【Live Information】
12月2日の西川アイプラザ5Fホールは、立ち見が出るほどの盛況。
大成功に終わった、と言ってもいいんじゃないかな。
とても楽くて素敵なライブだったと思います。
石橋元嗣(左) 清水ゆき(右)
「翼」は、作曲・ピアノ・ボーカルの石橋元嗣くん(ゲンちゃん)と、ボーカルでミュージカル女優・ナレーター・MC・リポーターなど多くの顔を持つ清水ゆきさん(ユキちゃん)のふたりからなるデュオ・ユニットです。
オリジナル曲を中心に、ポップスやシャンソンなども歌っています。
彼らの気持ちの中に流れているのは、「愛」と「平和」を歌で伝えたい、ということ。
ぼくが出演していたある野外コンサートにふたりが遊びに来ていて知り合い、仲良くなりました。
その後は、買い物がてらふたりが出演しているイベントを聴きに行ってみたり、ふたりがぼくのライブに来てくれたり。
その彼らから、劇場公演の演奏を依頼されたのは、今年の7月でした。
劇場公演は、ミュージカルと、コンサートの2部構成。
演劇とのジョイントなんてほぼやったことない!(汗) けど、なんて楽しそうな企画。。。
そう、考えるまでもなく「楽しそう」という理由だけで、喜んでお世話になることに決めたんです。
バンドは、ゲンちゃんとぼく、それにキーボードとパーカッションがひとりずつ加わります。
キーボードと鍵盤ハーモニカを担当するのは、朝田恵利さん。朝田さんはピアニストとして活動しているほか、ラジオのパーソナリティやケーブルテレビのリポーターも務めているというマルチなタレントさん。そして、なんとぼくの高校の1年先輩ということが後日判明。
パーカッションについては、「どなたかいい方がいませんか」という相談を受けました。すぐに次田任徳くんが頭に浮かんだので、大急ぎで彼に連絡してOKを取り付けました。次田くんとは共演したことがあって、凄腕ぶりはよく知っているのです。
経験豊富でしっかりと自分を持っている次田くんと、いつもニコニコ顔で臨機応変な対応ができる朝田さん。
初顔合わせからいいバンドになりそうな予感満々!です。(^^)
石橋元嗣(piano、vocal)
朝田恵利(keyboard、piano、key-harmonica)
次田任徳(percussion)
皆木秀樹(electric-bass、contrabass、keyboard)
ミュージカルの「幸福の王子」は、1888年にオスカー・ワイルドが発表した、子供向け短編小説です。
ユキちゃんが脚本を書いて演出し、ゲンちゃんがオリジナル曲を付けて、「翼」オリジナルのミュージカルに仕上げるのです。
いつも町を見渡している王子の像は、多くの人々が恵まれない日々を送っていることに胸を痛めていました。
その王子と偶然知り合ったことで、ツバメは「幸福とはなんなのか」を考えるようになります。
自分の目の宝石や体に貼られている金箔を、貧しい人々に届けるようツバメに頼む王子。
南へ渡ることを後回しにして、王子の手となり足となりそれを届けるツバメ。
自分の目だった宝石をも貧しい人へ届けたため何も見えなくなった王子に、人々の様子を伝えるツバメ。
そして冬になり、ツバメはとうとう・・・
本番前日の通し稽古、当日のゲネプロ、そして本番、と3回続けて涙が出てしまいました。
南へ行ったと思ったツバメが戻ってきたところ、ツバメが王子の目のサファイアを心ならずも抜くところ、ツバメが役目を果たすも冬の寒さに耐えられず、それでも幸福とは何かを知って喜びを内に死んでゆくところ。
さすがに「本番では泣いてるヒマはない、集中集中!」と気合いを入れたんですが、、、ダメだった。(^^;)
涙で譜面がぼやけ、見えにくくなった時はさすがにアセりました。
「ヤバい」と思った瞬間、涙はとまったけど、代わりにヒヤアセが・・・
ツバメ役のユキちゃんは、東京ばかりでなく、イギリスやスペインでも活動していた経験があるだけに、演技力はもちろん、伝わりやすい脚本と妥協のない的確な演出は素晴らしかったし、そこにゲンちゃんの曲の良さが相まって、想像以上にクオリティの高い、とても良い作品になったというのは、演劇はシロウトのぼくでも分かります。
王子役はゲンちゃん。演技の経験がほぼ無いとは思えない落ち着いた雰囲気が、心に憂いを秘めている王子にぴったりでした。
出演者は、現時点の演技力だけでなく、この先の広がりや伸びしろにも着目して選ばれた方ばかり。
そして、その出演者全員からは「良い公演にしたい!」という熱意がビシビシ伝わってきました。
その必死な思いは、なんていうか、青春時代の気持ち、とでもいうのかな、そういう懐かしくてアツいものを思い起こさせました。
それにしてもユキちゃんの仕切りには、頭が下がるばかり。
限られた時間で大勢の人間をまとめなければならない。
当然みんなが思い通りに動いてくれないこともあるだろうし、予定がずれこむこともあるでしょう。
お客様へ提供する以上、それなりのレベルに仕上げなければならないだろうし。
でも、常に指示は冷静で、全体の流れや動きを把握して、はっきりOKやNGを出す。
例え演者がNGを出しても、ユキちゃん自身が感情的になりかけても、決してキャストを責めることはない。どうしてNGなのか、その意味をきちんと伝えようとしている。
こんなに気遣いできて、そのうえ毅然としたリーダーには、なかなか出会えないと思うんです。
ゲンちゃんの書く曲はバラエティに富んでいて、引き出しの多さが伺えます。同じ曲調・傾向に陥ることがありません。そして、曲が使われる場面にぴったり馴染むものばかりです。
まさに「珠玉」。
リハーサルの時に出す指示は的確です。頭の中には、組み立てられた状態の曲が鳴っているのだろうと思います。単なる思いでつきはなく、音にしてみると「そういう意図だったんだ」というのがきちんと現れてくる。
またこちらがアイデアを出しても、それについての取捨選択の判断が早く、しかもあとで「そうだよね~」と納得できることばかり。
音楽的な土台がしっかりしていて、とても頼りになる音楽監督でした。
そして、いくら慌てるようなことがあっても、決して声を荒げるようなことはなく、いつもと同じ穏やかな態度で対応しているところは、短気な自分も本当に見習わないとな、と思っています。
バンドのメンバー同士の息はぴったり。
意志の疎通が容易だったし、いつも冗談がとびかっていて雰囲気もやわらか。そしてステージに対する思いが熱い。
なにかあればお互いにフォローしあおう、という心の準備もみんな整っていたと思います。
経験もスキルもたくさんあるふたりとの共演はとても心強く、楽しいものでした。
しかし四人のスケジュールを合わせることが難しかったので、当日までのバンドリハーサルはあまり時間をかけられず。
一抹の不安をできるだけ振り払おうと、当日朝9時集合で、最後のバンドのみのリハーサルを行いました。
当日になって急遽出された指示もあったりで、なかなかハードな体験でしたが、それでも楽しかったなあ。
正直に言うと、ミュージカルって「演技の合間に、唐突に大仰な歌が入る劇」くらいの浅い知識しかありませんでした。
でもこのイベントに関われたことで、それは見事に覆されました。
歌は全然唐突ではなく、入るべきところで自然に入ってくるんですね。
演技力と歌唱力を兼ね備えたキャストの方々、いわばスキーの複合競技選手みたいなものでしょうか。
いまは、山崎育三郎さんや新妻聖子さんら、ミュージカルで活躍している方々をテレビでよく見かけます。こういう方々を応援する気持ちがぼくにも芽生えてきたようです。
われながら現金なもんですね。
2部は歌と踊り中心のコンサート。
多彩な曲と、歌と、ダンスとで楽しんでいただきました。
脚本とにらめっこしながら必死でタイミングどおり音を出さねばならないプレッシャー
から解放されての演奏でした。
それでもリラックスしつつ集中力を保っておかねばなりません。油断は事故につながりかねないのです。
しかし適度な緊張感と、キャストさんたちの楽しんでいる雰囲気のバランスがちょうどいい感じだったし、客席がこれまた温かかったので、あちこちから後押ししてもらっているような気持になっていました。
やりきった感をたっぷり味わえて、ぼくは終演後ひそかに幸福感のようなものを味わっていました。
これからも翼のふたりは文字通り羽ばたいてゆくことでしょう。
そうそう、来年の「翼」劇場公演の日取りももう決まっています。
12月1日(土)、場所は岡山ルネス・ホールです。
たくさんの方に「翼」ワールドを体感して欲しいです。
翼
ミュージカル 幸福の王子 & クリスマスコンサート
2017.12.2(土)
西川アイプラザ5Fホール
【翼】
清水ゆき(脚本、演出)
石橋元嗣(音楽監督、作曲)
【出 演】
清水ゆき(ツバメ)
石橋元嗣(王子の像)
長谷川共洋(苦学する若者)
金子みかん(葦の君)
ゆうきごろう(権力者)
英まゆう(おばあさん)
石川未藍(孫娘)
湯浅かなえ(マッチを売る少女)
近藤雅希(ケガをして南へ行くのが遅くなったツバメ)
鈴村忠則(町長)
長谷川克也(マッチを売る少女の父)
【バンド】
石橋元嗣(piano, vocal)
朝田恵利(keyboard, piano, key-harmonica)
次田任徳(drums, percussion)
皆木秀樹(electric-bass, contrabass, keyboard)
清水ゆき(vocal)
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