細めて笑顔をうかべながら聴いています。きっとみなさん同じ感覚だったのでしょう。
そして、自分もあんないい音を出してみたい、とつくづく思ったことでした。
慌ただしい年末年始の前に、とてもいい夜をプレゼントしてもらえました。
ベーシストの魚谷さんがセットの合間に「一番前で見られたら緊張するわ〜」と言いながらわざわざ握手しに来てくださいました。いやいやこちらが緊張しましたわ~
変わらず素敵だった大越さん。
大越さんをはじめ、キャリアのある素敵なボーカリストさんがこのままずっと歌い続けてくださいますように。
すこし興奮した体を静めるためコーヒーでも飲もうと、宿の近くのジャズクラブ「いんたーぷれい8」へ寄ったら、倉敷ジャズストリートにも来てくれていた、魚谷さんのお弟子さんのならちゃん(楢崎さん)と、ならちゃんの友だちの川村さんにソーグーしたのが今夜のオチでした。
ならちゃん、相当ビックリしたみたい。
そういう顔を見るのは、スキですwww
大越理加 Live at Mr.Kelly's
2019年11月19日(火)
安次嶺悟(piano)
大西教文(guitar)
魚谷のぶまさ(bass)
佐藤英宣(drums)
大越理加(vocal)
【Live Information】
ライブ・タイトルは「砂の毛布」。
ふだんあまり夢を見ないという角銅さんの見た、とても気持ちの良い夢から取ったものだそうです。
聴いているぼくもその砂の毛布にくるまれたかのような、夜でした。
打楽器奏者の角銅さんですが、この夜はギターまたはピアノの弾き語り。オリジナルとカバーをまじえながらの約90分のステージでした。
セット・リストを決めずにステージに臨んだそうですが、それだからこそ「生まれたてのステージ」な、瑞々しい空気が醸し出されていたのかもしれません。
貫頭衣をイメージさせるワンピースもユニークでした。
ライブ会場は、岡山市民ならなじみのある「禁酒会館」。
大正時代に建てられ、岡山大空襲をもくぐりぬけて生き残っている、ドイツ風の3階建ビルです。
この禁酒会館のレトロ感と、角銅さんの透明感のある歌がよく合うんです。
クーラーから出る音が気になるため冷房を消し、窓を開けてのライブとなったのですが、面白いことに、屋外の車や市電の音、横断歩道の視覚障碍者用のメロディなどなどが、いつの間にかまるで角銅さんの音楽の一部のように聴こえてくるんです。
ちょうどエンディングのフェルマータのあたりで市電が通り過ぎたり、サウンド・エフェクトのように人の声や車・市電の音が曲にかぶっていたり。
そう感じさせてくれるような歌声、あるいは曲の数々だったのだと思います。
澄んでいて、静かで細やかで、よく通る声。
本に例えるならば、童話とか、絵本のような雰囲気をもつ個性的な曲の数々。
今はなきアトラス・ピアノ社製作のピアノ「モルゲンスタイン」の音がこれまた異界の寂しさみたいな味があったり。
メトロノームやオルゴールなどを使ったしかけは、ピンク・フロイドとかカンタベリー系のプログレッシブ・ロック、ミュージック・コンクレートなどを思わせるところがありました。
「優しく和やかに弾き語る」だけではない、前衛的なもの、ルナティックななにか、異界との狭間にいるような気にさせるなにか、などなどが自然な感じで曲の背後に潜んでいるような気がしました。
ライブのあとの妙な満足感は、本を読んだあとの気分に近いような気がします。
会場は満席でした。
県外からも聴きに来ている人がいたようですが、たぶんこの「妙な満足感」のとりこになった人たちなんだと思います。
この「砂の毛布」には、またくるまってみたい、と思わせられた夜でした。
角銅真実さんはパーカッション奏者です。
パーカッション&コーラスとして「cero」をサポートするほか、「ORIGINAL LOVE」などのアルバムにパーカッショニストとして参加したり、原田知世さんなどに詞を提供するなど、幅広く音楽制作に携わっています。
いま多方面から大きな注目を浴びている「新星」です。
◆角銅真実ライブ 「砂の毛布」
2019年9月2日
岡山 禁酒会館
[出演] 角銅真実 (vocal, guitar, piano, sound-effect)
【Live Information】
自然現象、景色、感情、空想・・・。
この5人は、こういう事象を音で物語る。
でも、感情のおもむくままに音を吐き散らかしているわけでもないし、逆に構築しすぎてもいない。
奏でる側に浮かぶ素直な感覚を音として発し、それを受けてさらに発音する。その音を5人は自然な成り行きで育てているような気がする。
音のどれもこれもが連動していて、5人の存在のバランスが絶妙で、ステージはまるで小さな宇宙みたいだった。
それでも時折り訪れる各々のソロは、瞬発力があって、川の流れのような起伏があって、やっぱりひとつの世界になっている。
なかでも最後の曲の、ドラムとピアノの応酬は圧巻の一言に尽きる。
福盛くんのドラムをこの10日で二度も味わえたのは、ぼくにとってのこの夏のボーナスみたいなものかな。(^^)
全員の演奏力の高さは言うまでもないことでしたが、それに加えて神社の中にある建物での演奏はすこし厳かでもあり、慌ただしい日常から抜け出せたような気分を味わうことができました。 時間も雰囲気も屋外とは違ったものに感じられたので、そういう空気の中に身を置くとしぜんに気持ちも穏やかになれるのです。
なんとも美しい時間でした。
縁があって、ぼくの弓をヴィブラフォンの角銅真実さんに使ってもらうことになったんです。
弓が登場するとなんだか嬉しくなっちゃって、
「うちの子!あれはうちの子なんです!見てやってください、うちの子ががんばってますぅぅ!(´д`*)」的な気持ちで見ておりましたw
その角銅さんですが。
ステージ上でくるくる変わる表情、強い印象を受ける漆黒のくっきりした目、うきうきして帰り道を歩いている子供のような演奏中のステップ(^w^)、他の演奏者の気迫のこもった演奏ぶりを楽しそうに面白そうに見つめる無邪気さ。
そこに彼女がいるだけで空気が変わる、とても素敵なキャラクターでした。
この5人による「land & quiet CDリリース記念ツアー」は、14日は兵庫県丹波篠山市「rizm」で、15日は東京都杉並「sonorium」でライブを行う予定だそうです。
行けるものならもう一回聴きたいなあ。
【land & quiet Live at 宗忠神社】
2019年8月12日(月:祝)
land & quiet
伊藤ゴロー (guitar)
佐藤浩一 (piano)
福盛進也 (drums)
guests
角銅真実 (vibraphone, percussions, vocal)
ロビン・デュプイ (cello)
land & quiet live in Okayama
【Live Information】
山下洋輔(piano)と福盛進也(drums)の顔合わせ!
ぼくとしては、好奇心に火がついただけでは収まらず、あたりにも飛び火して燃え盛るようなお知らせでした。
このライブは、大阪は西天満のジャズ・クラブ「いんたーぷれい8」の60周年記念と、ママさんの誕生祝いを兼ねたものです。
ママは86歳になったそうですが、とてもお元気。小柄な体から発するエネルギーと遠慮のない口調は、まるで往年のミヤコ蝶々さんを見ているようでした。
「86になったらもうオトコにもモテんしなw」だってwww
「いんたーぷれい8」は山下さんとも福盛くんとも縁の深いお店で、ママさんと山下さんとのお付き合いはそのうち50年になるんだそうです。
山下さんの著書の中にも「いんたーぷれい8」の名前はちょいちょいでてきますね。
最初に山下さんがここで演奏した50年前。
ギッシリ満員だった客席が、山下さんのフリーな演奏が終わる頃にはたったの5人になっていたそうです。それでもママさんは山下さんの独特の音楽を大好きになり、応援し、それを貫き通してきました。山下さんのカーネギー・ホールでのライブにも駆けつけ、客席からハンカチを振りながら大声援を送っていたそうです。
福盛くんは、アメリカの大学を終えていったん日本へ帰り、ドイツへ行く準備をしている時から「いんたーぷれい8」にはなにかと応援してもらっているそうです。日本へ帰ってきた頃はミュージシャンの知り合いが誰もおらず、演奏しようにも共演者すらいなかった時に、温かく迎え入れてくれたんだそうです。
この夜の「8」は、まさに立錐の余地もなく、自分が吸ってもいいぶんの酸素が残っているかどうかが心配なくらい。
ぼくは山下さんを生で聴くのは初めてなうえに、ドラムはECMからリーダーアルバムをリリースしていっそう将来が楽しみな福盛くん。これが果たしておめおめ聴き逃せられましょうか
福盛くんの顔を見るのは昨年の4月以来。
実はこの日の昼、大阪駅でなんと偶然にも福盛くんとばったり(゚Д゚) (あまりの人混みだったので声をかけたけれど届かなかった)。
あら~と思っていたら、お店に入る前にまたしてもばったりwww
(ちなみに、ライブ前の腹ごしらえに入ったカレー屋さんで、15年ほど前に大阪でよく出演させていただいていたamホールの代表のKさんとこれまたばったり。あまりの偶然にビックリでした)
ライブは、まずは山下さんのソロ・ピアノでオリジナルを2曲、そして「You Don't Know What Love Is」。
4曲目に山下さんから呼び出され、福盛くんがドラム・セットへ。そして福盛くんのアルバムのタイトルチューン「for 2 akis」でデュオの幕が切って落とされました。
そのあとは山下さんのオリジナル「ハチ」。タイトルはもちろんお店にちなんだものです。
「ハチ」のあとは再び山下さんのソロでラヴェルの「ボレロ」。初演の時に聴衆のひとりが「ラヴェルが狂った」と口走ったと言われる、エキセントリックな名曲です。
「ボレロ」が終わるや、間髪入れずに起こるアンコールの手拍子。そして山下さんからアナウンスされた曲名は、70年代山下トリオの名曲「キアズマ」!
もう感激です。
リハーサルのようす。(写真は福盛進也くんにお借りしたものです)
日本のジャズを背負ってきた山下さんと、次世代のジャズを引っ張っていくであろう福盛くんのこの夜の共演は、大横綱の千代の富士に若き貴花田が立ち向かったあの伝説の一番を思い出させるものでした。
もしかすると、この夜ぼくは「歴史のひとコマ」を見たのかもしれない。そんなことを思ったりしました。
実際は、演奏中に試合とかバトルの類いの空気が出たのは一瞬たりともなく、お互いの音を聴き合い、お互いの歌にお互いの歌を重ね合わせる、まさに「共演」。素晴らしいコラボレーションでした。
1曲終わるごとの大歓声、大喝采。
フリージャズでこんなに胸がいっぱいになったことって初めてだ!
ママさんも小柄な体全身で大喜びしておられました。「体調も良くなった」「帰られへん」、そうですw
ライブのあとカウンターでハンバーグを食べていたら、隣に山下さんが座られまして。。。(*´Д`*)
いやもう緊張して声なんてかけられなかったです。
ハンバーグひとつ食べるのにあんなにドキドキするなんて・・・www
舞踏家で俳優の小谷野哲郎さんに初めてお会いしたのは、4~5年くらい前の、北木島行のフェリーの上でした。
「ピース・フェスティバル」というイベントに出演させていただくために北木島に向かったのですが、お互いにただの観光では持っていかないような荷物を抱えていたものですから、なんとなく「素性」がわかったのだと思います。
みなぎった眼力がとても印象的でした。
船の中では、バリ島の不思議な話をはじめいろんな話を聞かせていただきました。
その時の北木島での小谷野さんの出演は、夜の10時ころだったでしょうか。
空一面に星がきらめき、打ち寄せる波の音だけが聞こえる瀬戸内海の小島。
明かりなしでは何も見えない闇の中、焚火の明かりに照らされ、バリ島のお面を付けてバリの踊りを踊る小谷野さんの姿は、例えば異世界を垣間見た時の畏れにも似た、とても神秘的なものだったのをはっきりと覚えています。
その小谷野さんが瀬戸内市の備前福岡にある古民家「仲崎邸」で公演を行いました。
題して「南洋神楽プロジェクト 『仙人になりたかった男』。
ちなみに備前福岡は、福岡県にある福岡城を築城した黒田長政の父で、軍師として名高い黒田官兵衛ゆかりの地です。
演目は、まずは喜羽美帆(箏)・松本泰子(唄・ガムラン)・和田啓(打楽器)の各氏による演奏。
次はその演奏にバリ舞踊の小谷野智恵さんが加わってのパフォーマンス。
そして小谷野哲郎さんがほぼひとりで演じる「仙人になりたかった男」。(劇伴奏に喜羽・松本・和田の三氏)
日本の箏、インドネシアのガムラン、イランの打楽器の合奏は思いのほか違和感がなく、アジア風味の無国籍音楽、といった趣きでした。新しい体験なのに遠い昔に体感した気がする不思議な感じ。
続く小谷野智恵さんの舞で部屋の空気が変わったような気がしました。
呪術的な雰囲気、エキゾチックな衣装、軽んじてはならないような艶めかしさ。
間近で見ると、表情をはじめ手先足先にまで神経を行き届かせているのが伝わってきます。 異国(ではあるけれど同じアジアの)文化をたっぷり味わえました。
小谷野哲郎さんの芝居「仙人になりたかった男」の原作は、芥川龍之介の「杜子春」です。これは、もとは唐代の中国の伝奇小説です。
いくつものバリのお面を付け替えて演じられますが、お面の表情が生きているように見えてきます。
張りと深みのある声、氣のこもった動きで、すぐに物語に引き込まれました。
もともと物語の中には示唆的なもの、教訓的なものが潜んでいるのですが、あまり説教臭くなっていないのも、すんなり劇が自分に入ってきたひとつの理由でしょう。
物語自体に面白さがあるし、それを氣合をこめて演じられるとやはり大きな迫力があって、目が演者から離れることがなかったです。
その夜の演目は、築100年を超す仲崎邸の、庭に面した障子を開け放した部屋で演じられました。
夜空に月が浮かんでいるのが居ながらにして見えます。
演者の声と楽器の音色、時おり鳴く虫の声以外には、聞こえてくるものはなにもありません。
自然と溶け合ったかのような舞台を見ているうちに、日ごろ荒れやすい自分の感情も穏やかに鎮まっていました。
ちなみに小谷野智恵さんは真庭市勝山でカフェ「かぴばらこーひー」を営んでおられるそうです。
県北へ行ったら覗いてみようと思います。
【Live Information】
テッド・ローゼンタール・トリオ。
「本物」や「熱い志」を厳しい姿勢と優しい眼差しで見守っていた名プロデューサー、故・藤原憲一さんが「手塩にかけて」サポートしてきたトリオだと言ってもいいのではないでしょうか。
毎年のように日本ツアーを行い、その時には必ず岡山に立ち寄って素敵な演奏を聴かせてくれるこのトリオ。来岡を心待ちにしているジャズ・ファンも年々増えているような気がします。
もはや岡山はテッドの「ホーム・タウン」のようです。
台風のような雨と風の土曜日でした。
荒れた天候の屋外とは対照的に、ルネスホールはジェントルな音色で満たされてゆきました。
ジェントルといっても、単なるロマンチックな演奏ではありません。セット・リストの数々は、意思がしっかり込められた演奏とアレンジによって瑞々しい生命力を持っているように聴こえました。
演奏されたのは、テッドのオリジナル、スタンダード・チューン、クラシックを素材としたものなどです。
聴いてみて思ったのは、すべて自由に演奏しているのではなくて、テッドの出したいサウンドに向かって各々が自分の持ち場というか領域でベストを尽くしているのではないか、ということです。
だからベースの植田さんもドラムのクインシーも、音楽の全体像を見据えながら、その時々に応じた最善の手段を講じていたんだと思うのです。
そして、やっぱり素晴らしいミュージシャンである植田さんのプレイはベース弾きの端くれとして目が離せませんでした。
なんていうんでしょう、名匠というか、頼れる参謀というか、まさに文字通りの「頑健な土台」だと思いました。
グルーブ感、音色等々、どこをとっても安心堅実、他のメンバーからするとまさに「大船に乗った気分」なのではないでしょうか。
ソロがまた実に魅力的なんです。
「味のしっかりしみた煮物」、そんな言葉がぼくの頭に浮かんできたんですが、これは自分の脳細胞が上手い喩を生み出せないってことなのかなw
それにしても、植田さんはもっと日本のメディアによって注目されるべきベーシストだと思うなあ。
このトリオは、メンバーが長年連れ添っているだけに、お互いの意思も共有しているだろうし、ステージの雰囲をみてもとてもナチュラルな、研ぎ澄まされているけれどもフレンドリーな、という感じがしました。
それにしても素晴らしいライブでした。
優しい音は会場の空気を優しくし、
暖かい音は会場の空気を温かくし、
凛とした音は会場の空気を清々しく張りつめたものにし、、、
音符が記された紙に命を吹き込むところを目の当たりにし、ハッピーになれる「秘薬」に満ちた音を浴びて、ぼくはルネスホールを後にしました。
そのあとでピアノ・バーに寄りました。
高ぶった気持ちをクールダウンさせたかったのです。
お店を出たのは、日付が変わってから2時間ほど経った頃だったでしょうか。
空を見上げると、雲の切れ間から星がまたたいたような気がしました。
◆テッド・ローゼンタール・トリオ ライブ・アット・岡山ルネスホール
2019年6月15日(土)
<personnnel>
テッド・ローゼンタール(piano)
植田典子(bass)
クインシー・デイヴィス(drums)
【Live Information】
あらかじめ仕入れた情報wによると、そんなに慌てて店に行かなくても大丈夫そうだったのですが、バッタかセミか知らんけどとにかく何かの虫がお知らせしてくれたのでしょう、なんとなく開場予定の17時より早めに店に行ってみると、すでに生まれたての行列ができているではないですか!
並ぶや否や、たちまち列は「何かの配給か」というくらいの長さになりました。
この夜のメンバーの立ち位置はとてもユニークで、円形というか、車座にセッティングしてありました。そして客席はその外側を取り囲む形でしつらえてありました。いわばドーナツの穴がステージ部分、食べられる部分が客席ってことですね。
つまりたいていのお客はメンバー誰かの背中を見ることになります。
どこで聴こうか悩んだ末、やはりベースの井上さんを見たいので、当夜は椅子を取り払って立ち見席となっていたカウンターへ陣取りました。そこがちょうど井上さんの向かいになるからです。
わざわざ早く来て立ち見を選ぶという、このよくわからない選択w
ところが場所取りをしてから気づいたのですが、井上さんが見える場所は目の前にいるホーンの三人の背中が視界に入るんです。このまさかの目論見違い・・・。
しかし日頃のぼくの行いに対する神様からのご褒美なのか、スタンバイした三人の間からは井上さんがしっかり見えるではありませんか!
そのうえホーン・セクションの方々の、いろいろ書き込んだ譜面も視界に入るというなんとも贅沢なオマケ付き!(演奏中譜面を目で追ってみたんですが、複雑なリズム譜に初見ではついて行けなかった)
しかも、音を出していない時にはトロンボーンの片岡さんが率先してしゃがんでくれたり。この気遣いは嬉しかったな。
この「立見席」には「立身席」という表示があって、出世でもする席なのか、それとも他のなにかのギャグかと思っていたんですが、思わぬラッキー・ワード、ラッキー・ポジションでした。
演奏曲目は、ほとんどこのセクステットのアルバム「Ⅻ」から。
すべてメンバーのオリジナルで、コンテンポラリー色の濃いものばかりです。
なんでも、リーダーの大西さんから「各自3曲ずつ書いてくること」という課題が出されていたそうです。
とにかく1曲終わるごとに割れんばかりの大拍手、最初から最後まで大へんな盛り上がりです。
白熱しまくる演奏は文句なく楽しく、聴いているこちらは血が騒ぎまくり、体が揺れまくりでした。
井上さん作のファンク系ナンバーでは井上さんとドラマーの高橋さんの織りなすグルーヴ感が気持ち良すぎて、体が動いてしまうのをとめることができません。
メンバーの個人個人の力量は言わずもがな。全員がリーダーを務めることができる実力を持っている、いわば「スーパー・グループ」です。
大西さんのリーダー・バンドではありますが、大西さんを含めて突出して誰かが目立つことはありませんでした。メンバー6人の総力が結集されているのはもちろん、それぞれの魅力がバランス良く散りばめられていたように思いました。
このライブはCD発売記念ツアーで、この夜が千秋楽でした。
「なぜこのCD発ツアーを行ったかというと、CDを発売したからです」というあまりにも当たり前な広瀬さんのMCwww
もちろんCDは買いました。いや、あんな演奏を聴かされたら買わずにはいられません。
7月12日には東京・有楽町でツアーファイナルがあるそうですが、大西さんの「ツアー・ファイナルは、ま、来れない距離ではないです、、、有楽町で(会場爆笑)やります。遠いですが、私たちは(こっちに)来てますので(再び爆笑)、たまには来てください(拍手喝采)」というなんだかオトコマエなMCwww
でも、もし聴きに行ったらきっと満足して楽しく帰れること請け合いです
2019年6月1日(土) 倉敷アヴェニュウ
大西順子セクステット
大西順子(piano)
井上陽介(bass)
高橋信之介(drums)
吉本章紘(sax, flute)
広瀬未来(trumpet, flugelhorn)
片岡雄三(trombone)
ついこの前、震えるくらい寒かったよなあ・・・
しかし一転して夏日です。
よく聴き、よく歩きました。ついでに汗もかき、足の裏にマメもできました。
5月4日の土曜日は、一日快晴の高槻を歩き回りました。
靴底が1cmはちびたんじゃないかな。
でも楽しかったから、いくら歩いても疲れは感じません。
たくさんの旧知のミュージシャンたちにも会えました。
「聴きに行く」と同時に、結果的に「会いに行った」ことになって、楽しさ倍増でした。
それにしても、素晴らしい演奏、カッコいい演奏を聴くと、帰って練習したくもなります。
JR高槻駅に降りたのは11時半くらい。
阪急高槻市駅高架には元Fried PrideのSHIHO(vocal)が登場するとあって、たいへんな混雑ぶりです。
そして「川嶋哲郎(sax)、竹下清志(piano)、時安吉宏(bass)、東原力哉(drums)」目当てに現代劇場中ホールを目指しましたが、席が埋まってしまっていて入れませんでした。
13時からは、高校の先輩で地元倉敷を拠点にピアニスト、タレントとして活躍中の朝田恵利さんのユニット「Orange Jam(朝田恵利key-harmonica、松田康子piano)」を聴きに、緑町カフェへ急ぎましたが、ここも満席で入れず。
快晴の大型連休中だけあって、どこへ行っても満席、満席、また満席です。
しかし、見て、聴いたステージはどれもこれも楽しく、心躍り、気持ちやすらぐものでした。
「ハード・バップ研究会」目当てに行ったFM COCOLOの野外ステージでは、端っこではあるけれど、運よく前から3列目に座れ、演奏直前の転換の時間にベースの光岡くんやピアノの愛ちゃんたちともアイコンタクトが取れてさらにテンションアップです。
上機嫌の中、演奏が始まったのですが、間もなくひとりのお爺さんが「隣、空いてますか」と尋ねてきました。
少し詰めるだけで座れる感じだったので簡単に「どうぞ」と返事をしたんです。
するとそのお爺さんが座ると思いきや、小柄で少し足がおぼつかない老婦人を「ここへ座り」と腰かけさせました。
かっこいい・・・
自分を後回しにして奥さんを座らせようとするそのご老人にちょっとジーンと来ちゃいまして、柄にもなくすぐ立って、「よかったら座りませんか」って言ってみました。
「せっかくのデートなんでしょう?」
電車の中でもドキドキしてそんなことなかなか言えないのに、今日はスッと言えたじゃないかみなぎ君!
きっとハード・バップ研究会の名演と夏空のおかげでテンション上がってたからだなぁ。
「いいんですか・・・?」と恐縮するご主人に、夏空にも負けない爽やかさと少しのドヤ顔が入り混じった笑顔を向け、ぼくは颯爽と席を離れたのでした。
そのあと演奏を聴いているうちにすこーしお腹がすいてきたので、さっき声をかけてきたメッチャ可愛い女子のいるワゴンのホットドッグ屋さんでドッグを買ったんです。
そしたらその子もお店にいたにーちゃんたちもみんなとっても感じがよくて、
「どこから来られたんですか?」「楽しんでいってくださいね~」と気持ちよく声をかけてくれて、
シアワセ3割増(いや、5割増かな)、な気分になりました。
このハッピーな気分は、さっき老夫婦に席を譲れたから神さまがプレゼントしてくれたんだよ、きっと。
もちろんこの話は、事実と自慢が混ざったものです ガハハwww (^w^)
阪急高槻市駅から南へ走る通り。
緑町カフェ「Orange Jam(朝田恵利key-harmonica、松田康子piano)」
阪急高槻市駅高架下広場「SHIHO(vocal) 他」
阪急高槻市駅駅前広場「花房真優 (Mayu Hanafusa[vocal, guitar]、Maitea[piano]、Natsumi Shibata[violin])
高槻市立第一中学校グラウンド「MAKOTO(voval)、愛川聡(guitar)、朱恵仁(piano)、佐々木善暁(bass)」
阪急高槻市駅コンコース「Nacomi & The Blues Temple」(セッティング中)
高槻市立桃園小学校グラウンド「マホガニーホールストンパーズ (竹中保夫tb、松永忠軌tp、小林昇治cl、松本竜成pf,sousaphone、川合純一bjo,vo、樋口俊哉b,vo、梁瀬文弘drs)」
高槻市立桃園小学校グラウンド「ハードパップ研究会 (横尾昌二郎tp、里村稔t-sax、今西佑介tb、志水愛pf、光岡尚紀b、弦牧潔dr)」
JK高槻「CYNDI(vocal)、三浦敦子(piano)、泉正浩(bass)」
Birth Act「かしまし息子ブルース・バンド (余部一郎[bass]、太田有里[chorus]、成瀬均[keyboard]、西原当裕[drums]、西村哲也[guitar, vocal])」
cafe & gallery 登美屋「TOPSY (安東フミ[violin]、梅田望実[piano])
形部由夏(vocal)、森口ミカ(vocal)
Marinnna「QTG (形部由夏[vocal]、河野多映[piano]、大辻彩[percussion])
URGE高槻「箕作元総(guitar, vocal)、真木毅(bass)、鈴木泰徳(drums)」