【Live Information】
これは実話です。
先日のこと。
「おつかれさまでした~」
とリハーサル場所をあとにしたのは、もう22時をまわった頃だったでしょうか。
楽器(その夜はエレキベースを使っていました)のケースを肩にかけ、アンプを持ち、ぼくは少し離れた駐車場まで歩きはじめました。
時折り車が通り過ぎるくらいで、ぼくのほかに人通りはありませんでした。
「は~疲れた。。。お腹へったな~」
そんなことを思いながら、暗がりの中を歩いているときです。
「コツ、コツ、コツ」
ハイヒール(?)の音が聞こえるのに気づいたのです。
こんな遅くに、仕事帰りのOLさんでしょうか。
ぼくと同じ歩調で「コツ、コツ、コツ」とヒールの音をさせている。
なんとなく薄気味わるいので、ぼくは歩調を早めました。
すると、ハイヒールの足音も、ぼくと歩調を合わせるように早まったんですね。
思い切って立ち止まり、恐る恐る足音のする方を見てみました。
誰もいない。
そんなはずはない。
確かに足音はついて来ていた。
そう思ったとたん、背筋になにか冷たいものが走りました。
急ごう。
もっと早足で歩く。
しかし、なんと、ハイヒールの音も同じ歩調で聞こえるんです!
耳元で!!
・・・耳元で?
さっきからずっと耳元で聞こえている?
おもむろに肩にかけていたエレキベースのケースを下ろしてみる。するとそこには、、、
ストラップかなにかを通すための穴があいたプレートがちょうど耳元にあって、それが歩くたんびに揺れて
「コツコツコツコツ」
と音を出していたのです!キャーーー
これは実話です。
もちろんすこし話を盛っていますwww
【Live Information】
半世紀以上になるロック・ミュージックの歴史の中で最もアツくて面白くて目を離せなかった1960年代半ばから1970年代後半。
その理由は、ロックは若者を中心としたファン層を熱狂させるだけではなく、さまざまな音楽的要素と結びついて次々に独創的な音楽が生まれていたことにあります。
ロックが成熟する過程において、後世に残る大ヒット曲や驚異的な売り上げ記録こそ持っていないものの、繰り返されるロック・バンドの消滅・分離・融合の流れの中でその存在の重要性がのちに認知されるようになったバンドがあります。
それが、トラフィックやフリー、そしてスプーキー・トゥースだったりするんですね。
「スプーキー・トゥー」は、スプーキー・トゥースの、文字どおりセカンド・アルバムです。
決して華々しく売れたわけではありませんが、「珠玉の」とでも形容したくなるような、なんとも味わいのあるアルバムです。
目立たないけれどずしりとした存在感がある佳作ではないでしょうか。
ぼくがロックに夢中になった高校時代、東芝EMIから「ロック・グレイテスト1500」という再発売シリーズがありました。
2500円だった新品のLPレコードが1500円で買えるんです。
カタログを見ると、まだあまりロックに詳しくないぼくにとっては未知のバンドばかり。
いいのやら良くないのやらさっぱり見当もつかないのですが、カタログに書いてある短い紹介文を読むとどれも「名作」のように思える。でも乏しい財布の中身をイチかバチかで知らないミュージシャンのレコードに対して遣うのには勇気がいるし。
というわけで、結局は中古レコード店で買うことになったのですが、まさに心理学で言うところの「葛藤」を味わったわけですね。
スプーキー・トゥースの特徴といえば、やはり当時のブリティッシュ・ロックらしい、ブルースに影響を受けた重厚なサウンドでしょう。
レコードに針が下りるとまず聴こえてくるのは、タイトで重みのあるドラムス。そのドラムスのフィル・インのあとに「満を持して」という感じで入ってくるオルガンのリフ。オルガンにはエフェクターをかけているのでしょう、ヘヴィーな音色にゾクゾクします。曲名は①「ウェイティン・フォー・ザ・ウィンド」。のちのハード・ロックへつながる曲のひとつとも言えますね。
「ハード・ロックの源流のひとつ」といえば、④「イーヴィル・ウーマン」、⑤「ロスト・イン・マイ・ドリーム」、⑦「ベター・バイ・ユー、ベター・ザン・ミー」などがまさにそれに当たります。
重いドラムスとオルガンが醸し出すどこか不穏なイントロ、次いで始まるギターのリフ、ワイルドなボーカル、ボルテージの上がるエンディング、などが「イーヴィル・ウーマン」の特徴です。
体にズシンときます。文句なしのハード・ロックです。
ルーサー・グロヴナーによる中間部の奔放なギター・ソロにもやられてしまいました。
今聴いても血がたぎると言いますか、思わず体が動いてしてしまう曲ですね。
「ベター・バイ・ユー、ベター・ザン・ミー」は、1978年にジューダス・プリーストもカヴァーしたことで知られます。
のちのユーライア・ヒープを思わせるのが、「ロスト・イン・マイ・ドリーム」。美しいコーラス・ワークとボレロのリズムが強く印象に残ります。
スプーキー・トゥーのもうひとつの特徴といえば、アメリカン・ロックへの憧憬が伺えることでしょう。
それが現れているのが、ゴスペルやR&Bのエッセンスが感じられる②「フィーリン・バッド」や③「アイヴ・ゴット・イナフ・ハートエイク」、アメリカン・ロックの要素とポップな雰囲気が同居している⑥「ザット・ワズ・オンリー・イエスタデイ」、⑧「ハングマン・ハング・マイ・シェル・オン・ア・トゥリー」といった曲です。
「ザット・ワズ・オンリー・イエスタデイ」には、ジャニス・ジョプリンの「ミー・アンド・ボビー・マギー」や、スプーキー・トゥースと同時期に人気を得たトラフィックなどに共通する雰囲気があるように感じます。
「ハングマン・ハング・マイ・シェル・オン・ア・トゥリー」は、アルバムのラストを飾る3拍子のナンバー。アコースティック・ギターが奏でる導入部が美しい。アメリカ南部の空気とアイリッシュな雰囲気が同居したスケールの大きなこの曲は、なぜか懐かしささえ感じさせてくれます。
スプーキー・トゥースのユニークなところといえば、ピアノとオルガンの2台の鍵盤楽器を擁する編成です。
これは同じ時期に活躍した「プロコル・ハルム」、ジャニス・ジョプリンのバック・バンドだった「フル・ティルト・ブギー」、あるいは「ザ・バンド」などと同じなんですね。
そういえば、彼らが3枚目のシングルとしてリリースしたのは、あのザ・バンドの名曲「ザ・ウェイト」でした。
1967年にデビューしたスプーキー・トゥースは、数回の解散と再結成を繰り返しながら、2009年まで活動を続けました。
このバンドは数多くの主要なロック・ミュージシャンを輩出していることでも有名です。
のち「フォリナー」を結成するミック・ジョーンズ(guitar)、「スティーラーズ・ホィール」を経て「モット・ザ・フープル」で活躍したルーサー・グロヴナー(guitar)らをはじめとして、自身のバンド「パトゥー」や「ボクサー」を結成したマイク・パトゥー(keyboard, vocal)、のち「ジ・オンリー・ワンズ」へ加入するマイク・ケリー(drums)、エリック・クラプトンのバックを務めることになるクリス・ステイントン(piano)、のち「ハンブル・パイ」のベーシストとして名を馳せたグレッグ・リドリー(bass)、のちポール・マッカートニーの「ウィングス」のメンバーとなるヘンリー・マッカロック(guitar)、1976年にシングル「The Dream Weaver」と「Love is Alive」を全米2位に送り込む大ヒットを放ったゲイリー・ライト(vocal, piano)などの面々がロックの歴史に名を刻んでいます。
◆スプーキー・トゥー/Spooky Two
■歌・演奏
スプーキー・トゥース/Spooky Tooth
■リリース
1969年3月
■プロデュース
ジミー・ミラー/Jimmy Miller
■収録曲
[side-A]
① ウェイティング・フォー・ザ・ウインド/Waitin' For the Wind (Luther Grosvenor, Mike Harrison, Gary Wright)
② フィーリン・バッド/Feelin' Bad (Mike Kellie, Gary Wright) ☆アメリカ126位
③ アイヴ・ゴット・イナフ・ハートエイク/I've Got Enough Heartaches (Mike Kellie, Gary Wright)
④ イーヴル・ウーマン/Evil Woman (Larry Weiss)
[side-B]
⑤ ロスト・イン・マイ・ドリーム/Lost in My Dream (Gary Wright)
⑥ ザット・ワズ・オンリー・イエスタデイ/That Was Only Yesterday (Gary Wright) ☆オランダ13位
⑦ ベター・バイ・ユー、ベター・ザン・ミー/Better by You, Better Than Me (Gary Wright)
⑧ ハングマン・ハング・マイ・シェル・オン・ア・トゥリー/Hangman Hang My Shell on a Tree (Gary Wright)
■録音メンバー
[スプーキー・トゥース]
ゲイリー・ライト/Gary Wright (keyboards, vocals)
マイク・ハリソン/Mike Harrison (keyboards, vocals)
ルーサー・グロヴナー/Luther Grosvenor (guitars)
グレッグ・リドリー/Greg Ridley (bass)
マイク・ケリー/Mike Kellie (drums)
[ゲスト・ミュージシャン]
ジョー・コッカー/Joe Cocker (backing-voval ②)
スー&サニー/Sue & Sunny (backing-voval ②)
スティーヴ・ウィンウッド/Steve Winwood (piano ③)
■チャート最高位
1969年週間アルバム・チャート アメリカ44位(1969年10月11日付ビルボード)、オランダ4位(1969年6月28日付)
【Live Information】
※お越しの際はマスクをご持参ください。
また、状況によっては中止にせざるを得ないこともありますので、お店にご確認ください。
諸々よろしくお願いします。
6月4日(金) 中止になりました
岡山 ピアノ・バー
岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
【出 演】 美淋つゆ子(piano)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 21:00~、22:00~ (2回ステージ)
6月5日(土)
ミュージカル「夢の降る街」
◇脚本・演出:横山由和 ◇作曲:上田聖子 ◇振付:酒井麻也子
岡山市民会館 大ホール
岡山市北区丸の内2-1-1 (tel 086-223-2165)
【キャスト】 四宮貴久 清水ゆき 大岩主弥 八木景子 ほか
【演 奏】 土肥隆弘(piano) 皆木秀樹(bass) 井上充隆(drums) 朝田恵利(keyboard)
【料 金】 一般=前売3500円、当日4000円 中学生以下=前売2500円、当日3000円 (全席自由)
【時 間】 開場17:30 16:30 開演18:30 17:30 (開場・開演とも日曜日とは時間が異なります)
※配信チケット発売中(1日3000円、2日通し5000円)
※チケット(岡山市民会館公演チケット、配信チケットとも)の購入はこちらから→ミュージカル「夢の降る街」
※託児ルームあり(要予約 問い合わせ先 086-226-3043 マイスタイル)
6月6日(日)
ミュージカル「夢の降る街」
◇脚本・演出:横山由和 ◇作曲:上田聖子 ◇振付:酒井麻也子
岡山市民会館 大ホール
岡山市北区丸の内2-1-1 (tel 086-223-2165)
【キャスト】 四宮貴久 清水ゆき 大岩主弥 八木景子 ほか
【演 奏】 土肥隆弘(piano) 皆木秀樹(bass) 井上充隆(drums) 朝田恵利(keyboard)
【料 金】 一般=前売3500円、当日4000円 中学生以下=前売2500円、当日3000円 (全席自由)
【時 間】 開場14:30 開演15:30 (開場・開演とも土曜日とは時間が異なります)
※配信チケット発売中(1日3000円、2日通し5000円)
※チケット(岡山市民会館公演チケット、配信チケットとも)の購入はこちらから→ミュージカル「夢の降る街」
※託児ルームあり(要予約 問い合わせ先 086-226-3043 マイスタイル)
6月14日(月) 中止になりました
岡山 ピアノ・バー
岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
【出 演】 中務敦彦(tenor-sax, bass-clarinet)、池田拓史(drums)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 20:00~、21:00~
6月17日(木) 中止になりました
岡山 ピアノ・バー
岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
【出 演】 山本博之(piano)、中務敦彦(tenor-sax, bass-clarinet)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 20:00~、21:00~ (2回ステージ)
6月23日(水)
倉敷 アヴェニュウ
倉敷市本町11-30 (tel 086-424-8043)
【出 演】 角堂りえ(piano)、中務敦彦(sax)、皆木秀樹(bass)、本田暁之(drums)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 20:00~、21:30~ (2回ステージ)
※シットイン可
6月26日(土) 中止になりました
岡山 GROOVY
岡山市北区田町2-5-23 (tel 086-221-7721)
【出 演】 山本博之(piano)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 2000円(飲食代別途)
【演 奏】 20:00~ (2回ステージ)
【Live Information】
雨のそぼ降る今夜、ジャズ・バー「GROOVY」に立ち寄ってみたら、炊き込みご飯として第二の人生に踏み出したばかりのタケノコに運良く出会いまして、ありがたくご馳走になりました。
季節のものは、旬にその食材の良さやエネルギーが一番出るそうですが、その通りとても良い風味でした。
たいへん美味しかったです。
タケノコといえば、メンマ。
そういや幼稚園くらいの頃は、メンマを
「割り箸のめっちゃ煮たやつ」
と信じて疑わなかったなあ。
なんならイリコが大きくなってメザシになると信じ、赤い靴はいてた女の子はキリンさん(「いい爺さん」とか「ひい爺さん」ともいう)に連れていかれたものと怯え、悪さをして大叱られしている時に「口答えするな!」と怒られて口じゃなくてどこで返事すればいいのかなんぼ考えても分からず叱られていることよりもそのことで頭の中がパニックになり涙をポロポロこぼす、そんなお子でした、ぼくは。
それが今やわれながら立派に成長し、人間の中でも年取った部類に分類されるまでになりましたか~
【Live Information】
「プログレッシヴ・ロック」といえば「難解」とか「マニアック」などといったイメージがあって、手を出すにはおっかなびっくり、とまではいかないにしても、多少気おくれしたりする人も多いのではないでしょうか。
プログレの雄であるピンク・フロイドも、たしかにフリー・ジャズを思わせる曲や、前衛的な手法を採っている曲がありますが、幻想的だったり浮遊感があったりきれいなメロディを持つ曲が少なくありません。
その中でぼくがとても好きなのが、モンスター級メガ・ヒット・アルバム「狂気」に収録されている「タイム」です。
ロック史上に燦然と輝き続ける名盤「狂気」。
人間の内側に潜んでいる暗部や苦悩、社会の歪みや不条理をテーマに、ロジャー・ウォーターズが全編の歌詞を書いたコンセプト・アルバムです。
1973年に発表されると、同年のビルボード(アメリカ)で週間アルバム・チャート1位、ニュー・ミュージカル・エキスプレス(イギリス)1位、オリコン・チャート(日本)2位の大ヒットを記録しました。ビルボードの年間アルバム・チャートでも1973年11位、1974年も11位、1975年71位にランクされています。
その後もアルバムは売れ続け、ギネスに登録されるほどの記録的なロング・セラー・アルバムとなりました。今に至るまで全世界で5,000万枚以上を売り上げた、ポピュラー音楽史上に残るアルバムです。
全10曲が収録されていますが、アナログ・レコード時代の名残りである「A面」と「B面」の区切り以外は、最初から最後まで曲の切れ目がないのが特徴です。
いわゆる「プログレッシヴ・ロック」というジャンルを聴き始めたのは、高校に入ってからだったかな。
友達に教えてもらったのが、「エマーソン・レイク&パーマー」、そして「イエス」。
どちらもティーン向けのポップなバンドではなく、クラシックやジャズの要素も大きく取り入れた高校生には知的すぎる音楽を志向していて、しかもすごいテクニックを持っていたので、気軽に楽しむにはハードルが高く、聴くにもちょっとした覚悟が必要だったんですね。
ところがピンク・フロイドはどことなく違っていました。
ブリティッシュ・ロック特有のどこかほの暗い雰囲気や、プログレッシヴ・ロックのバンドにありがちな実験的かつやや難解に感じらる音楽性(ピンク・フロイドには前衛的なアプローチの曲もありましたから)はEL&Pやイエスと共通のものがありましたが、シンプルな中にも抒情的・幻想的なメロディーも多く、聴き始めた当初からなんとなく心惹かれるものがありました。
「タイム」は、「狂気」の4番目に位置しています。
この曲が好きな理由は、なんといってもデヴィッド・ギルモアが奏でる情感のこもった美しいギター・ソロにあります。
ピンク・フロイドの曲どころか、今まで聴いたいろんなロックのギター・ソロの中でも特に好きなもののひとつなんです。
いろんな種類の時計のベルが、けたたましく一挙に鳴り始めるところから曲が始まります。
刻まれる秒針を模した音は、人生は長いようで束の間なのだ、ということを示唆しているようにも感じられます。
同時に聴こえるのはバス・ドラムでしょうか。まるで心臓の鼓動のようでもあります。
ボーカルは、デヴィッド・ギルモアとリック・ライト。ワイルドなボーカルはギルモア、呟くように淡々と歌うのはライトでしょうか。
テーマのメロディはブルースからの影響も伺えます。まさに「ブリティッシュ・ロック」な曲です。
対してサビのメロディには浮遊感があり、メロディアス。
サビあとに入ってくるギルモアのブルージーなソロは、まさにギターが歌っているようです。
ギターが息づき、感情を高ぶらせ、訴えかけてくるように聴こえるんです。
聴いただけでは英語もあまり理解できないので、当時のぼくは歌詞にはあまり興味がなかったのですが、ロジャー・ウォーターズが書いた歌詞はメッセージ性が濃く、人生に対する教訓そのものでもあります。
「若いうちは、無尽蔵にあると思っていた時間。
いつしか時は矢のように過ぎ去り、時間を無駄に使い続けた我々は人生の終わりに近づいていることにようやく気づく」
時間を無駄に消費してきたことに気づいた時には、もう取り戻すことはできないのですね。
これがわれわれに対する警鐘でなくてなんなのでしょうか。
「これでよかったのか」と自分を振り返ってみた時、正直言って時を無為に失ったことに対する虚無感や、取り戻すことができないことへの恐怖感を覚えないではありません。
現実を鋭く突き付けてくるような歌詞は、社会派のロジャー・ウォーターズの面目躍如、といったところです。
◆タイム/Time
■発表
1973年
■シングル・リリース
1974年2月4日(「Us and Them」のB面としてアメリカでリリース)
■演奏
ピンク・フロイド/Pink Floyd
■プロデュース
ピンク・フロイド/Pink Floyd
■作詞
ロジャー・ウォーターズ/Roger Waters
■作曲
デヴィッド・ギルモア、ロジャー・ウォーターズ、リック・ライト、ニック・メイスン/David Gilmour, Roger Waters, Richard Wright, Nick Mason
■録音メンバー
[ Pink Floyd ]
デヴィッド・ギルモア/David Gilmour(guitars, lead-vocals, backing-vocals)
ロジャー・ウォーターズ/Roger Waters(bass, synthesiser)
リック・ライト/Richard Wright(electric-piano, organ, synthesiser, lead-vocals)
ニック・メイスン/Nick Mason(drums, percussion)
[ Guest Musicians ]
ドリス・トロイ/Doris Troy(backing-vocals)
レスリー・ダンカン/Lasley Duncan(backing-vocals)
リーザ・ストライク/Liza Strike(backing-vocals)
バリー・セント・ジョン/Barry St. John(backing-vocals)
■収録アルバム
狂気/The Dark Side of the Moon (1973年)
【Live Information】
男同士で晩ご飯へ行ったわけですよ。
支払いの段になって、
「あ、ここはぼくが」
「いえいえなにをおっしゃいますか、ぼくが!」
なんてことになるのはよくあることです。
その夜もそんな感じでした。
小さな小料理屋をやっていた母は、「奢る」ということを「見栄。無駄遣い。」とバッサリでした。
「奢ったら気分いいし、相手からも有難がられるだろうけど、そんなのはその時だけ。本当に困っている時は、そんな人は誰も助けてくれない。」
25年もお店をやっていると、いろんなシビアな場面を見てきたのでしょう。
でもなんだろう、「この場は年長者としてカッコつけさせてよ(これを母は『見栄』というワケです。ま、たしかにw)」という気持ちもありますし、若い人たちが嬉しそうな顔で「ごちそうさまです~」と言っているのを見るのも好きだし、だからといって「今後なにかの時はウヘヘヘ」なんてのはありませんし、あんまり年下の人に負担をかけたくないし、といって全部奢られるのも社会人として気を遣うであろうことも分かりますので、最近は、なんつーか、「じゃ半分ほど出してねあとはぼくが」みたいなところで折り合いがつくことがほとんどです。
先々月、その前の月と続けて、ある素敵ミュージシャン女子とランチとかお茶する機会がありまして。
お会計の時にサッと伝票を手にしたら(そんなの女子がいない時に済ましておくのがスマート、との意見もありますが、結局気を遣わせるのが今か後かだけの違いなので、ぼくは基本やらなくなりました。フツーに「ごちそうになります」と言えばいいじゃねーか、ってことです)、素敵女子は「あ、そんなのダメですよ~」と。
「じゃ、こんだけくださいね」的なことを言っていただいた額が、何を計算間違いしたのか全然ゴチソウしたことになっておらず、つまり逆に自分が少しゴチソウになってしまっていまして、家へ帰ってその時の紳士ヅラした自分がこっ恥ずかしくなったわけです。
運のいいことに、翌月もその女性とお茶する機会があったんですね。
早めに着いてコーヒーを一杯飲み、彼女が着いてからあらためてあれこれ頼み。
そしてお会計の時に、
「あ、ここはぼくが!」「そんなのダメです~」「じゃ(あなたのぶんの半分くらいの)○○円だけください」
とのお決まりのやりとりのあと、お決まりの紳士的な顔つきで支払って、紳士的な雰囲気で「じゃ、またね~」と帰宅したんですが、ふと得体の知れない不安に襲われ、すこし焦りながら計算しなおしてみたところ・・・。
なんの計算間違いか、半額どころではなく、またしても彼女が注文した分より多くいただいてしまった(つまり、ぼくが少し奢ってもらった)ことに気づいてしまったんです。
あ~ホンマにもう~~。。。
もう、素直に別々に支払うか、そうでなければおとなしく奢られといてくださいまし。。。
あ~恥ずかしいw
【Live Information】
その昔、高校生だったぼくが抱いていた「夢」に、頭っから
「どうせ(その夢では)食べて行かれん」
「やめとけ」
と、話すらろくに聞いてくれなかった先生たち。
「成功する」どころか「食べて行く」ことさえ厳しい世界なのは子供なりに知ってはいたし、担任として心配してくださっているのは分かっていたけれど、なぜか釈然としなかった・・・。
たぶんそれは、
「ぼくの人生なのに、ぼくが決めることなのに、卒業後はぼくと関わることもないのに、その世界のことをあまり知りもしないのに、否定され、考え方を押し付けられようとした」ことに対する反発だったんですね。
自分の人生です。全部自分で決めていいんです。
失敗してもいいんです。やり直せるんです。
いや、そもそも失敗するって、悪いことなんでしょうか。
すべては自分の経験です。
すべては自分次第です。
それに気づいてからは、誰かの夢を決して否定しないことに決めております。
否定しないというのは、無責任に焚きつけるということなのではなくて、
「君が決めたことなら俺は応援するぜ!」
という気持ちで黙って見守ることなんです。
自分の夢を実現させるべく、奮闘しているナイスガイがおります。
必要な勉強をし、必要な準備をし、、、
そんなヤツがいたら、自然に応援したくなりますよね。
無責任に導いてやろうとしたり後ろから押したりするんじゃなくて、
「君が決めたことなら俺は応援するぜ!」
という気持ちで黙って見守ることなんですよ。
そんなわけで、心の中で彼に声援を送りつつ、彼が津山市で企画して仕切っているライブ&セッションにコッソリお邪魔してみました。
お客として聴くだけで満足だったのですが、彼の好意で1曲だけ参加させていただきました。
プレーヤーも熱心な人ばかりで、場はとってもいい雰囲気でした。
彼は、縁あって住んでいるこの町でジャズ・バーを開きたい、という夢を叶えるべく日々頑張っています。
ぼくはきみを応援しているぞ!
△近所の倉安川
【Live Information】
週に一日は17:00には家に着きます。
駐車スペースに停めようとするぼくの車を、庭にいる愛犬ハチくんがシッポを振り振り出迎えてくれます。
車から降りて、
「ハチくんただいま!遊んどったん? (^^)」
と言いながら近寄ると、えらいイキオイでぼくの靴の先を2~3秒ほど「フンフンフンフン!」と嗅いで、納得してまたえらいイキオイであっちの方へ走り去ります。
なんでそんなイキオイなのかはよくわからんけど。。。
ついこの前、
「せっかく明るいうちに帰れたんだから散歩へ行こうや!」
というわけで、ハチくんと出かけたんです。
うちのすぐ北側に倉安川という、江戸時代に造られた川があるんですが、その日はそこからキャッキャキャピキャピにぎやかな声が聞こえる。
青春している女子学生の声ですよ。
いつもなら学校帰りの子供の声がすると構ってほしくてワンワン吠えるハチくんですが、そのにぎやかな声に圧倒されたのか無言でジッと見ているだけ。
たぶん高校生かな(中3くらいかも)、6~7人の女子が
「キャ~~ッハッハッ♪」
「イヤ~~♡」
と大騒ぎの真っ最中です。
見ると、ふたりほどまったくのはだしで川に入っている。
泥の中にふくらはぎが埋まるくらいw
その彼女たちが、様子を眺めながらブラブラ歩くぼくとハチくんに気づいて、川の向こう側から一斉に大きな声で
「こんにちわぁ~!」
と声をかけてきたんですね。
ちょっとビックリですよ。
顔を知っていても自分からは絶対あいさつしない人が珍しくないご時世なのに。。。
赤丸が女学生たちがはだしで入っていたところ
「どしたの?何か落とした?」と聞いてみると、口々に
「違うんで~す、これ罰ゲームなんです~www」
「最初は落とし※◎☆#◆キャーハハハ」
「アーッハッハッハ」
キャピキャピキャーキャー♡♬★
・・・(^^;)
「そしたらなにか落としたんと違うんだね、大丈夫ね」
すると明るい声で一斉に
「ハーイ大丈夫で~す!」
「ありがとうございま~す!」
とってもいい子たちじゃねーかよー(T▽T)
世間様の荒波にひねくれてしまっているオジサンの心は、ほんのり温まったのでした。
最後にひとりが、泥の中に埋まりながらw「ワンちゃんかわいいですね~!」って言ってくれて、嬉しさ50%増しですよ。
「どうもありがとうございます。じゃあね、気をつけて帰るんよ」って言って、思わず会釈しちゃいましたよ。
するとみんなそろって
「失礼しま~す」だって。
あ~、青春だなぁぁ。。。
オジサン胸がキュンキュンしちゃったよ!
めっちゃ感じのいい子たちだったよな、ハチくん!!
ハチくんは電柱の根元をクンクンすることの方が忙しいようでした
ハチくん
学校帰りに川で遊んでいた子たち!
なんかありがとう!!
(さすがに初対面のJKだかJCだかに向けて写真は撮れません。通報されても文句は言えないですからねwww)
【Live Information】
休日の土曜日。
コーヒーでも飲もうと石関町方面へ行ったものの、なんとお目当てのお店は臨時のお休み。。。
肩透かしを食ったような気持ちになりながらあてもなくフラフラ歩き始めてふと向かいの県立美術館を見ると、
「雪舟と玉堂」展が催されているではないですか! (^^)/
「きょうはこれを観ていけ」という天の声だそうだそうだウンウンと勝手にその気になって、すぐに入館してみました。
入口でチケットを買ったのですが、ヒラヒラ落としそうなのとチケットが折れ曲がるのが嫌だったので、ちょうど持っていた買ったばかりの本にすぐ挟んだんです。
で、受付で本からチケットを出して受付のおねーさんに渡すと、能面のような表情で視線も宙を見据えたまま身動きもしないのんです。
一瞬心の中で「おぅ?(#`ω´)」と思いながら、手に持ったチケットを見てみると、本の栞だったんです
『あ間違えたんですねウフフフ』という反応を期待して、照れ隠しに
「あ~間違えた。。。」
と言いながらチケットを出しなおしたんですが、能面は変わらず、よけいに恥ずかしかったですw
浦上玉堂(1745~1820)は、名前くらいしか知らなかったです。
江戸時代の文人画家にして七絃琴の奏者である玉堂は、元は岡山藩の支藩である鴨方藩の大目付。
50歳の時に脱藩して武士の地位を捨て、以後書画や七絃琴を友として余生を生きた人物です。
「わしゃ好きなように描いとるだけじゃけえ」的な、生き方そのものの雰囲気がツボでした。
備中国生まれの雪舟(1420~1502)は、室町時代の禅僧にして画家。
小坊主時代は絵を描くことに夢中でお経もろくに読もうとしなかったので、寺の僧に仏堂の柱に縛りつけられましたが、そのとき床にこぼれた自分の涙を足の指につけて「鼠の絵」を描き、それを見てとても感心した寺の僧が雪舟に絵を描くことを許した、というのはたいへん有名な話ですね。(後年の創作、という説もあり)
雪舟は、中国に渡って学んだ画法をもとに、独自の水墨画を確立して、後年の日本美術界に大きな影響を与えた人物です。
じっくり観ると、ほんま絵がうまいわぁ。。。(当たり前ですが)
緻密なんだけど情感がこもっている感じが、やっぱりタメイキものでした。
あとで岡山市は表町商店街名物の、ときどきライブハウスにもなる喫茶店に寄って、「雪舟と玉堂展」に行った話をしました。
ママも美術館へ行くのが好きな方ですから。
「雪舟がこぼれた自分の涙を足の指につけて描いた”鼠の絵の実物の写真”もあったよ」とママに話すと、
ふつうに「へぇ~~」と感心してくれたんですが、そのあと全然話が広がりませんでした
冗談が知的すぎて分かりにくかったんだな、とあとで家に帰って瞑想しましたよ
雪舟「慧可断臂図」 浦上玉堂「山澗読易図」
【Live Information】
「四人囃子」を聴くようになったのは、高校3年くらいだったか、とにかく1970年代の終わり~80年代の初めでした。
高校時代の音楽仲間だった中島くんの影響です。
彼がリーダーだったバンドは、四人囃子の初期の大曲「一触即発」をレパートリーにしていました。
四人囃子をコピーできるくらいでしたから、中島くんのギターの腕前は地元の高校生のなかではそれなりに目立つものでした。
彼の影響で聴き始めた四人囃子の「一触即発」は、当時から今に至るまでの大好きなロック・アルバムのひとつです。
1970年初頭からこの頃にかけての日本のロック・シーンは、新鮮で勢いのあるバンドがたくさん出てきていたように記憶しています。
いわば、日本におけるロックの曙とでもいう時期でしょうか。
クリエイション、はっぴいえんど、カルメン・マキ&OZ、サディスティック・ミカ・バンド、金子マリ&バックス・バニー、フラワー・トラヴェリン・バンドなど、列記すると錚々たる名前がズラリと並びます。
その中で四人囃子は、独特のセンスとユニークな存在感を持つギタリスト森園勝敏の音楽性を支柱に、ビートルズ、ピンク・フロイド、フォーク、ハード・ロックなどの要素を包括したような、オリジナリティ豊かなサウンドを展開していました。
四人囃子
「レディ・ヴァイオレッタ」は、四人囃子のセカンド・アルバム「ゴールデン・ピクニックス」に収録されているインストゥルメンタル・ナンバーです。
作曲は森園勝敏。
彼の持つロマンチシズム、歌心がきらめいています。
大曲が目立つ四人囃子のレパートリーの中での一服の清涼剤、あるいは愛すべき小品とでも言うべき佳曲です。
アコースティック・ギターが奏でるテーマの、メロウでメロディアスなこと。
「ヴァイオレッタ」は、憂いを含む、しっとりした雰囲気の大人の女性なのでしょうか。
このメロディを、エレクトリック・ギターが引き継ぎます。
伸びやかで明るく、透明感のある音色が、曲をよりロマンチックになものにしています。
テーマのあとはフルートのアドリブ・ソロ。
フルートって、ちょっと上品な印象があったりするのですが、アドリブが展開するにしたがって、明るく笑ったり陽射しの中を駆けたりする、いわば「ヴァイオレッタ」の「動」の部分がイメージされてゆくのが楽しかったりします。
フルート・ソロのあとはエレクトリック・ギターのドラマチックなソロによるクライマックス、そして静かな終焉。
舞台の左右から幕が引かれ、閉じられるような、そんなイメージが浮かんできます。
シングル・ヴァージョンはフルート・ソロのパートはなく、森園氏のギター・ソロが聴かれます。
森園氏本人によると、「アルバム・バージョンがパリッシュの絵の雰囲気を一番よく表現できていると思う」そうです。
森園勝敏
この曲は、20世紀前半のアメリカの画家マックスフィールド・パリッシュの絵「Lady Violetta」を森園氏が観たことがきっかけとなって生まれたのだそうです。
1976年から8年の間オン・エアされていたFM東京の番組「グンゼニューミュージック共和国」のオープニングとしても使われていました。
日本のギター・インストゥルメンタル、あるいはフュージョンの草分け的な曲にして、発表後40年以上経った今でも多くのリスナーやミュージシャンに愛されている名曲です。
2020年3月には、この曲の様々なテイクを収録したアルバム、その名も「レィディ・ヴィオレッタ」(近年森園氏本人や四人囃子のメンバーも『レィディ・ヴィオレッタ』と発音していることから、このアルバムの片仮名表記も同様にしている、ということです)がリリースされています。
森園勝敏『レィディ・ヴィオレッタ』
◆レディ・ヴァイオレッタ
■発表
アルバム、シングル・ヴァージョンとも1976年
■オリジナル・ヴァージョン収録アルバム
「ゴールデン・ピクニックス」(1976年)
■作曲
森園勝敏
■演奏
四人囃子
■レコーディング・メンバー
<アルバム・ヴァージョン>
森園勝敏(guitars)
佐久間正英(bass)
坂下秀美(keyboards)
岡井大二(drums)
浜口茂外也(flute, psecussion : guest)
<シングル・ヴァージョン>
森園勝敏(guitars)
佐久間正英(bass)
坂下秀美(keyboards)
岡井大二(drums)
Maxfield Parrish 『Lady Violetta』