【Live Information】
ふと気づけば、ぼくもいままでの人生を振り返って感慨にふける年頃になりました。
人の生き死には自然なことだし、いずれは自分に順番が回ってくるものだと思っているのですが、今年は若い頃に身近に感じていた方々の訃報がいつもよりとても多いような気がしています。
ざっと書き出してみると、
1月10日 ジェフ・ベック(ギタリスト)
1月11日 高橋幸宏(「サディスティック・ミカ・バンド」「YMO」のドラマー)
1月18日 デヴィッド・クロスビー(「クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング」のヴォーカリスト)
1月24日 門田博光(プロ野球選手 南海、オリックス、ソフトバンクに在籍 通算567本塁打は日本プロ野球史上歴代3位)
1月27日 フロイド・スニード(「スリー・ドッグ・ナイト」のドラマー)
1月28日 トム・ヴァーレイン(「テレヴィジョン」のギタリスト、ヴォーカリスト)
1月29日 鮎川誠(「シーナ&ザ・ロケッツ」のギタリスト)
2月5日 貴家堂子(『サザエさん』のタラちゃん役で有名な声優)
2月8日 バート・バカラック(作曲家)
2月13日 松本零士(漫画家 作品に『宇宙戦艦ヤマト』『男おいどん』など)
2月22日 笑福亭笑瓶(落語家)。。。
「えっ!?」という声がこれだけ立て続けに出たことは、記憶にありません。
でも落ち着いて考えると、これは年々亡くなる方々の世代に自分の年齢が近づいてきているからなんですね、きっと。
同じ時代を生きた時間が長くなればなるほどそういう方々から受ける影響は大きくなり、より身近に感じるようになるのは当然のことです。だからこそ、自分が年齢を重ねるにつれ、訃報に接する時の衝撃や悲しみが大きく深くなるのだと思います。
それにしても立て続けすぎな気がします。
訃報を聞くたびに思い出す、亡くなった方の記憶、そしてその頃の自分。
思いは、かつての日々に自然に重なります。
人生を振り返るのによくなぞらえられるのは、「道」や「川の流れ」、時には「アルバム」だったりします。
サイモン&ガーファンクルの「ボクサー」の歌詞に出てくる主人公も、自分の過去を振り返っています。
「貧しい少年が、現実から逃れようとかすかな希望を持ってニューヨークへやって来るが、時を経た今は『懐かしい故郷へ帰りたい』と願っている」という歌詞です。
しかしクライマックスに差し掛かると、
「開拓地にひとり立つボクサー。自分に打撃を与えたグラブの一撃を決して忘れない。彼は怒りと恥辱の中で『俺はやめる。もうたくさんだ』と叫ぶ」と歌っています。
そして最後は、
「だが、その戦士は今もまだ戦い続ける」という言葉で締めくくられているんです。
倒れてもくじけても、何度でも立ち上がる。
まさに人生ではありませんか。
歌詞の主人公がボクサーなのではなくて、「この世で生きる人すべてがボクサーであり、戦士であり、人生と戦い続けるファイターなのだ」と歌っているのだと、ぼくは思っています。
勝ち続ける人を見ると元気が出ます。
でも、負けても負けても立ち上がる人を見ると、勇気が出てくるのではないでしょうか。
劇的な演奏を演出しているのは、ジョー・オズボーン(bass)、ハル・ブレイン(drums)ら「レッキング・クルー」と呼ばれる腕利きセッション・ミュージシャンたちです。
アコースティック・ギターのきれいなアルペジオと、ポール・サイモンとアート・ガーファンクルによる澄んだハーモニーで曲ははじまります。
爽やかで、ほのかな土の香りと温かみのあるサウンド。
清楚ですらあります。
典型的なアメリカン・フォーク・ソングのような出だしです。
しかし、歌詞と歌詞をつなぐ「ライラライ」の部分は一転してマイナー調。
辛い現実、嘆き、絶望。
主人公の、遠ざかることはできるけれど逃げることはできない、いうなれば彼の人生の「足枷」を表しているのかもしれません。
この部分の「ダーン」という、深いリバーブがかかった印象的な打楽器音は、ボクサーのグローブとグローブが激しくぶつかり合うさまを表しているのだそうです。
宗教音楽を思わせるような間奏の美しい音色は、ペダル・スティール・ギターとトランペットをミックスしたものです。
最後の、延々と続く「ライラライ」のリフレイン。
次第に厚みを増すストリングスと、地鳴りのようなバス・ハーモニカや打楽器。
荒れる夜の海のような、暗さや激しさをかき立てます。
まるで、打たれ続け、倒れゆくボクサーのようでもあります。
しかし、最後に訪れる、ひとすじの光のような、清らかなアコースティック・ギターの音色。
これが主人公の、いや、ボクサーのように倒れては立ち上がる人すべてへの救いのように思えてならないのです。
ポール・サイモンの人生観が現れたと言われている名曲です。
人生の終盤にさしかかりつつあるぼくも、まだまだ力尽きて倒れるわけにはいきません。
何度でも立ち上がってやる、という気持ちは持ち続けていたいです。
<歌 詞>
<訳 詞>
◆ボクサー/The Boxer
■シングル・リリース
1969年3月21日
■歌・演奏
サイモン&ガーファンクル/Simon & Garfunkel
■作詞・作曲
ポール・サイモン/Paul Simon
■プロデュース
ロイ・ハリー、ポール・サイモン、アート・ガーファンクル/Roy Halee, Paul Simon, Art Garfunkel
■録音メンバー
ポール・サイモン/Paul Simon(vocals, acoustic-guitar)
アート・ガーファンクル/Art Garfunkel(vocals)
-------------------------------------------------------------------
フレッド・カーター・ジュニア/Fred Carter Jr.(electric-guitar, acoustic-guitar, dobro)
カーリー・チョーカー/Curly Chalker(pedal-steel-guitar, piccolo-trumpet)
チャーリー・マッコイ/Charlie McCoy(bass-harmonica)
ジョー・オズボーン/Joe Osborn(bass)
ハル・ブレイン/Hal Blaine(drums)
■収録アルバム
明日に架ける橋(1969年)/Bridge over Troubled Water
■チャート最高位
1969年週間シングル・チャート アメリカ(ビルボード)7位 イギリス6位 オランダ2位 スウェーデン5位 オーストラリア8位 オーストリア9位 ニュージーランド9位
【Live Information】
※お越しの際はマスクをご持参ください。
また、状況によっては中止にせざるを得ないこともありますので、お店にご確認ください。
諸々よろしくお願いします。
3月4日(土)
岡山 パラディ
岡山市北区幸町3-10 友沢ビル4F (tel 086-801-3492)
【出 演】 細川由佳(sax)、古山修(guitar)、皆木秀樹(bass)、本田暁之(drums)、Higemen(percussion)
【料 金】 飲食代+ミュージックチャージ(男性1000円、女性500円)
【演 奏】 21:00~ (3回ステージ)
3月5日(日) ※延期になりました
岡山 JORDAN
JORDAN JAZZ講座「皆木と笹倉が、ジャズの素敵な曲を裏話ごとお届けいたします」
岡山市北区表町2-5-23 ニュー表町プラザ2F (tel 086-237-2012)
【出 演】 皆木秀樹(bass, 講師)、笹倉明子(piano)
【料 金】 2000円(1ドリンク付)
【時 間】 開場17:30、開演18:00
3月11日(土)
岡山 パラディ
岡山市北区幸町3-10 友沢ビル4F (tel 086-801-3492)
【出 演】 細川由佳(sax)、皆木秀樹(piano)、さとうももこ(bass)本田暁之(drums)、Higemen(percussion)
【料 金】 飲食代+ミュージックチャージ(男性1000円、女性500円)
【演 奏】 21:00~ (3回ステージ)
3月13日(月)
岡山 ピアノ・バー
岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
【出 演】 西真理子(piano)、皆木秀樹(bass)、池田拓史(drums)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 21:00~、22:00~ (2回ステージ)
3月25日(土)
岡山 パラディ
岡山市北区幸町3-10 友沢ビル4F (tel 086-801-3492)
【出 演】 西真理子(piano)、皆木秀樹(bass)、本田暁之(drums)
【料 金】 飲食代+ミュージックチャージ(男性1000円、女性500円)
【演 奏】 21:00~ (3回ステージ)
3月26日(日)
加古川 喫茶いるか
加古川市平岡町山之上149-8 (tel 0794-23-7917)
【出 演】 石田"きゃさりん"和美(vocal, accordion)、貴村昌司(guitar, vocal)、大橋恭(guitar)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 チップ制チャージ、飲食代別途(要オーダー)
【演 奏】 15:00~ (2回ステージ)
※岡山 GROOVYはしばらくお店がお休みとなります。
【Live Information】
実力があっても個性がはっきり出ていないと命名してもらえないのがアスリートのニックネームです。
メジャー・リーグだと「アイアン・ホース(ルー・ゲーリッグ)」「サイクロン(サイ・ヤング)」「ザ・マン(スタン・ミュージアル)」「ビッグ・ユニット(ランディ・ジョンソン)」、プロレスだと「燃える闘魂(アントニオ猪木)」「破壊王(橋本真也)」「不沈艦(スタン・ハンセン)」「インドの狂虎(タイガー・ジェット・シン)」。
ニックネームだけを見ていくだけでもワクワクゾクゾクしますが、ミュージシャンが奉られたニックネームはどんな感じでしょうか。
カウント Count カウント・ベイシー(バンドリーダー、ピアノ)
カウント・ベイシーの本名は、ウィリアム・ジェームス・ベイシーです。スウィング・ジャズ全盛期に一世を風靡したビッグ・バンド「カウント・ベイシー・オーケストラ」を率いていました。
カウントとは「伯爵」のことです。
カンザスシティのラジオ局のアナウンサーが「カウント・ベイシー」と呼んだことが発端であると言われていますが、ベイシー自身が付けたニックネームだという説もあるようです。
サッチモ Satchmo ルイ・アームストロング(トランペット、ヴォーカル)
アメリカの国民的ジャズ・ミュージシャン、ルイ・アームストロングは「サッチモ」と呼ばれていました。
大きな口が特徴だったことから「サッチェル・マウス(Satchel Mouth)」つまり小型カバン口(=小型カバンを開けた時くらいの大きな口)と呼ばれていました。これが縮まって「サッチモ(あるいはサッチマ Satchmo)」になりました。
サッチモはほかにも「ディッパー・マウス(Dipper Mouth=柄杓のような口)」、「ポップス(Pops)」などと呼ばれ、親しまれていました。
ジャコ Jaco ジャコ・パストリアス(ベース)
エレクトリック・ベースのイノヴェーター、ジャコ・パストリアスことジョン・フランシス・アンソニー・パストリアスⅢ世。
彼の幼い頃のニックネームは「ジョッコ(Jocko)」だったそうです。これは、1930年代から1950年代にかけてメジャー・リーグで審判員を務め、1974年には野球殿堂入りを果たしたジョッコ・コンランから取ったものです。ちなみに、「ジョッコ」とはチンパンジーのことです。
ジャコが最初の妻トレイシーと結婚したのち数年間暮らしていた自宅アパートの隣に、ピアニストのアレックス・ダーキィ(ジャコの大傑作アルバム『ジャコ・パストリアスの肖像』に収められている『コンティニュウム』でエレクトリック・ピアノを弾いている)が住んでいました。アレックスとジャコは毎日のように一緒に練習していましたが、ある日アレックスはジャコのニックネーム「Jocko」を誤って「Jaco」と綴ってしまいます。ところがジャコ本人はそれをとても気に入ってしまい、それからは自ら「Jaco」と名乗るようになりました。
スカイドッグ Skydog デュアン・オールマン(ギター)
弟のグレッグ・オールマンらとともに結成したオールマン・ブラザーズのリーダーとして、またギタリストとしてバンドを牽引したのがデュアン・オールマンです。
彼はオールマン・ブラザーズ結成以前にはスタジオ・ミュージシャンとしても活躍しており、数多くのレコーディング・セッションに参加、そのギターの評判は次第に高くなってゆきます。1970年には、エリック・クラプトン率いるデレク&ドミノスの傑作アルバム『レイラ』にゲストとして招かれ、さらにはクラプトンから「自分のバンドに入らないか」と誘われたほどでした。
デュアンは、1969年にウィルソン・ピケットのアルバム『ヘイ・ジュード』のレコーディングに参加しました。ウィルソン・ピケットは、この時のデュアンのプレイに驚愕し、敬意を込めて「スカイマン(Skyman)」と呼びました。デュアンはもともとその外見から「ドッグ(dog)」と呼ばれていたので、このふたつがミックスされて「スカイドッグ」というニックネームになったというわけです。
スロウ・ハンド Slow Hand エリック・クラプトン(ギター)
クリームに在籍していた1967年、まだわずか22歳だったにもかかわらず、ロンドンで「Clapton is God(クラプトンは神だ)」と落書きされていたほどのギターの名手、エリック・クラプトン。
彼は「スロウ・ハンド」というニックネームで有名ですが、その由来は「速弾きがあまりにも凄すぎたため、逆に手の動きがゆっくりに見えたから」という説が広く知られています。
あるいは、チョーキング(左手の指先で弦を押し上げ、ピッチを変える奏法)のテクニックが当時はまだ一般には知られていなかったため、指が動いていない、つまり指先の動きがゆっくりなのに音程が変わるのを見て驚いた聴衆が名付けた、という説もあるようですが、本当の由来はヤードバーズ時代に遡ります。
クラプトンはステージで弦を切ることが日常茶飯事で、そのため弦を張り替えることがしょっちゅうでした。普通はローディーが予備のギターを渡すのですが、クラプトンはステージ上で慌てずゆうゆうとチューニングをしていたんですね。その間聴衆は手拍子しながら待っていたのですが、そのテンポがゆっくりだったところから、当時のヤードバーズのマネージャー、ジョルジオ・ゴメルスキーが「スロウ・ハンド(Slow Hand)」と名付けた、ということです。
ディジー Dizzy ディジー・ガレスピー(トランペット)
本名はジョン・バークス・ガレスピー。
モダン・ジャズの原型となるスタイル「ビバップ」を築き、発展させたジャズ界の功労者のひとり。
ディジー(Dizzy)とは「くらくらする」という意味です。
血の気も多かったが、茶目っ気も旺盛で、ステージでコメディアンのように振る舞い、ジョークを飛ばして聴衆をおおいに笑わせたところからこのニックネームが付いたと言われています。
彼のトランペットは非常に素晴らしいテクニックだったため、「目のくらむようなテクニックの持ち主」という意味で「ディジー」と呼ばれるようになった、という説もあります。
余談ですが、1930年代のメジャー・リーグで、セントルイス・カージナルスのエースだったディジー・ディーンも、「目が眩むような速球を投げる」ところから「ディジー」と呼ばれていました。
デューク Duke デューク・エリントン(バンドリーダー、ピアノ)
カウント・ベイシーと人気を二分した「デューク・エリントン・オーケストラ」のバンドリーダー。本名はエドワード・ケネディ・エリントン。
「デューク」とは公爵のこと。
エリントンの父は、白人の有名医師ミドルトン・カスバートの執事を務めていました。仕出し業も営んでおり、時々ホワイトハウスへも出入りしていたそうです。このためエリントンも子供の頃から自然に優雅な所作を身につけており、身だしなみもきちんとしていたところから、友人たちから「デューク」と呼ばれるようになったということです。
バード Bird チャーリー・バーカー(アルト・サックス)
「バード」は、チャーリー・パーカーの伝記映画のタイトルにもなっているほど有名な彼のニックネームです。
このニックネームが付けられた時期は、パーカーがジェイ・マクシャン楽団に在籍していた1928年から1942年までの間です。
しかしその由来は諸説あって、今でもはっきりしたことは分かっていないようです。
1.羽ばたく鳥のように自由で華麗な演奏だったから。
2.ある新聞記事によると、名前の「チャーリー」が「ヤーリー」に、次いで「ヤール」になり、それが転じて「ヤードバード」となったのち、「バード」になったということです。
3.パーカーは、レストランで食事をする時に決まって注文していたのがチキン料理で、「このヤードバードをもらおうか」とウェイターに注文していから。
4.生活に追われていたパーカーがいっとき働いていたレストランではチキンを食べることができたので、いつもお腹いっぱい食べていたから。
それにしてもパーカーがたいへんなチキン好きだということが分かります。
ちなみに「ヤードバード」は囲った庭で飼われている鳥、すなわちニワトリのことです。
このパーカーの愛称を店の名前にしたのが、ニューヨークの有名なジャズ・クラブ「バードランド」ですね。
パール Pearl ジャニス・ジョプリン(ヴォーカル)
「パール(Pearl=真珠)』はジャニスがたいへん好んだニックネームです。ジャニスは人からこう呼ばれることをとても喜んだと言います。ではなぜ「パール」なのか、というのは不明ですが、「Pearl」には「(真珠のように)貴重な人物、逸品」という意味もあり、もしかすると高校時代はクラス内で疎外され孤独だったジャニスの気持ちがこもっているのかもしれません。
ブーツィー・コリンズ Bootsy ブーツィー・コリンズ(ベース)
ファンク・ミュージックにおける代表的なベーシスト、ブーツィー・コリンズ。
彼の本名は、ウィリアム・コリンズです。
ブーツィー・コリンズの写真を見ると、とにかくファッションがド派手。ブーツも派手。(ファンク・ミュージシャンにはありがちなのですが、ついでに言うとメガネも所有するベースも、とにかく派手)そこから「ブーツィー」と呼ばれるようになった、、、のかなあ~と勝手に想像していたんですが、これがまったく違ったんですね。
ブーツィーとは、黒人の漫画家オリー・ハリントンが1930年代半ばに描いたヒトコマ漫画の主人公の名です。この名を母親がウィリアム少年にニックネームとして付けたんだそうです。
フリー Flea フリー(ベース)
世界的ロック・バンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のベーシスト、フリー。本名はマイケル・ピーター・バルザリーです。
ぼくも長いこと勘違いしていましたが、綴りは「Free」ではなくて、「Flea」。
つまり「蚤」のことなんですね。
身長168cmの小柄な体をいっぱいに使い、ステージを所狭しと飛び跳ねるその激しいアクションからこのニックネームが付けられました。
ザ・ボス The Boss ブルース・スプリングスティーン(ヴォーカル、ギター)
若かりし頃のブルースはバンドのギャラ分配係だったことから「ボス」と呼ばれるようになった、という説があります。冠詞の「The」が付いているので、「ボスの中のボス」といったニュアンスがあるのでしょうね。
そのブルースも今では「ロック界のボス」と呼ばれるまでになり、多くのミュージシャンから尊敬され、慕われています。
ポンタ Ponta 村上秀一(ドラム)
生涯にレコーディングした曲は14,000曲以上と言われる名ドラマー、村上秀一。おそらく日本の音楽界で彼を知らない者はいないのではないでしょうか。
彼は、生まれてから4歳半になるまで実母の親友に預けられていたそうです。いわゆる育ての母だったその女性は、「ポンタ姐さん」と呼ばれていた京都祇園の芸妓さんでした。
村上氏が実家に戻ることになった時、ポンタ姐さんは「せめて名前は持って行って」と言って実家へ送り出したそうです。「ポンタ」の名前とともに実家に戻った村上氏は、そう呼んでくれと誰かに頼んだわけでもないのに、以後生涯を通じて「ポンタ」の愛称で呼ばれ、親しまれました。
メタル・ゴッド Metal God ロブ・ハルフォード(ヴォーカル)
1969年のデビュー以来、ハード・ロック~ヘヴィ・メタル・ロックの王道をひた走るジューダス・プリースト。
そのリード・ヴォーカリストであるロブ・ハルフォードは、5オクターヴとも言われる驚異的な声域を持ち、そのシャウトはヘヴィ・メタル・サウンドの象徴ともいえるものであるところから「メタル・ゴッド」と呼ばれるようになりました。
また、ジューダス・プリーストというバンドそのものがメタル・ゴッドと呼ばれることも多いようです。
リンゴ Ringo リンゴ・スター(ドラム)
いわずと知れたビートルズのドラマー。
本名はリチャード・スターキー。
「リンゴ・スター」は芸名で、ロリー・ストーム&ハリケーンズに在籍していた頃、メンバーそれぞれが芸名を考えた時にスターキー本人が考えたものです。
指輪が好きだったスターキーは、いつも両手に何個も指輪を付けていたので「リングズ(Rings)」と呼ばれていました。また彼はジョン・ウェインが演じた西部劇映画『駅馬車』の主人公リンゴ・キッドに憧れていたので、このふたつをかけ合わせて「リンゴ」と命名しました。
当初「リンゴ・スターキー(Ringo Starkey)」という芸名にするつもりだったけれど、しっくりこなかったので「Starkey」の前半分に「r」をもうひとつ足して「リンゴ・スター(Ringo Starr)」にした、とのちにリンゴ本人が語っています。
レディ・デイ Lady Day ビリー・ホリデイ(ヴォーカル)
ジャズ史に燦然と輝き続けるであろうヴォーカリスト、ビリー・ホリデイ。
本名エリノラ・ホリデイ。
父のクラレンスは、お転婆だったエリノラのことを男の子を呼ぶように「ビル」と呼んでいました。その「ビル」の愛称が「ビリー」です。
のち人気ヴォーカリストになったビリーと、当時のニューヨークで最も人気のあったサックス奏者レスター・ヤングは、強い信頼関係で結ばれていました。ふたりはとても仲がよく、レスターはビリーのことを「レディ・デイ」と呼び、ビリーはレスターのことを「サックスの大統領」という意味を込めて「プレジデント」「プレス」などと呼んでいました。