ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ダンケルク

2017年09月28日 | 映画
【Live Information】 
 

 第二次世界大戦初期に敢行された「ダイナモ作戦」。
 「史上最大の救出作戦」とも言われているこの作戦によって、ダンケルク海岸に追い詰められたイギリス軍は大規模な撤退を成功させました。一般に、「ダンケルク奇跡の撤退」として有名なできごとです。
 この撤退劇を描いたのが「ダンケルク」です。
 題材がドラマティックなうえに、映画自体の前評判も高く、テレビでバンバン流れるスポットにも刺激されて、公開間もない9月18日に観に行きました。


 


  -    *    -    *    -    *    -    *    -


【ダンケルク奇跡の撤退】
 ダンケルクの戦いは、1940年5月10日に始まりました。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスからなる連合軍は敗走し、ドイツ軍によってフランス北部のダンケルク海岸に追い詰められました。
 包囲された40万人の将兵をイギリスに脱出させるために立案されたのが「ダイナモ作戦」です。
 作戦は1940年5月26日から6月4日にかけて行われました。
 艦船の不足は絶望的でしたが、輸送船や駆逐艦などの軍艦のほか、民間の漁船やヨットまで含む作戦従事可能なあらゆる船が動員されてダンケルク海岸へ救出に向かい、約36万人が撤退に成功しました。
 これが「ダンケルク奇跡の撤退」です。


  -    *    -    *    -    *    -    *    -


 


 説明的なセリフや字幕が全くと言っていいほどないのがこの作品の特徴のひとつです。
 だから、「ダンケルク奇跡の撤退」の史実を知らない人にとっては、ストーリーがわかりにくいかもしれません。
 さらに言うと、説明的どころか、登場人物のセリフ自体が少なく感じられるのですが、それが却ってダンケルクの緊迫感、つまり背後から迫りくるドイツ軍の脅威だとか、生きて故郷に帰れるかどうかの不安などを感じ取れる効果をあげていると思いました。

 
  


 冒頭からドイツ軍の猛射によって逃げる英兵がバタバタ倒れるシーンがありますが、血が流れるところは見えませんでした。その場面を初めとして、全編にわたって生々しい血はあまり目につきません。今の撮影技術では、流血や負傷の様子を非常にリアルに見せることは容易なはずですが、この映画では(全くないわけではないけれど)流血の様子を見ることはあまりありませんでした。すこし不思議に思いましたが、これは映画を作るにあたっての、なんらかのポリシーの現れかもしれないと思っています。


 


 浜辺で救出を待つトミー二等兵、自分の持つ小型船でダンケルクを目指すドーソン親子、友軍支援のため空でドイツ空軍と対峙するファリアとコリンズ。
 映画は、「地上」「海上」「空」の三つの視点での出来事を描きながら、最後にはそれぞれの登場人物がダンケルクという一点で繋がり、それぞれの撤退劇を完了させます。ある者は無事帰国し、ある者は捕虜になり、ある者は救助され、ある者は救助する。
 華々しいセリフ、教訓めいたセリフはありません。ただそれぞれの「いかに生き延びるか」という10日間を追っているだけです。逆にそれが作品をよりリアルなものに感じさせます。


 
 

 派手な銃撃戦のシーンはありません。女性の登場人物も、英雄的な活躍をする兵士も出てこないし、勇ましいBGMもありません。
 ただほの暗い色の場面が続きます。
 それが、硬派なイメージを醸し出しているように思いました。
 その対比として、晴天下の空中や海上のシーンがとてもまぶしく目に映ります。

 
 


 戦争映画は当然ながら史実を元にしたものが多いのですが、この作品はその意味では少し毛色が違います。
 ダンケルクの戦いから撤退までの流れ、または撤退の始まりから終わりまでを描いているわけではありません。この作戦が欧州戦線に及ぼした影響だとか、戦術的な意味などにもとくに触れられていません。

 撤退作戦に係った人物、それも一兵士や民間人(映画の中の登場人物は架空のキャラクターだそうですが)の、「彼らのダンケルク」を追っているだけです。
 それがどことなくひんやりとした雰囲気や、乾いたリアリズムなどを生み出しているように思います。


 


 個人的には、自分の船でダンケルクに向かう、マーク・ライランス演じるミスター・ドーソンの勇敢さ、男気、渋さ、存在感の大きさに魅かれました。


 




ダンケルク(Dunkirk)

 2017年イギリス、オランダ、フランス、アメリカ合作(配給:ワーナー・ブラザーズ映画)

 ◆監 督 クリストファー・ノーラン
 ◆音 楽 ハンス・ジマー
 ◆出 演
   トミー[英国陸軍二等兵] (フィン・ホワイトヘッド) 
   ピーター[ミスター・ドーソンの息子] (トム・グリン=カーニー)
   コリンズ[英国戦闘機のパイロット] (ジャック・ロウデン)
   アレックス[英国陸軍「高地連隊」二等兵] (ハリー・スタイルズ)
   ギブソン[トミーと行動を共にする無口な兵士] (アナイリン・バーナード)
   ウィナント陸軍大佐[ボルトンと共に作戦を見守る陸軍将校] (ジェームズ・ダーシー)
   ジョージ[ドーソン親子に同行する青年] (バリー・コーガン)
   ボルトン海軍中佐[防波堤で撤退作戦の指揮を執る海軍将校] (ケネス・ブラナー)
   謎の英国兵[ミスター・ドーソンに救出された英国兵] (キリアン・マーフィー)
   ミスター・ドーソン[小型船の船長でピーターの父] (マーク・ライランス)
   ファリア[英国戦闘機のパイロット] (トム・ハーディ)
   隊長の声[英国戦闘機のパイロットでファリアとコリンズの隊の指揮官] (マイケル・ケイン=クレジットなし)


 

  



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2017年10月のライブ予定

2017年09月26日 | 演奏スケジュール
                    ♫今年は誕生日がライブの日と重なりました。ありそうだけどなかなかないことなんです。共演者とお店からお祝いしてもらいました。


【Live Information】 
 
 
  

 10月6日(金) 
  岡山ピアノバー
 (岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F tel 086-222-8162)
  ♪美淋つゆ子(piano)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】800円(飲食代別途)
  【演 奏】21:00~、22:00~ (2回ステージ)
   ※シットイン可


 10月8日(日)
  倉敷木庵
 (倉敷市川西町18-23 tel 086-421-9933)
  ♪美淋つゆ子(piano)、皆木秀樹(bass) 
  【料 金】飲食代のみ
  【演 奏】18:30~ (2回ステージ)


 10月10日(火)
  岡山MO:GLA
 (岡山市北区中央町3-17 橋本興産ビルB1F tel 086-235-3277)
  ♪tri orient
   O.A.
   ♪カメさんブルースバンド [Albert Kamezo(guitar, vocal)、田邉彰(guitar)、吉原理子(sax)、皆木秀樹(bass)、頼快(drums)]
   ♪ししおどし 
  【料 金】前売3000円、当日3500円
  【時 間】開場18:30 開演19:00


 10月12日(木) 
  岡山ピアノバー
 (岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F tel 086-222-8162)
  ♪真嶋美穂(piano)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】800円(飲食代別途)
  【演 奏】21:00~、22:00~ (2回ステージ)
   ※シットイン可


 10月14日(土)
  岡山ジャズデイズ2017 
  岡山喫茶壱番館
 (岡山市北区表町3-9-22 tel 086-233-1560)
  ♪美淋つゆ子(piano)、龍野豊子(drums)、皆木秀樹(bass) 
  【料 金】1000円(2日間共通チケット)
  【演 奏】17:00~18:00


 
 10月15日(日)
  岡山ジャズデイズ2017 
  岡山喫茶壱番館
 (岡山市北区表町3-9-22 tel 086-233-1560)
  ♪高屋ひとみ(voval)、西真理子(piano)、皆木秀樹(bass) 
  【料 金】1000円(2日間共通チケット) 
  【演 奏】15:00~16:00


 10月25日(水) 
  倉敷アヴェニュウ
 (倉敷市本町11-30 tel 086-424-8043) 
  ♪古山修(guitar)、中村哲(drums)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】1000円(飲食代別途)
  【演 奏】20:00~、21:00~、22:00~ (3回ステージ)
   ※シットイン可

 
 10月28日(土)①
  岡山MO:GLA
 (岡山市北区中央町3-17 橋本興産ビルB1F tel 086-235-3277)
  「BORN IN 1957」
  ♪クロセ60スペシャル
  ♪三本ノック
  ♪HOJO BAND
  ♪りんさん
  【料 金】前売1000円、当日1500円(いずれも要別途飲食代)
  【時 間】開場19:00 開演19:30


 10月28日(土)②
  岡山GROOVY
 (岡山市北区田町2-5-23 tel 086-221-7721)
  ♪山本ヒロユキ(piano)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】3000円(飲食代別途)
  【演 奏】20:00~ (2回ステージ)
   ※シットイン可


 10月28日(土)③ 
  岡山ブルーブルース
 (岡山市北区表町3-12-12 千日センター街ビル2F tel 086-227-5000)
  ♪TKD(from 松山)
  ♪Blues Walker [Albert Kamezo(guitar, vocal)、田邉彰(guitar)、皆木秀樹(bass)、頼快(drums)、Skull岩本(vocal)]
  【料 金】1000円+別途飲食代
  【時 間】19:00開場








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高橋知己&志水愛Duo @岡山JORDAN

2017年09月25日 | ライブ
【Live Information】 
  
 
 あっという間の2時間でした。
 楽しい時ほど、とても早く過ぎ去ってしまいます。


 

    
 高橋知己(たかはし・ともき)さんは、エルヴィン・ジョーンズ(drums)のバンドに参加していたこともある、日本ジャズ界有数のテナー・サックス奏者です。
 ジョン・コルトレーンから多大な影響を受けたということでも知られている高橋さんですが、奇しくも昨日9月23日はコルトレーンの誕生日。その昨夜は、「コルトレーン・ナイト」と銘打った京都RAGでのライブに出演したんだそうです。そしてこの9月24日は、コルトレーンの写真(ピアノ真上のD. ジョーダンの写真の、向って左にかけてある)に見守られながらのライブです。
 曲によって音色をコントロールしながらの、いぶし銀の演奏のなんて沁みること。
 ぼくはコルトレーンの「バラード」というアルバムが好きなのですが、とくに「Gypsy」を吹く高橋さんの、まるでコルトレーンかと思わせられるようなトーンは圧巻でした。一瞬、「バラード」を聴いているかのような錯覚に陥ったほどです。
 
 
 


   


 ピアノの志水愛(しみず・まなみ)さんは、現在赤丸急上昇中の関西のホープ。
 彼女のピアノは6月に芦屋で聴いて以来。相変わらずのキュートで楽しいキャラクターはとても魅力的でした。
 しかしいったんピアノに向かうや、その音はなんとも玄人好みというか、ジャズの香り満載です。
 小気味よいスイング感。
 サックスをより際立たせるような表情豊かなピアノ。
 これぞジャズにおける即興性の面白さを発揮した「コラボレーション」です。
 若さにまかせて勢いだけで弾きすぎるところがないのも良かったです。
 若い女性とは相反するような「渋味」を持ち合わせているように思いました。


 
 
 
 セカンド・セットでは、高橋さんに呼びこまれて地元のトランペッター新宅巧治郎くんも参加。
 アンコールのあと、最後は「恒例の集合写真を撮る古川マスターを撮」り、自分でもよくわからん満足感wを味わいました。


 


 
 

 「これぞジャズ」な、濃厚な演奏をたっぷり味わえた夜でした。とても満足しています。
 ベテランならではの温かみとゆとりの感じられる高橋さんと、引き出しが多くて歌心たっぷりの志水さんのデュオ、これこそが1+1が3にも4にもなるという見本だったと思います。
 お互いが相手の音を体の奥まで取り込んでしっかり感じようとしているような、そんな印象も受けました。
 とくにピアノからすると、サックスという単音楽器との共演という立ち位置もあると思うのですが、できるだけのことをしてサックスをもっと後押ししたい、もっと吹きたいように吹いてほしい、とでもいうような意識が感じられたような気がしました。
 「ふたりで音楽を創りあげている」という、このようなウォームな感覚は大好きです。


 


 しかしいい音を聴くと練習したくなるな。 


  






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2017年9月9日、姫路。

2017年09月10日 | 写真
【Live Information】 
 
 
 姫路へは毎月一度行っています。
 コントラバスのレッスンを受けるためです。
 レッスンは師匠のお宅で受けています。姫路城の近くです。
 家からは約80kmの道のりなので、いつも早めに出かけ、レッスンの時刻まで姫路城界隈を散歩するのが習慣になっています。
 城郭のまわりには動物園のほか、シロトピア記念公園、市立美術館、県立歴史博物館、野外ステージなどがあります。
 文庫本とiPODがあればゆったり一日を過ごせそうな、静かなところです。


 9日の土曜も13時からレッスンでした。
 11時過ぎには着いたので、いつものようにのんびりと姫路城周辺を歩きます。



 【姫路城】


姫路城はいつものようにキリッとした別嬪さん。いっそ「姫路嬢」と呼びたい。



家族でお弁当を広げる。いいですね~



お堀。


動物園から見た姫路城。





 ―  ☆  -  ☆  ―  ☆  -  ☆  ―  ☆  -  ☆  ―  ☆  -  ☆  -


 レッスンの時、師匠に「絶対好きやと思っとったんや」と「小赤壁公園」を教えてもらいました。
 姫路城から南南東へ約7km。
 レッスン後、さっそく寄り道です。


 【木庭ヨットハーバー】











 【木庭山古墳】


6世紀頃作られたもの。明治30年に発掘されました。
古墳の入り口が雑草で覆われているのが寂寥感をいっそう漂わせています。



 【小赤壁公園】


画面左方、水平線の上に見えるのは淡路島。
木庭山南斜面の絶壁は、「三国志」で有名な赤壁の景観に似ているところから「小赤壁」と名付けられました。



すっかり秋の雲。



小高いところではおにぎりを食べずにはいられません。



木庭神社。1615年に木庭の開発に携わった三木久右衛門宋栄によって創建。風雨によって大破したため、木場村の医師三木寸斗によって
再建されたといいます。電線が無粋です。



夕日にうっすら染まった船。



もっと赤い夕陽を撮りたかったんですが、西の空に雲がかかっていたのであきらめて出発しました。
でも帰り道で見た夕焼けは燃えるよう。美しかったです。もう20分粘っていれば、、、残念でした。


  
  

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ステージ用衣装

2017年09月04日 | Weblog~雑記
【Live Information】 
 
 
 ぼくは、ステージ用の服を買う時に、

 「それを昼間に着て買い物に行った時に奇異の目で見られるくらい派手かどうか」

 を目安にしております。

 ステージではそれくらいでちょうどいいからです。

 演奏がある日は、現場で着替えるのも面倒だし、着替える場所もないことがあるので、

 その奇異に見られるくらいのシャツを着て、時間までウロウロ散歩したりするのです。

 


 もちろん好きで着ているので全然平気なんですが、な・ん・で・す・が、、、


 


 土曜日の夕方、岡山駅まで他県からの共演者をお迎えに行ったんですね。

 よく使うプロフ写真に写っている、紫+レンガ色+黄のシャツを着て。

 車を置いて、駅地下を通って歩いて行ったんです。

 はじめて「こんな人ごみの中でこんなデーハーなシャツ着てたらなんか恥ずかしーじゃねーかよー」と思ってしまいました。

 あれだけ平気だったのに(むしろ威張っていた)のに、恥ずかしい、とは。。。

 ついにヤキが回ったか・・・
  
 
 

 


 きょうは地味~な恰好で古本屋さんに行って何冊か本を買ってきました。

 その中の一冊、エコール・ド・パリ(パリ派)の画集がとても気に入っています。

 夜ふけにジャズを聴きながら画集を見る・・・、秋の夜っていうだけでお洒落やわ~ 

 風呂上りにトランクス一丁やけど、それでもお洒落やと思うわw 

 これでワインでもあればカンペキなお洒落やわ。ぼくはお酒飲まんけど。

 まさに「芸術の秋」って感じを味わってます。 

 
 


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やっと来てくれたか、、、秋。

2017年09月02日 | Weblog~雑記
【Live Information】 
 

 窓から入ってくる風、

 早めのコスモス、

 ここ最近の夕空、

 鰯雲、
 
 エアコンのいらない日々・・・。

 やっと来てくれたか、、、秋。(´▽`)


 
 これで愛するシッポのあるムスコといっしょに、山とか海辺とか、遠出ができる
 
 ひとまず今日は自分の部屋から見える青空を眺めつつヨー・ヨー・マを聴きながら、、、というと優雅なようですが、

 優雅にそして地味にたまった用事に取り組んでいます。

 とりあえず洗濯物を干すのは地味に楽しゅうございました。(´ー`)
 

 

 
 今夜は岡山GROOVYにて、高松のボーカリスト三木智子さんとのデュオです。
 
 選曲からしてとても個性的、ハートフルな雰囲気を醸し出す智子さんのステージで週末の夜を穏やかにお過ごしくださいませ(^^)
 

 

  
9月2日(土)
 
♫三木智子(vocal from高松) & 皆木秀樹(bass) Duo
 
 ◆岡山GROOVY
   岡山市北区田町2-5-23 
   086-221-7721
 ◆チャージ3000円+飲食代別途
 ◆20:00スタート(2回ステージ)
 
  

 



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