【Live Information】
井上智(guitar)と北川潔(bass)は、アメリカでも長年活躍しているジャズ・ミュージシャンだ。
井上氏がジャズ雑誌に連載していた記事は愛読していたし、北川氏は尊敬するベーシストのひとりである。もちろん面識はないが、このふたりが12年ぶりにデュオ・アルバムをリリースするという記事は、一種の親近感を持ってぼくの目に入ってきた。
そのうえ、CDリリース記念ツアーが2月下旬からスタートするというのだが、なんとそれはぼくの住む岡山市から始まるという。
北川氏のプレイに対しては、一歩でも近づきたいという憧れのようなものを持っているうえに、普段アメリカで生活している北川氏の日本でのライブは地域や本数が限られているので、岡山で氏のプレイが聴けるのはまさに天の配剤。ツアーのニュースを知ったのは、2月も中旬だったので、即座にライブ会場の岡山市蔭涼寺に予約の連絡を入れた。
早く生で聴いてみたい気持ちが強かったので、ライブまでの一週間はけっこうニヤニヤして過ごしたと思う。
会場の蔭涼寺は、建物そのものの音響が素晴らしく、内外のミュージシャンのライブがしばしば行われている。
住職の篠原氏自らがPAとライティングを担当するのだが、極力生音の良さを生かすことをイメージしているため、音色がとても温かく聴こえる。これは、リスナーとしては嬉しいことだ。
篠原氏は、お寺には様々な人が集まってきてかまわないし、そうあってほしい、という考えをお持ちなので、毎週のように音楽をはじめとする様々な催し物が行われていて、岡山のカルチャー・シーンにも少なからぬ影響を与えている。
ライブがあったのは2月23日(火)。開演は19時30分。
客席から見て左にギター、右がベース。
座席は30~40ほど用意されていただろうか。
最前列は少し恥ずかしかったので、2列目に陣取る。
ただし、北川氏の弾く姿をしっかりと見たいので、こころもち真ん中より左に座ったが、ここが最前列の方の頭と頭の間からよく北川氏の見える、自分的な特等席だったので、ひとりでワクワクホクホクしてしまった。
井上・北川の両氏が現れたのは、ほぼ定刻。
小曽根真やジョン・ファディス、ケニー・バロンという、名だたるミュージシャンのベーシストを務めてきた北川氏の姿をやっと見ることができて、ぼくの心は一瞬にして温度が上がった気がする。
子供が、憧れのプロ野球の大スターに会った時の気分って、こんなんだろうと思う。
チューニングのあと、おもむろに北川氏がミディアム・テンポでイントロを弾き始める。ゴキゲンにスウィングするベースに井上氏のギターが乗ってきて奏でられ始めたのは、「The Surrey With The Fringe On Top(飾りのついた四輪馬車)」。
レイドバックした雰囲気で、ブルージーに、どことなくユーモラスに曲は進んでゆく。
ライブは、井上&北川デュオのCDリリース・ツアーなので、セット・リストは当然ニュー・アルバム「Second Round」から。それに加えて「Waltz New」「No More Blues」を聴かせてくれた。
ふたりとも関西の出身で、付き合いは30年以上。渡米してからの年月も、ふたりとも25年以上になるという。
長年のキャリアの影響もあるのだろう、気負ったところもなく、ふたりの間の楽器による意志の疎通もスムースであるように聞こえる。
雰囲気的には井上氏が温厚柔和で面倒見のよい兄、北川氏がどことなくイタズラっぽいヤンチャな弟。
MCでは穏やかな笑みを浮かべるふたりだが、いざ演奏がはじまると表情が一変、全精力を自分の音楽に費やしているのが清々しい。
ジャズ・ギターの巨匠ジム・ホールの愛弟子である井上氏のギターのトーンはひたすら心地良い。訥々と歌っているように聞こえるフレーズの数々には、井上氏の顔に刻まれたものと同じ年輪が刻み込まれているのだろう。
北川氏のベースは、ウォーキングでは小気味よいグルーブ感が遺憾なく発揮されていて、それだけでぼくの体は心地よく揺れる。ベースソロでは時折「ウッ」とか「ア~」とうめき声をあげていたが、それが却って、氏のソロには切ればほとばしようなアツい血が通っていることを改めて教えてくれていた。
各々のソロあとの拍手がやや短いように感じたが、これは演奏が物足りないのではなく、客席が固唾を呑んで聴き入っていて拍手のタイミングを逃したり、長く拍手すると次のソロの頭を聴きもらしてしまうからだと思う。実際客席はみな目がステージに釘づけで、最後まで張りつめた空気が漂っていた。
終演後、購入したCDにサインをいただけたが、その時に北川氏と話せて、嬉しさのあまり舞い上がってしまった。緊張してよけいなことばかり口走ってしまったような気がする(^^;)。
ほんとうは、「あなたのCD「アンセストリー」や「プレイヤー」は自分の愛聴盤である」とか「昔から憧れていた」とか「素晴らしい演奏だった」とか言いたかったのになあ。
でも、そんなことも、きっといい思い出になることだろう。
北川氏は、今年はケニー・バロン・トリオとしての新譜が出たり、ご自身のバンド「Walkin' Ahead」のツアーがあったりで、ファンとしては目が離せない。
次のチャンスもまたぜひ聴きに行きたいと思っている。
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♪梅に鶯。もうそんな時期なんですね。3~4月は年度末年度始でもあるので、感慨深かったり慌ただしかったりで、もうてんてこ舞いです。
【Live Information】
3月4日(金)
岡山セカンド・シンプソン (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
♪村上知加恵(piano)、中村哲(drums)、皆木秀樹(bass)
【料 金】1500円(飲食代別途 学生は学生証提示で500円割引)
【演 奏】20:30~、21:30~(2回ステージ)
※シットイン可
3月6日(日)
倉敷木庵 (倉敷市川西町18-23 tel 086-421-9933)
♪美淋つゆ子(piano)、皆木秀樹(bass)
【料 金】飲食代のみ
【演 奏】18:30~、19:30~ (2回ステージ)
3月18日(金)
岡山セカンド・シンプソン (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
♪赤田晃一(sax)、吉田和美(sax)、古山修(guitar)、中野まちこ(drums)、皆木秀樹(bass)
【料 金】1500円(飲食代別途 学生は学生証提示で500円割引)
【演 奏】21:00~、22:00~(2回ステージ)
※シットイン可
3月19日(土)
岡山Ark (岡山市北区番町1-14-29 キマチビルB1F tel 086-234-0130)
♪赤田晃一、皆木秀樹(bass)
【料 金】
【時 間】
3月23日(水)
倉敷アヴェニュウ (倉敷市本町11-30 tel 086-424-8043)
♪Sachiko(vocal)、古山修(guitar)、中村哲(drums)、皆木秀樹(bass)
【料 金】500円(飲食代別途)
【演 奏】20:00~、21:00~、22:00~ (3回ステージ)
3月24日(木)
倉敷アヴェニュウ (倉敷市本町11-30 tel 086-424-8043)
♪秋山文緒(piano)、船越稔(drums)、皆木秀樹(bass)
【料 金】500円(飲食代別途)
【演 奏】20:00~、21:00~、22:00~ (3回ステージ)
3月25日(金)
岡山セカンド・シンプソン (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
♪皆木秀樹(bass, piano etc) ソロ&セッション
【料 金】セッション参加者のみ1000円(飲食代別途)
【演 奏】21:00~、22:00~(2回ステージ)
]
3月27日(日)
玉野防風林 (玉野市宇野1-24-25 tel 0863-31-6255)
♪Too Bad Gentleman [三浦"Whoomin'"史雄(vocal, mouth-harp)、皆木秀樹(bass)]
♪marco ほか
【料 金】
【開 演】16:00開演
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【Live Information】
世はデジタル時代。
部屋で楽しむ音楽も、その影響の大波を受けています。
音楽を聴くのに、パソコンなしでは不便な状況さえあります。
昭和の時代に青春時代を過ごしたぼくらにとって、音楽に親しむのにレコードとカセット・テープは欠かせないアイテムでした。
ただし当時は、レコード1枚LP2500円、シングル(EP)600円~700円で、これは高校生のお小遣い事情から見るとかなり高価。ですから友達同士で貸し借りしたり、中古レコード店に足しげく通ったり。それもまた思い出のひとつです。
FMラジオからのエアチェックも欠かせない作業でした。
AMでかかる曲は途中でフェード・アウトしたり、パーソナリティのしゃべりとかぶったりするので、ノー・カットで放送してくれるFM局の音楽番組は、高校生にとって強い味方でした。
その頃は、「週刊FM」「FMファン」「FMレコパル」などという雑誌があって、情報収集におおいに助かっていたものです。
いつの間にかよく聴いていたリクエスト番組のパーソナリティのファンになって、FM好きの友達同士で「自分は○○さんがいいな~」「いや、ぼくは絶対○○さん!」なんていう他愛もない会話を交わして盛り上がったりしていましたね。
買ったり借りたりしたレコードや、FMでチェックした曲は、カセット・テープに録音します。
カセット・テープにはカセット・デッキや、ラジオと一体になっているラジオ付きカセット・テープ・レコーダーで録音します。
ちなみにカセット・テープ・レコーダーは「カセット・テレコ」、ラジオ付カセット・テレコは「ラジカセ」と呼ばれておりました。
ぼくの家にラジカセが来たのは、忘れもしない昭和48年。
テレビにひっつけるようにしてラジカセを置き、息をひそめて歌番組のお目当ての歌を録音したりするんですが、そういう時に限って親がズカズカ部屋に入ってきたり、「電話よ~!」と大声で呼ばれたり。。。
中学生の頃は、レポート用紙に曲名と演奏者名を書き、それをカセット・テープのケースに合うように切った、自分用インデックスをいちいち作っていました。
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これがどんどんエスカレートしていきます(汗)
インデックス背中部分やカセット・テープ本体には活字の謄写シールできちんとミュージシャン名などをプリントします。
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この謄写シール、どこにでもあったわけではなくて、当時岡山市中山下にあった紀伊国屋書店に必ず買いに行っていました。同じメーカーのもので統一したかったからです。これが1枚200円とかそんな値段で、きれいにレイアウトできるから重宝していました。やはり母音、とくに「A」「I」「E」と、「C」がすぐになくなるので困ったのも懐かしい記憶です。
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カセット・テープのケースに最初から入っているインデックス・カードには曲名やミュージシャン名をあらためて英語で書き写したり、そのミュージシャンの写真を雑誌から切り抜いて貼ったり。
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FM雑誌についていたインデックス・シールもありがたく活用していました。
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のちには「ダブル・カセット」が当たり前になりました。
そのラジカセには2本のカセット・テープをセットでき、そのままダビングできるのが売りだったんです。
あっという間に広まったのを覚えています。
大人になってCDを買い直したカセット・テープは、置き場所のこともあってどんどん捨てていったので、いまカセット・テープは数十本が残るのみです。
先日も20年以上ぶりにCDとして手に入れた音源があったので、テープで保存してあったものは処分しました。
でも、あらためて当時のカセット・テープをまじまじと見ていると、「よけいな物はどんどん捨てよう」と決めてはいても、寂しかったりします。
CD-Rが流通しはじめてからカセット・テープはすっかり影をひそめてしまいましたが、近年カセット・テープの存在が再評価されているようです。
なんとなく嬉しいような、そんな気持ちになりますね。
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